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非核三原則

2022年5月21日 (土)

核兵器禁止条約について考える ――東京と沖縄で集会が開かれます――

核兵器禁止条約について考える

――東京と沖縄で集会が開かれます――

 

緊急なテーマですので、憲法98条についての論考はお休みにします。

 520日は東京で、舩後靖彦参議院議員の呼び掛けで、核兵器禁止条約を考える会が開かれます。その呼び掛け文です。

 ************************************************************************

20225月吉日

国会議員各位

れいわ新選組 参議院議員

舩後 靖彦

 

「核兵器禁止条約を考える集会」ご臨席のお願い

 先生方におかれましては、政務、公務におかれてのご活躍に心より敬意を表します。また、今後とも私たちに対し大所、高所よりのご指導を賜れればありがたく存じます。

さて、この度「核兵器禁止条約を考える集会」を開催する運びになりました。ゲストスピーカーに秋葉忠利さん(元広島市長)、喜納昌吉さん(音楽家・元参議院議員)をお迎えして、我が国の核兵器禁止条約の批准について議論が深まればと考えております。

ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、ぜひご臨席を賜ればありがたく存じます。ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 日 時    5月20日(金) 15時~17時(終了予定)

場 所    衆議院第2議員会館B18会議室

  

「核兵器禁止条約を考える集会」次第

 

15:00 開会の挨拶 (参議院議員 舩後靖彦)

15:05    基調講演 (秋葉忠利様)

15:35 基調講演 (喜納昌吉様)

16:05 意見交換

16:30 閉会

 ******************************************************************

 そして、521日には、沖縄で、喜納昌吉さんの呼び掛けで、「戦争と核のない世界へ」というテーマのシンポジウムが開かれます。

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そのどちらにも参加させて頂きますが、私の発言はこれまで、このブログ、そして姉妹ブログの「春風夏雨」、そしてChange.orgでの署名運動で皆さんにお伝えしてきたことです。

加えて、琉球日報が鳩山友紀夫さんと私の論考を掲載してくれましたので、それも是非お読み頂きたいと思います。

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核「共有」とか、「敵基地攻撃能力」とか、「憲法改正」では未来の見えないことが、少しでも広まることを期待しています。

 [2022/5/21 イライザ]

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2022年3月22日 (火)

府中地区の3月の「19日行動」

府中の小川敏男さんから、「雨と突風の中での行動でした。」のメールに添付されて、府中地区の3月の「19日行動」の様子が、写真と共に以下の文章が届きましたので、今日はそれを紹介します。


府中地区の「3月の安保法制に反対する19日行動」は、19日(土)の午後3時30分から上下町Aコープ前で、午後5時からは府中天満屋前で行いました。

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上下町Aコープ前

安保法制に反対する府中市民の会の今月の行動は、ロシアのウクライナ侵略戦争反対。事あるごとに危機を煽る政治家を許さない。核を持ち込み米軍と共有するなどとんでもない。核も戦争もない平和な世界が一番を街頭から訴えました!

2月24日ロシアがウクライナへ侵攻し、プーチン大統領の核兵器使用発言に抗議して2月26日に抗議の行動を取り組んできました。

二度と広島、長崎を繰り返さないために核兵器はぜったいに使用させないことが必要です。

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ところが日本では危機感を煽って安倍元首相は日本も米軍と核兵器を共有することが必要であると言っています。この人は首相になる前にも小型核兵器所有論を主張していました。安倍元首相には二度と広島、長崎を繰り返さないという考えはないようです。

世界で唯一の被爆国である日本こそロシアの核兵器使用に反対するとともに安倍元首相の核兵器共有発言に反対しましょう。

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府中天満屋前

上下町Aコープ前は9名、府中天満屋前は9名が参加しました。

――――――――――――――――――――

小川さんありがとうございました。

そして府中のみなさん、雨の中での行動ご苦労様でした。一緒に声を上げ続けましょう。

いのちとうとし

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2021年8月11日 (水)

何故、読み飛ばしが起きたのか ――心 (ハート) がそこになかったから――

何故、読み飛ばしが起きたのか

――心 (ハート) がそこになかったから――

今年、2021年の8月6日、例年開かれる広島市平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)での総理大臣挨拶が大きな話題になりました。[式典の名称についての説明をしておくと、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式が正式名称ですが、その前の「広島市平和記念式典」は、その双方を合わせた形のいわば略式の名称です]

一つは読み違いです。冒頭で、「広島市」を「ひろまし」と、「原爆」を「げんばつ(もしくはげんぱつ)」と読み違えています。

もう一つが読み飛ばしです。飛ばした部分は、次の引用文の中で、下線を引いてあるところです。

国連総会の場で、「ヒロシマ、ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信しました。我(わ)が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です。

 近年の国際的な安全保障環境は厳しく核軍縮の進め方を巡っては、各国の立場に隔たりがあります。このような状況の下で核軍縮を進めていくためには、さまざまな場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要があります。

(注――下線部は、首相が読み飛ばした部分)、

実際に、式典会場での言葉は、次のようになりました。

国連総会の場で、「ヒロシマ、ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない核軍縮の進め方を巡っては、各国の立場に隔たりがあります。このような状況の下で核軍縮を進めていくためには、さまざまな場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要があります。

明らかに意味が通じません。官邸の説明では、総理が読んだ蛇腹は複数枚を糊付けしてあって、その糊が固まってページを開けなかったとのことです。

 

《外国特派員協会記者会見での発言》

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私の感想ですが、実は6日の午後に外国特派員協会のonline記者会見でこの質問を頂きました。その答えをJ-Cast ニュースが分り易くまとめてくれました。さらに、Yahoo!ニュースが掲載してくれています。URLを貼り付けて、皆さんにクリックして貰えば良いのですが、記者会見での私の発言の要点だけはお読み頂ければと考えました。一部、J-Castニュースの引用も交えています。

秋葉氏は、読み飛ばし自体は「ミス」だとみる一方で、安倍政権ではほとんど同じ内容のあいさつが毎年のように使い回され、広島と長崎の式典でも内容がほとんど変わらない問題を指摘。「読み飛ばすかそうでないか、の問題ではなく、重要なのは、彼の心が単にそこになかった、ということだ」として、政権が被爆地に関心を寄せていないことを批判した。

さらに、あいさつの「あるべき姿」について

「悲惨な形で戦争の犠牲になった人を本当に慰霊しようとするならば、そんなこと(原稿の使い回し)はしないだろう。しかも犠牲者の多くが一般市民だった。もし心があるのであれば、人々の生死や苦しみ、現地で起こったことに心を致すはずだ」

  「もし心があるのであれば、多くの死者に対して向けられるスピーチでは、自らの気持ちや、心からのお悔やみの言葉が示されるはずだ」などと述べた上で、「しかし、それは起こらなかった」

「読み飛ばすかそうでないか、の問題ではなく、重要なのは、彼の心が単にそこになかった、ということだ。戦争犠牲者への関心がないし、新型コロナ感染で日本人に何が起きたかにも関心がない。台風や地震災害、その他のことでも同様だ。スピーチには、悲劇、悲しみ、今後人々にもたらされる痛みを自分の言葉で共有するという感覚が全くない」

「仮に読み飛ばしたとしても、共感や同情、未来への希望を、その場で自分の言葉で加えて語ることはできたはずだが、それも行われなかった。これが、日本の政治と政治家の貧困と低レベルを表している」

  「首相は単に官僚的業務のために(式典に)やって来るのであって、それ以上のものは何もない」

次回は、読み飛ばしや読み間違いを避けるためには何ができるのかを考えたいと思います。

[21/8/11 イライザ]

 

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2021年6月24日 (木)

被爆76周年原水禁世界大会広島県実行委員会の結成総会(第1回実行委員会)を開催

被爆76周年原水爆禁止世界大会を成功させるための広島県実行委員会の結成総会(第1回実行委員会)が、昨日午後6時から自治労会館で開催されました。コロナ禍の開催となりましたが、35名を超える参加がありました。この結成総会も、当初は11日に予定されていましたが、緊急事態宣言発令中ということで延期となり昨日の開催となりました。

総会は、金子哲夫県原水禁代表委員の司会で始まった総会は、今年はちょうど沖縄慰霊の日ということで、最初に全員の黙とうでスタートしました。

開会のあいさつは、秋葉忠利代表委員。「日本の政治状況、広島の政治状況、様々な問題が同時多発的に起きている。原発再稼働、オリンピック、コロナ問題など。それに対応する力を持っていないのではないか。第1回世界大会から、政治の根幹にかかわる問題を取り上げてきた。その意味で、いま起きている問題をどう取り上げ、活かしていくのか、意志を実現できるのかが大事。原水禁大会は、平和を考えるべきオリンピック期間のど真ん中で開催される。8月6日も。オリンピックの大義は平和をつくること。ここに共感を覚えることのできるような大会にしなければならない」と訴えました。

続いて、例年のようにこの結成総会のために駆け付けていただいた中央実行員会の北村智之事務局長から、「被爆76周年原水禁世界大会の構想」について、提起が行われました。

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その主な内容です。

昨年の被爆75周年原水禁世界大会は、コロナ禍で全てオンライン集会(広島は、8月6日午前中、原爆ドームをリボンで囲む行動)となりましたが、今年の大会は、「人が集う」ことで感じられる空気感を大切にするため、現地での集会を開催することになりました。もちろん参加者の「安心・安全」を第一に考え、ゼロからの発想を組み立てた大会にします。

大会のコンセプトは「①原水禁運動の原点である「被爆の実相」を意識し、②「核兵器禁止条約」と「2021NPT再検討会議」に焦点をあて、3.11東日本大震災・福島原発事故から10年」を回顧し今後に活かすこと」です。

広島大会主な日程は、次のとおりですが、コロナの感染状況次第では、変更も予想されます。

今年の大会は、今年の8月5日、6日の二日間の日程で、全国からの参加者は300名規模で開催します。県内からの参加者は、開会総会200名、分科会100名を予定です。二日間の日程は次のとおりです。

①5日の日程

 献花・平和行進(900分平和記念公園集合)

  900分~  共同議長による献花

  930分~  折鶴平和行進

 開会行事(県民文化センター及びYMCA)

 1045分~  県民文化センターは、全国参加者(300人)

         YMCAは、県内参加者(200人)

         ・開会あいさつ、黙とう、主催者あいさつ、被爆者の訴え、

          大会基調提起、閉会あいさつ

 12時     終了

 14時~1630分 4分科会

 ・【核保有国と核保有を望む国、日本との関係】など

 *フィールドワークなどはすべて中止です。

6日の日程

 閉会行事(県民文化センター)

 915分~1015分 閉会行事  まとめ・アピール採択など

 国際シンポジウムⅠ(県民文化センター)

 1030分~1230分 「(仮題)核なき世界~被爆の日に願う~」

 国際シンポジウムⅡ(自治労会館)

 16時~18時 「(仮題)原発事故から10年~エネルギー政策転換~」

 

以上の大会内容を確認し、大会成功に向けて、現地実行委員会としての取り組みをお願いしました。

佐古正明代表委員の閉会あいさつで、結成総会は終了しました。

なお、被爆76周年原水爆禁止世界大会は、広島大会以外に「①7月31日 福島大会②8月8日9日 長崎大会」が実施されることも確認しました。

また、例年実施(昨年は中止)してきました「非核平和行進」は、今年も中止することにしました。

いのちとうとし

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2021年3月16日 (火)

広島市の平和推進条例案は、憲法や被爆者援護を無視 ――元々の根っこは「受忍論」にあり――

広島市の平和推進条例案は、憲法や被爆者援護を無視

――元々の根っこは「受忍論」にあり――

広島市議会が検討している「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」について、216日、217日、221日そして311日に取り上げました。今回もその続きですが、まず、条例の素案を読めるサイトを紹介しておきます。ここです

 前回取り上げたのは、「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」と同趣旨の条例を制定している国内他都市の場合、今回は苫小牧市、藤沢市、宝塚市の三市に限りましたが、その内容が広島市とはどのように違うのかを俎上に載せました。

 これらの都市では、憲法や非核三原則への言及があるだけでなく、苫小牧と藤沢では、それが条例の中心的な位置を占めています。前回はその点を指摘しました。

今回は、それだけではなく、広島市の場合、何故「わざわざ」、つまり意図的に憲法や非核三原則を外したのかについて考えなくてはなりません。

 市でも市議会でも、公的な文書を作成する際には複数のお役人が関わります。「官僚」と言っても良いのですが、その官僚が徹底的に訓練を受けているのが、「前例」と「横並び」についてのチェックです。

 ある問題についての文書を作る際に、まず、これまでどのような文書が作られてきたのかについて歴史的なチェックを行って、出来る限り「前例」を踏襲するという方針を守ろうとするのです。そして、国の方針はどうなのか、そして他都市ではどのような文書を作っているのかについてもチェックを行い、国や他都市の実例に沿った方向で、つまりできるだけ「横並び」になるような文書を作ろうとします。

 平和推進について、全国の都市をざっと眺めただけでも憲法や非核三原則を盛り込んで条例を作っているところが多いのですから、「前例」を踏襲し「横並び」を尊重する「無難」な案を作ろうと考えれば、広島市でも憲法や非核三原則を盛り込んだものになっても、誰からも文句を言われる筋合いはありません。(と書いてしまって気付いたのですが、実は、「誰からも」という点でどこかから文句を言われるかもしれないという「忖度」が働いたのか、あるいはもっと直接的に「圧力」が掛かったのかという点も、論理的には問題にしないといけませんね。)

 しかし、こと平和に関しては、広島市の持つ歴史的・世界的な責任は大きいのですから、他都市にはないような「踏み込んだ」条例にしたいと考えるお役人や市議会議員がいても良いどころか、私たちにはそう期待したい気持があるのではないでしょうか。となると、ちょうど今年の一月に発効した核兵器禁止条約について言及したり強調したりしても、何の不思議もありません。

 官僚としての仕事の流れからすれば、選んで当然だというよりは、選ばないとおかしいと思われる選択をしなかったのですから、それは、「意図的に」外したとしか考えられないのです。その「意図」は何なのかを考えたいのですが、そのためにも、「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」の中で触れられていない、もう一つのテーマが大切です。それは、被爆者援護です。

 条例の素案では、前文で被爆者が味わってきた苦しみや悲しみ、そして痛みに触れています。「生き残った人々も,急性障害だけでなく,様々な形の後障害に苦しめられている。さらに,被爆者に対する結婚・就職等での差別により,後に,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の適用を受けることが困難になるなどの被害もある。また,放射性物質を含んだ黒い雨による被害の議論は,いまだに続いている」

 であれば、現在も続いている被爆者の苦痛に対して、国としてまた広島市として何をなすべきかという方向性をきちんと示すべきなのではないでしょうか。被爆者や被爆二世、三世に対しての国の責任放棄について、市民、特に被爆者の代弁者として国に注文を付けるのも、市としての立派な仕事です。それが何故、この条例案には書き込まれていないのでしょうか。

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 答は、「受忍論」にあります。これが、今回の条例案の背後に隠れていると仮定すると、この条例案についてこれまで掲げてきた疑問が全て説明できるのです。

 例えば、条例案の5条と6条で、平和に関しても、国家という権力が憲法や平和を踏み躙る可能性、特に戦争を始める可能性には口を閉ざしていること、市民に対しては「権威に対して従順でなくてはならない」(とまで言っていませんが、そうとしか解釈できません)という価値観を振りかざしている点、そして被爆者援護についての責任には頬っ被りするという姿勢の説明が付くのです。

 「受忍論」とは、国の諮問に対して1980年に、「原爆被爆者対策基本問題懇談会」という有識者による意見書として発表された考え方の本質を表す言葉です。その後の国の被爆者施策は、この答申に沿って行われているという事実が大切です。この懇談会の委員は全員故人ですが、茅誠司・東京大名誉教授(座長)、大河内一男・東京大名誉教授、緒方彰・NHK解説委員室顧問、久保田きぬ子・東北学院大教授、田中二郎・元最高裁判事、西村熊雄・元フランス大使、御園生圭輔・原子力安全委員会委員の7人です。当時の我が国のエスタブリッシュメントそのものです。

 結論は、「基本理念」という形で次のようにまとめられています。

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これを、もう少し分り易く絵解きすると、日本国政府の持っている「戦争観」とは「受忍論」だということになります。その内容は次のとおりです。

  • 戦争は国が始める
  • でも、戦争による犠牲は、国民が等しく受忍しなくてはならない
    • ただし放射能による被害は特別だからそれなりの配慮は必要
    • しかし、一般戦災者とのバランスが大切
  • 国には不法行為の責任や賠償責任はない

 国の主張の歪みを理解するためには、「受忍論」を少し変えて、「国民主権受忍論」とでも名付けたいものに言い直すことが役立ちます。それは、「戦争は、主権者である国民の意思によって始められるものであるから、その結果生じる犠牲については、原因を作った主権者である国民が等しく受忍すべきである」という内容です。これなら、原因と結果というつながりから、それなりの理解は得られると思われます。

 しかし、これは太平洋戦争 (第二次世界大戦、15年戦争等の別称もあります) には当てはまりません。主権者は国民ではなく、国民が戦争を始める力は持っていなかったからです。にもかかわらず、その結果として生じた、生命も含む犠牲については、国民が「等しく受忍」しなくてはならないというのが、国の立場なのです。これは、戦争という、国民にとって(そして国家にとっても)、最大限の犠牲が生じる出来事について、国が「支配し」国民が「支配される」という関係を描いています。戦争を起こした責任、そして生命や財産、その他の犠牲を国民に強いることになった反省も後悔も、もちろん賠償の意思も全く考慮されていないのです。

 だからこそ、犠牲者に対する国の姿勢は、国の「恩恵」をどう分配するのかという経済的配慮が中心になってしまうのでしょう。

 先ほど「疑問」として指摘したことの内、国が憲法や平和に対するコミットメントを蔑ろにする可能性に広島の条例案が口を閉ざしているのは、「受忍論」では国が戦争を始める権利を認めているのですから、その延長線上にあると考えると、それなりに筋は通っていることになります。

 「市民が権威に従順であれ」は、そもそも「受忍論」が成り立つ上での大前提でしょう。また、被爆者の援護に言及がないのは、国の戦争開始の責任も不法行為への賠償責任も認めていないことからの帰結です。

 ここまで深読みする必要はないのかもしれません。でもこれも、あまりにもお粗末な「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」案が何故出て来たのかを理解しようとする努力の一環です。さらに、「一般戦災」との関連、また福島での被害や犠牲との関連も重要です。こうした点も含めて、条例案の内容が改善されるか、撤回されて最初からやり直すかという結果になれば、もっと建設的なアイデアをいくつも提案したいと考えています。

 [2021/3/16 イライザ]

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2021年3月11日 (木)

「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」が残念な理由 ――国内他都市の条例と比較しても問題あり――

「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」が残念な理由

――国内他都市の条例と比較しても問題あり――

 

広島市議会が検討している「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」について、216日、217日、221日と取り上げましたが、その続きです。まず、条例の素案を読めるサイトはここです

 221日には、世界という舞台で「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」がどんな役割を果すのか、特に世界からどのような期待を持たれているのかという視点からこの条例素案を取り上げました。今回は、日本国内の他の都市が、平和について、また核兵器の廃絶についてどのような条例を作っているのかを見てみましょう。スペースに限りがありますので、北から、苫小牧市、藤沢市、宝塚市と三市の条例をまず、読んでみて下さい。

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苫小牧市非核平和都市条例(平成14年4月1日公布)

 わたしたち苫小牧市民は、安全で健やかに心ゆたかに生きられるように、平和を愛するすべての国の人々と共に、日本国憲法の基本理念である恒久平和の実現に努めるとともに、国是である非核三原則の趣旨を踏まえ核兵器のない平和の実現に努力していくことを決意し、この条例を制定する。

 目的

1条 この条例は、本市の平和行政に関する基本的事項を定め、市民が安全で健やかに心ゆたかに生活できる環境を確保し、もって市民生活の向上に資することを目的とする。

 恒久平和の意義等の普及

2条 市は、日本国憲法に規定する恒久平和の意義及び国是である非核三原則の趣旨について、広く市民に普及するように努めるものとする。

 平和に関する交流の推進

3条 市は、他の都市との平和に関する交流を推進するように努めるものとする。

 その他平和に関する事業の推進

4条 市は、前2条に定めるもののほか、平和の推進に資すると認める事業を行うように努めるものとする。

 平和の維持に係る協議等

5条 市長は、本市において、国是である非核三原則の趣旨が損なわれるおそれがあると認める事由が生じた場合は、関係機関に対し協議を求めるとともに、必要と認めるときは、適切な措置を講じるよう要請するものとする。

 核兵器の実験等に対する反対の表明

6条 市長は、核兵器の実験等が行われた場合は、関係機関に対し、当該実験等に対する反対の旨の意見を表明するものとする。

 委任

7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

 附則

この条例は、公布の日から施行する。

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次に、藤沢市です。

○藤沢市核兵器廃絶平和推進の基本に関する条例

平成7330日条例第47

 (目的)

第1条 この条例は,藤沢市核兵器廃絶平和都市宣言(昭和57年藤沢市告示第29号)に基づき,核兵器廃絶を目指す国是としての非核三原則の厳守及び日本国憲法の基本理念である恒久平和の実現に関する基本原則を定め,もつて市民の平和で安全な生活の維持向上に資することを目的とする。

 (定義)

第2条 この条例において「核兵器」とは,核分裂,核融合又はそれらを組み合わせた爆発的原子核反応によつて放出される原子核エネルギーを用いて人間を殺傷し,又は器物,建造物若しくは自然環境を破壊するものをいう。

 (基本原則)

第3条 市は,第1条の目的を達成するため,不断の努力をするとともに,市民の協力を得て平和行政を推進する。

2 市は,市内での核兵器の製造,保有,持込み及び使用に協力しない。

3 市は,核兵器廃絶の実現に向けて国内又は国外の都市等との連携を深める。

4 市長は,3に定める事項の推進に努めなければならない。

5 市民は,1の目的を達成するため,自主的に平和に関する活動を行うとともに,第1項から第3項までに定める事項に関して積極的に協力するものとする。

(平和事業)

第4条 市は,前条の基本原則に基づき,次に掲げる事業を行う。

(1) 核兵器廃絶及び平和の意義の普及

(2) 核兵器廃絶及び平和に関する情報の収集及び提供

(3) 核兵器廃絶の実現に向けて他の都市等との平和に関する交流

(4) 前3号に掲げるもののほか,市長が必要と認める事業

2 市は,前項の事業の計画に当たつては,その基本的事項について市民の意見を聴くものとする。

 (委任)

第5条 この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は,公布の日から施行する。

(藤沢市平和基金条例の一部改正)

2 藤沢市平和基金条例(平成元年藤沢市条例第23号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう略〕

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そして、最後に宝塚市です。

○宝塚市核兵器廃絶平和推進基本条例

平成15919日条例第35

 宝塚市は平成元年37日に「非核平和都市宣言」を行いました。「青くすみきった空、清らかな武庫川の流れ、緑あふれる六甲・長尾の山々……。この素晴らしい自然と明るくおだやかな暮らしは宝塚市民すべての願いです。このような私たちの願いに反し、世界では依然として、人類同士の悲しむべき争いが絶えず、しかも地球上の全生命を滅ぼすことのできる核兵器が蓄積されてきました。しかし、人類の平和への切実な願いが全世界に高まり、大きなうねりとなって、ようやく戦略核兵器の縮小や、各地域の紛争解決への明るい兆しが見えようとしています。私たちは、このようなときにこそ、戦争を、そして核兵器をなくし、世界の恒久平和を強く願わずにはいられません。ここに、宝塚市は憲法の平和精神に基づき、恐るべき核兵器の廃絶を願い、永遠の平和社会を築くことを誓い、「非核平和都市」とすることを宣言します。」と世界にむけて非核平和の決意を明らかにしました。

 このような認識の下に、市民と市が非核平和の基本原則を共有し協働して、市民の平和で安全な生活の維持向上に努めるため、この条例を制定します。

 (目的)

第1条 この条例は、本市の非核平和都市宣言(平成元年3月7日宣言)に基づき、市民と市が協働して平和で安全なまちづくりを進めるための基本的な原則を定め、もって市民の平和で安全な生活の維持向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「核兵器」とは、核分裂、核融合又はそれらを組み合わせた爆発的原子核分裂によって放出される原子核エネルギーを用いて人間を殺傷し、又は器物、建造物若しくは自然環境を破壊するものをいう。

 (基本原則)

第3条 市は、第1条の目的を達成するため、不断の努力をするとともに、市民と市が協働して平和事業を推進する。

2 市は、核兵器廃絶の実現に向けて国内及び国外の都市等との連携を深める。

3 市長は、2に定める事項の推進に努めなければならない。

4 市長は、核兵器の実験等が行われた場合は、当該実験等に対する反対の旨の意見を表明するものとする。

5 市民は、1の目的を達成するため、自主的に平和に関する活動を行うとともに、第1項から第2項までに定める事項に関して積極的に協力するものとする。

(平和事業)

第4条 市は、前条の基本原則に基づき、次に掲げる事業を行う。

(1) 核兵器廃絶及び平和の意義の普及

(2) 核兵器廃絶及び平和に関する情報の収集及び提供

(3) 核兵器廃絶の実現に向けて他の都市等との平和に関する交流

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事業

2 市は、前項の事業の計画に当たっては、その基本的事項について市民の意見を聴くものとする。

(委任)

第5条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

 

以下、コメントですが、もうかなり長くなりましたので、詳しくは次回にも続きます。

 まず、三つの条例とも似た形をしています。これは、平和推進条例だけに限ったことではなく、国が法律を作ったり、何かを推進しようとするときには、地方自治体に「ひな形」を示します。多くの自治体は、固有名詞だけを自分たちの自治体名にすればそのまま条例になるような「ひな形」を前に、ほとんどの場合、その通りのことをしています。とても「親切」ですね。とは言え、これでは「地方自治」ではなく、中央集権国家による自治体の「支配」なのですが、この点についてはまた別の機会に取り上げましょう。

 もっとも、平和推進条例の場合は、長い間の日本政府の方針とはちょっと違っていますので、これは国の方針として「ひな形」を作ったのではなく、全国的に「非核宣言都市」や「平和推進条例」が注目されていたときに、平和活動家や専門家が作ったものかもしれません。

 それはともかくとして、三つの条例に共通している事柄で、「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」にはないものがいくつかあります。

 一つは、「憲法」という言葉、あるいは「非核三原則」という言葉です。条例が国のレベルでのどの法律に依拠しているのかを示すことは、条例の意味を明確にする上でとても重要です。それは、憲法94条があるからです。

 94条  地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 そして、三つの条例のうち、苫小牧の場合には第5条で、「国是である非核三原則の趣旨が損なわれるおそれがあると認める事由が生じた場合は、関係機関に対し協議を求めるとともに、必要と認めるときは、適切な措置を講じるよう要請するものとする」とまで踏み込んで、仮に国が非核三原則に反する行為を取った場合には、「文句」を言うとまでは書いてありませんが、抗議の意思を示すと謳っています。

 藤沢市でも、第3条の2で、「市は,市内での核兵器の製造,保有,持込み及び使用に協力しない」と、非核三原則の遵守を国に求めています。

 それは、憲法99条の公務員の憲法遵守義務に従うという意思表示なのですが、地方公務員だけではなく、国家公務員、それも国会議員や総理大臣等にも同じ遵守義務があるという事実を国に対して突き付けていることでもあるのです。

 では、広島市の場合はどうなのか、スペースの都合で次回に回しますが、一言で広島市の条例をバッサリ切れば、憲法に関しては、国への「忖度」としか言いようがありません。

 [2021/3/11 イライザ]

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