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経済・政治・国際

2024年10月 5日 (土)

ヒロシマとベトナム(その62) ~南シナ海をめぐる動向-6~

ざっくりと常設仲裁裁判所提訴の経過

6月5日の「ヒロシマとベトナム」(その59)で、「次号ではフィリピンが提訴した南シナ海仲裁裁判所の裁定を取り上げます」と約束していましたが、その後激しさを増す中国とフィリピンの衝突や南シナ海における日本(海上自衛隊)の軍事的プレゼンス拡大の動きなどから後回しになっていました。

第二次世界大戦後、「九段線」を引き南シナ海の約8割の領有権を主張する中国と周辺5カ国との南シナ海の領有権めぐる争いは、主にベトナムと中国、フィリピンと中国の間で島の争奪をめぐる戦闘や艦船・漁船の衝突事件が相次いでいました。

1980年代以降、南沙海域に進出した中国は7つの岩礁に建造物を建築し、2010年代に事実上支配している南沙諸島で大規模な埋め立てとインフラ整備をはじめます。中国以外の台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシアなど領有権を主張している国々も、飛行場や建物を持ち、各施設の整備・維持による実効支配を図ってきました。

2012年4月、中国とフィリピンの双方が領有権を主張するスカボロー礁付近で、中国漁船の不法操業を取り締まるフィリピンの艦船と、それを阻止しようとする中国艦船が対峙する事態が発生します。2ヶ月余の緊張した睨み合いの後、悪天候で海域を離れたフィリピン軍の隙を突き、この海域の実効支配をするとう「スカボロー環礁事件」が発生します。

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出典:防衛省「南シナ海情勢」(中国による地形埋立・関係国の動向)

今日、中国海警局艦船のフィリピン沿岸警備隊艦船への衝突やレザー光線照射などの衝突が繰り返されているのもこの海域です。1900年代後半にアメリカから移管された米海軍戦車揚陸艦を座礁させ、セカンド・トーマス礁の実効支配を維持するフィリピンと中国が激しく対立しています。

その背景は以前も述べましたが、石油や天然ガスなど豊富な海洋資源が眠り、世界有数の漁場のひとつであり、そして海上輸送の重要な海域である南シナ海の権益と、軍事戦略上最も重要な海域の確保をめぐる対立にあります。今日、争いは二国間にとどまらず「米比日豪vs中国」の様相を濃くし、不測の事態から大きな紛争につながりかねない懸念があることも繰り返し述べてきました。

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出典:NHK NEWS ーフィリピン沿岸警備艦船(日本が供与)に衝突する中国海警局艦船ー

フィリピンの主張 -提訴内容-

フィリピン政府がオランダの首都ハーグにある常設仲裁裁判所に、南シナ海での領有権紛争をめぐって中国を提訴したのは2013年1月22日です。少し長くなりますが提訴項目を紹介します。

1.南シナ海における中国の海洋権益は、フィリピンと同様、国連海洋法条約によって許可された範囲を超えてはならない。

2.「九段線」で囲まれた海域における中国の主権、管轄権及び歴史的権利の主張は国連海洋法条約に違反しており、法的効力はない。

3.スカボロー礁は、EEZあるいは大陸棚に関する権利を生じせしめない。

4.ミスチーフ礁、セカンド・トーマス礁及びスビ礁は、領海、EEZ又は大陸棚に関する権利を生じせしめない低潮高地であり、占有その他の方法による占拠に適さない

5.ミスチーフ礁及びセカンド・トーマス礁は、フィリピンのEEZ及び大陸棚の一部である。

6.ガベン礁及びマケナン礁(ヒュー礁を含む)は、領海、EEZまたは大陸棚に対する権利を生じせしめない低潮高地であるが、その低潮線はNamyit島及びSin Cowe島の領海幅を計測する基線を決定するために使用され得る。

7.ジョンソン礁、クアテロン礁及びファイアリークロス礁は、EEZまたは大陸棚に対する権利を生じせしめない。

8.中国は、フィリピンが自国のEEZ及び大陸棚の生物資源及び非生物資源に対する主権的権利を享有及び行使することを不法に妨害している。

9.中国は、フィリピンのEEZにおけるフィリピンの国民及び船舶が生物資源を開発することを妨害することに不法にも失敗している。

10.中国は、フィリピンの漁民がスカボロー礁において伝統的な漁獲を行うことで生計を立てることを不法に妨害している。

11.中国は、スカボロー礁及びセカンド・トーマス礁等において海洋環境の保護にかかわる国連海洋法条約上の義務に違背している。

12.ミスチーフ礁における中国による占拠及び建設活動

 (a)人工島、施設及び構築物にかかわる国連海洋法条約の条項に違反する。

 (b)国連海洋法条約の下での海洋環境保護にかかわる義務に違背する。

 (c)国連海洋法条約に抵触する不法な占拠の行為を構成する。

13.中国は、スカボロー礁付近海域を航行するフィリピンに対して衝突を引き起こすような 深刻かつ危険な態様で法執行船舶を運用することで、国連海洋法条約の義務に違背している。

14.20131月の仲裁手続開始以来、中国は就中以下により紛争の更なる悪化を不法に助長している。

 (a)セカンド・トーマス礁及びその接続海域を航行するフィリピンの権利を侵害している。

 (b)同礁に駐留するフィリピン要員の交代及び補給を妨害している。

 (c)同礁に駐留するフィリピン要員の健康及び福利厚生を危うくせしめている。

 (d)ミスチーフ礁等において浚渫、人工島建設、建設活動を行っている。

15.中国は、国連海洋法条約に基づくフィリピンの権利を尊重し、同条約上の義務を遵守し、同条約下のフィリピンの権利と自由に正当な敬意を払った上で、自らの権利と自由を主張すべきである。

次号では3年後の2016年に出された仲裁裁判所の「裁定」について見てゆくことにします。

(2024年10月5日、あかたつ)

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2024年10月 1日 (火)

就職差別の撤廃を!

就職差別は、「同和対策審議会答申(1965年)」において「これらの市民的権利と自由のうち、職業選択の自由、すなわち就職の機会均等が完全に保障されていないことが特に重大である」と指摘されているように、すべての子どもたちの進路を保障する上で重大な課題です。201612月、「部落差別解消推進法」が施行されました。部落差別を解消するための施策を早急に具体化していくことが国や地方自治体に求められています。

1973年、差別的な項目を除外した「全国高等学校統一応募用紙」が制定されたことは、部落解放運動と同和教育のとりくみによる大きな成果です。しかし、いまだ、身元調査をはじめ、不適切な応募用紙の書式や面接での質問等、課題はあとを絶ちません。20234月の連合「就職差別に関する調査」の結果からも、今なお差別につながるおそれのある事象が少なくないことや、面接官が聞いてはいけない質問についての認識も深まっていないことが、改めて明らかになっています。

部落解放広島県共闘会議は毎年、広島労働局長、県知事、県教育長宛に要請書を提出し、すべての人に就職の機会均等を保障するため、就職差別撤廃に向けたとりくみ強化を求めるとりくみを行っています。今年は710日に行いました。

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労働局への要請の中で、2023年度、高卒の求人に係る違反事象(不適切質問等)が県内で7件あり、その全てが県外の高校生からの提起であることがわかりました。高校生が、何が差別かを知らなければ、課題提起ができません。広島の企業を受験するのは県内の高校生が圧倒的に多いはずであり、県内の学校で就職差別に係る学習や不適切な実態を把握するとりくみ、その前提となる教職員研修がなされていないことが要因と考えられ、教育行政の責任は大きいと言えます。

広島県にも「不適切な採用選考」に対する公的なしくみ自体はありますが、実際には受験報告書等を用いて就職差別に係る課題を把握するとりくみが行われていません。

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受験報告書により、面接での質問内容や提出物における不適切な実態を確認することが必要です。(↓は厚労省のものに広教組注釈)

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今後も、この課題を多くの方に知ってもらい、就職の機会均等を求め、とりくみをすすめたいと思います。

よりのぶ

参考資料

厚労省「公正な採用選考特設サイト」

https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/

連合「就職差別に関する調査」

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20230531.pdf

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2024年9月25日 (水)

中国電力は、12月に島根原発2号機を再稼働するとしているが?

島根原発2号機、建設工事が開始されたのは1984年、運転開始が1989年2月10日ですから、35年を向かえる原発です。建設当時の社長は第4代の松谷健一郎さんだったと記憶しています。長身の大きな人でした。

改めて、福島原発事故後からの経過を振り返ってみました。2011年の福島事故の時は運転中でした。翌12年1月に定期検査のために停止、そしてその翌13年12月に再稼働申請を行いました。申請から約8年、2021年9月15日、原子力規制委員会は審査に合格したとし、次のステージである島根県知事と松江市の判断に移りました。そして22年6月2日、丸山達也島根県知事は「苦渋の判断」としながらも、県議会の場で再稼働容認を表明したのです。

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島根半島を視察する丸山島根県知事

その後、中国電力は「安全対策」工事を行い、今年8月の再稼働を目標としていました。しかし工事の遅れなどから、12月再稼働に変更したのです。

さて12月に再稼働をするとして、これから中国電力は何をするか? あくまでも中電のスケジュールですが、10月中に原子炉の中に核燃料を入れるという行程があります。核燃料を入れることを「装荷」と言います。水で浸された原子炉の中に核燃料を入れ、燃料の間に制御棒を入れた状態で、核分裂が起こらないようにしておきます。制御棒というのは、原子炉のブレーキというか停止装置ですから、重要な役割りを担います。

福島原発事故の時、「止める」「冷やす」「閉じ込める」という言葉を聞いた記憶があると思いますが、この「止める」というものです。あの時は「止める」は成功したのですが、「冷やす」「閉じ込める」が出来なくて、メルトダウンになったのです。

福島原発事故後、関西・四国・九州の各電力会社の原発が再稼働をしていますが、これらの原発は「加圧水型」というもので、福島事故の原発とは型が異なります。いくら再稼働を進めたい政府や電力会社も、事故を起こした「沸騰水型」の再稼働には慎重な姿勢をしていました。島根原発は沸騰水型で、ついにこっちにも手を出したかという状況になりました。ちなみに能登半島地震で被災した北陸電力の志賀原発も、沸騰水型です。

沸騰水型を持っている東北電力の女川原発2号機、東京電力の柏崎刈羽原発7号機、今電力業界ではどこの沸騰水型原発が再稼働の最初になるかというのが、大きな関心事となっています。いずれの原発も核燃料の装荷を終えています。

中国電力は、11月に原発事故を想定した避難訓練を実施し、この訓練を終えて12月に再稼働というシナリオを考えているようですが、とても自分勝手なものだと思います。

私たちは去る9月13日、島根県に対し「再稼働許可を取り消すこと」を申し入れました。島根県は、新しい原子力規制基準に適合したから、再稼働は許されると主張します。

しかし今年1月1日に発生した能登半島地震は、これまでの考え方を改めさせました。活断層の連動の問題、屋内退避・広域避難計画など、これらの課題を改めて見直し、原発周辺の市民や広域避難先の人たちに、しっかり説明する必要があると思います。

島根原発は敷地から南側約1.3㎞のところに、活断層である宍道断層が東西に走り、その東端から6㎞離れたところから、鳥取県沖西部断層と呼ばれる長い活断層が存在しています。

規制委員会は、二つの活断層の間隔が5㎞以上ということで、連動の可能性は無しとして再稼働を許可しています。この考えを覆したのが、能登半島地震ではないでしょうか。多くの家屋が崩壊し、住めない状態の中で屋内退避が可能だとは考えられません。寸断した道路で自動車による避難も不可能になったのです。

「連動」の問題も、屋内退避を含める避難計画の在り方も、「新たな知見」が関係者で検討されています。せめてそれが出されるまで、再稼働に待ったすべきではないでしょうか。私は直感的に、12月の再稼働は不可能だと思っています。

解散・総選挙が近いのでは言われる中、原発を含むエネルギー問題が国民的議論となることが、島根原発2号機の再稼働を止める大きな力になると思っていますが。

木原省治

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2024年9月20日 (金)

ベトナムの歴史(その32) ― ベトナム Now Ⅱ ―

枯葉剤被害者支援チャリティーにご協力ください

6月から「ベトナムNow」シリーズを始めましたが、今号は枯葉剤がベトナムで初めてまかれてから63年、最後の枯葉剤散布から53年、ベトナム戦争が終結して49年経た今なお、深刻な被害をもたらし続けている枯葉剤被害者を支援するチャリティーコンサートを福山市で開催します。


    10月16日(水) 17時開場  18時開演~20時終演

ところ  広島県民文化センターふくやま ホール

チャリティー協力券  一般:2,500円 大学高校生:1,500円  ベトナム人:1,000円

(当日券はいずれもプラス300円)

   お申し込み先 一般社団法人 広島ベトナム平和友好協会

TEL) 090―1010―0472  (FAX) 082-423-8060

Mailakatatu@d4.dion.ne.jp

振込先  広島銀行  西条支店  普通  口座番号 3825337

         口座名 一般社団法人 広島ベトナム平和友好協会 代表理事 河内昌彦

チケットお申し込み、支援カンパをお待ちしています。

広島は来年、「被爆80周年」を迎えます。

ベトナムは来年、ベトナム戦争終結=「ベトナム南部解放・祖国統一50周年」を迎えます。

日本がはじめたアジア太平洋地域への侵略戦争の結果、ヒロシマ・ナガサキに原子爆弾が投下され、80年経た今なお、被爆者、被爆二世、三世と多くの人たちが放射線後障害に苦しんでいます。

長い植民地支配に抗して、民族の独立と統一のために戦ったベトナムの人々。ベトナム戦争でアメリカ軍が散布した猛毒ダイオキシンを含む枯葉剤爆弾は、50年経た今なお、ベトナムの人々に深刻な被害をもたらし続けています。

ヒロシマの原子爆弾による被害とベトナムの枯葉剤による被害は、20世紀の戦争被害の象徴であり、再び繰り返させてはなりません。

そのヒロシマとベトナムは、〔核兵器も 化学兵器も 戦争もない 平和で豊かな世界を築く〕という固い意思と絆で結ばれています。

 ヒロシマとベトナム、ともに歴史的節目の前年(プレ年)にあたります。

その年、“枯葉剤被害者”支援のためのベトナム民族アンサンブル・チャリティーコンサートを福山で開催させていただきました。

県内第二の都市、「ものつくり地域」備後の拠点都市福山は、外国籍市民のうちベトナム出身者が最も多く暮らしています。相互に理解を深め合いながら多文化共生の地域づくりが先進的に進められている福山市で、チャリティーコンサートを開催させていただくことを通じて、枯葉剤被害に対する理解と被害者への支援の輪が広がり、一層の日越交流につながれば、私たちの何よりの喜びです。

この瞬間にもウクライナで、ガザで

子どもたちや女性など多くの尊くかけがえのない命が奪われています。

禁じられた化学兵器やクラスター爆弾など非人道兵器が使われ、核兵器使用の懸念も高まっています。

いかなる理由が掲げられようとも、理不尽に、無差別大量に殺戮を続ける紛争や戦争に私たちは与することは出来ません。それが、被爆県広島民の心、「ヒロシマの心」です。

ノーモア・ヒロシマ  ノーモア・ナガサキ

ノーモア・枯葉剤   ノーモア・ウオー

ストップ!殺戮 パレスチナとガザに平和を

 厳しかった残暑もようやく和らぎ、訪れた文化の秋のひととき

54の民族が織りなすハーモニーを存分にお楽しみください。心に染み入るやさしい一弦琴の音色、軽快で弾ける旋律のトルン、竹の筒から押し出させる奥深くまろやかな音、コミュカルで愛情表現豊かな舞踊、そして人々の暮らしが紡いできた歌・・・・。

いずれも、100%、200%の満足感を味わっていただけるコンサート。存分に満喫ください。

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2024年9月20日(あかたつ)

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2024年9月10日 (火)

最大の「敵」は無関心

 福島原発事故の汚染水を太平洋に流し始めて、丸1年が経過したとの報道がありました。汚染水放出については地元の漁協をはじめ、国内外から強い反対の声が起こった時、政府や東京電力の言い訳は汚染水を保管するタンクが福島第一原発敷地内に溜まり続けて、本格的に開始する廃炉作業の邪魔になるというのが、その理由でした。

福島第一原発の廃炉作業ですが、その大前提は原子炉内の底部にある溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業です。デブリの取り出しは東京電力も「廃炉の本丸」としていました。デブリの総量は福島第一原発1~3号機で、推定で880トンが残っているとのことです。放射線量が高すぎて、直接さわることも近づくこともできない物質です。

45年前の1979年3月、米国ペンシルベニア州スリーマイル島原発で炉心溶融事故が起こりましたが、その時のデブリも、1986年4月のチェルノブイリ原発事故のデブリも、すべてが取り出せない状態が現在も継続しているのです。そんな状態の原発が福島第一原発には3基もあるのです。

取り出し作業のために試験的に微量ほど抜き出して、その成分などを調べてみることを否定するものではありません。今回の試験的採取は3㌘を取り出すものでした。この試験的採取は3年位ほど前から計画されていたと思いますが、コロナ禍による影響などもあり遅れたのは事実です

そんなことで福島第一原発事故から13年5か月も過ぎ、やっとの思いで8月22日の試験的採取の初日を迎えました。

それがなんと、恥ずかしいような初歩的なミスで、お粗末な失敗となったのです。

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「福島民友」より

新聞記事によると、採取に使う5本のパイプの取り付け順が間違っていることが判明したとしていました。

それでも東京電力幹部の、ノホホンとした姿には呆れるばかりです。記者会見の映像を観ていても、まるで他人事という感じにしか見えませんでした。

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「YouTube」より

作業の指示が協力会社の作業員まで行き渡らず、チェックの体制が不十分だったとしていますが、この呆れるミスに、どれだけのお金を使ったのでしょうか。ミスを重ねようが誰もフトコロを痛めないという無責任体質が、ことの本質ではないでしょうか。

福島第一原発事故後、全国で24基の原発が廃炉されることになり、中国電力では島根原発1号機の廃炉作業が行われています。しかし島根1号機程度の原発(電気出力50万キロワット程度)で、国内で廃炉が完了したところは無いのです。廃炉作業は簡単な作業では無いし、ましてや事故を起こした福島第一原発の廃炉作業は、廃炉の在り様を含めて議論をしていかなければならないことだと思います。

なのに汚染水はさっさと海に流してしまう、放射能は時間の経過とともに、そのレベルは下がってくるものです。福島第一原発の敷地にもタンクを設置する場所はありますし、置いておけば放射能の値も下がっていきます。近くに在る福島第二原発は廃炉となり、この場所にも敷地は在るのです。

日本政府が想定している廃炉終了後の姿は、その場所が更地になることですが、事故を起こした福島第一原発の場合を同様に考えるのは、事態を知らない杜撰な考えだと思います。あと27年、2051年で政府や東京電力は、三つの原発からデブリを取り出して廃炉が完了するとしています。そんなことは不可能ですし、こんな無責任体質は、本当に困ったことです。

自民党の総裁、立憲民主党の代表選挙が行われていますが、福島第一原発の今後についての議論がされていないこと、原発・エネルギー政策を避けていることに、強い怒りを感じています。

反原発新聞の8月号のコラムの欄に、『「敵」は推進派ではなく無関心』というタイトルで川本浩之さんという方が書いておられました。そうだと思いました。無関心は私たち自身の責任だとも思いました。

木原省治

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2024年9月 9日 (月)

第28回高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑・碑前祭

9月7日、庄原市高野町にある高暮ダムで「高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑・碑前祭」が、午前10時30分から実施されました。

コロナ感染拡大の影響で中止を余儀なくされた年があるため、碑前祭名は「第28回」となっていますが、「高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑」は、1995年に建立されていますので、今年は30年目の碑前祭です。

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今年の碑前祭は、節目となる30年目ということで、高校生平和ゼミ、朝鮮学校からの参加者も多く、これまで私が参加した「碑前祭」では一番多い約70名が参加し実施されました。

まずたくさんのお供えが準備されました。

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碑前祭は、地元高暮の草谷末広さんの司会で始まりました。

続いて、ふるさと村高暮館長後藤信房さん、広島県朝鮮人被爆者協議会理事長韓政美(ハン・ジョンミ)さん、高校生平和ゼミナール世話人大亀信行さんがあいさつ。大亀さんはあいさつの中で、この碑が建立されるまでの歩みを紹介し、最後に「李実根先生は亡くなられましたが、過去のつながらないいまはない、そしてこのいまから未来は開けると話しておられました」と李実根さんとのエピソードを紹介しました。

続いて朝鮮側の参加者によるチェサ(朝鮮式祭祀)が行なわれました。

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朝鮮歌舞団ファンヨンシルさんの追悼舞です。

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次に高校生平和ゼミ、朝鮮高級学校生代表による若者の誓い。

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例年は参加者一人一人が献花するのですが、今年は参加者が多かったため代表による献花が行なわれました。

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最後に参加者全員で「アリラン」と「故郷」を合唱し、碑前祭は終了しました。

この地を初めて訪れる高校生が多いため、ダムの堰堤に足を運び、ダム建設のため強制連行され強制労働を強いられた人たち、故郷に帰ることも無くこの地で命を奪われた朝鮮人のことを想像しながら散策しました。

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高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑・碑前祭を終えた参加者は、ふるさと村高暮に移動し、1989年に広島テレビで放映された「ダムに消えた叫び・朝鮮人強制労働の記録」を制作した記者カメラマンの田森孝仁さんの話を聞きながら鑑賞し、当時のことを学びました。

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その後、恒例となっている地元の皆さん、朝鮮女性同盟の皆さんに準備していただいた焼き肉、むすびを食べながらの交流会が行なわれました。

この碑前祭を通じて、日朝友好、そして平和な社会実現のため何が出来るかを考えるきっかけになればと思います。

いのちとうとし

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2024年9月 6日 (金)

9月の「3の日行動」

戦争させない・9条壊すな! ヒロシマ総がかり行動実行委員会は、3日の午後5時半から洋服の青山前で9月の「3の日行動」を行ないました。

岸田首相の代表選立候補断念の記者会見を受けスタートした自民党総裁選挙が、立候補予定者による「憲法9条改悪」の大合唱の中での街宣となりました。

いつものように世話人代表の一人川后和幸さんの冒頭発言でスタートしました。

最初のアピール者は、山田延廣弁護士。山田さんは「防衛費増大で生活が破壊される。何よりも憲法第9条が改憲の危機にある」ことを訴えました。

二人目は、夫婦別姓問題を取り組む恩地いずみさん。恩地さんは、「夫婦別姓を認めないのは憲法違反」と提訴した原告の一人です。今回の訴えは、「自民党の多くの議員が、夫婦別姓の必要性を認めながら、旧統一協会や日本会議などの保守勢力に押さえ込まれ、夫婦別姓問題が前進しない。私たちが求めているのは、選択的夫婦別姓制度であることが、理解されていないのでは。夫婦別姓にすると家庭が崩壊するというが、夫婦別姓制度を認める国でそんなことが起きているのか」と夫婦別姓制度に反対する勢力の主張がいかに欺瞞なものであるかを指摘しました。

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三人目は、河井疑惑ただす会 山根岩男さん。山根さんは、河井問題が発覚していこうずっとこの問題にこだわり活動を続けています。「岸田さんは、河井問題のお金の流れの解明が必要だといっていながら、首相になった途端、この主張を撤回し、ほおかむり。総裁選挙で、表紙を変えて裏金問題をうやむやにすることは絶対に許せない」と訴えました。

四人目は、イスラエルのガザ侵攻に抗議して毎日原爆ドーム前で、犠牲者の追悼と抗議のスタンディングを続ける広島パレスチナともしび連帯共同体からのアピール。名前をメモすることが出来ずアピール者の名前を紹介できません。「私たちが常に関心持つこと、そして声を上げ続けることが大切。傍観者になってはいけない」と呼びかけました。

最後に私もマイクを握り、異常な状態での自民党総裁選挙について訴えました。

「総裁選挙が始まる前から連日のように〇○立候補予定者は。立候補表明していない議員まで紹介するマスコミ報道の異常さ。岸田首相は『責任をとって総裁選立候補しない』といったが、その責任の原因となった旧安倍派の裏金議員の説明責任に言及する立候補予定者が全くいない。なぜ?。やめるといった岸田首相が、『憲法9条の改憲を引き継げ』という。岸田首相は、自分の都合のよいときには、広島一区選出を強調するが、そうであるなら広島市民が願っている『広島の悲惨な体験から生まれて平和憲法を守ること』にこそ全力を挙げるべきだ。安倍政権による憲法違反の戦争法成立以降、この国は戦争への道を突き進もうとしている。そんな道を許すのか、市民一人一人が私たちと一緒に声を上げて欲しい」と呼びかけ、9月の『3の日行動』は終了しました。

参加者は、30人でした。

いのちとうとし

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2024年9月 5日 (木)

ヒロシマとベトナム(その61) ~南シナ海をめぐる動向-5~

深まる日本の軍事的プレゼンス

昨年秋以降、南シナ海における領有権争いがヒートアップし、軍事衝突の引き金になりかねない状態が続いることは、これまで幾度も報告しました。8月末には、「日本から供与されたフィリピンの大型巡視船と中国海警局の船が衝突」と大きく報道され、こうした衝突に日本が深く関わっている事実が改めて明らかになりました。

日本は2014年に44メートル級の巡視船10隻、2016年に97メートル級2隻の計12隻の巡視船を供与しています。5月には新たに5隻の大型巡視船の供与を決めるなど、フィリピン沿岸警備隊の戦力アップを強力に後押ししています。

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(出典:NHK NEWS WEB 8月31日)

 そして7月にマニラで開催された日本フィリピン外務・防衛担当閣僚協議(2+2)で、両国の防衛協力関係を「準同盟」に引き上げ、部隊間の相互連携を強める「円滑化協定(RAA)」が締結されました。日本はイギリス、オーストラリアに次ぎ、中国との厳しい領有権争いを展開しているフィリピンを「準同盟国」に位置づけたのです。そうした中で起きた日本供与の大型巡視船と中国海警局の艦船との衝突は、事態のさらなる深刻化と日本の一層深い関わりへとつながらないか心配です。

全世界を駆ける海上自衛隊

ますます緊張度を高めている南シナ海や東シナ海を中心に、主に海上自衛隊の動向(共同訓練)をピックアップしてみました。

2024年1月5日     海上自衛隊、オーマン王国海軍による「日オーマン海上訓練」、オーマン湾

2024年1月        海上自衛隊、アメリカ海軍、韓国海軍による「日米韓協同訓練」、東シナ海

2024年1月15~17日 海上自衛隊、アメリカ海軍、韓国海軍による「日米間共同演習」、東シナ海

2024年1月8~24日 海上自衛隊、アメリカ海軍、インド海軍、韓国海軍、固定翼哨戒機多国籍協同訓練

2024年1月17日     海上自衛隊、フランス海軍による「日仏協同訓練」、アラビア海

2024年1月17~19日 海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米郷土欧訓練」、東シナ海、沖縄周辺

2024年1月29~2月1日 海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米共同訓練」、沖縄周辺

2024年2月      海上自衛隊、インド海軍などによる 「多国間協同訓練」、ヴィシャカパトナム周辺

2024年2月      航空自衛隊、アメリカ空軍、オーストラリア空軍による「日米豪共同訓練」

2024年2月7~8日 海上自衛隊、アメリカ海軍、オーストラリア海軍による「日米豪共同訓練」、南シナ海

2024年4月   海上自衛隊、フィリピン海軍、アメリカ海軍、オーストラリア海軍、「共同活動」、南シナ海

2024年4月   海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米共同訓練」、東シナ海から四国沖

2024年4月   海上自衛隊、アメリカ海軍、韓国会議運による「日米間共同演習」、東シナ海

2024年4月   海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米共同訓練(SWATT24)」、横須賀から沖縄東方

2024年4月   航空自衛隊(哨戒機)、インド海軍(哨戒機)による「日印共同訓練」、関東南方海空域

2024年4月   海上自衛隊、マレーシア海軍による「日馬共同訓練」、南シナ海

2024年5月   海上自衛隊、マーシャル諸島共和国による「日マーシャル親善訓練」、マーシャル諸島

2024年5月   海上自衛隊、アメリカ海軍、ニュージーランド海軍による「日米新共同訓練」、東シナ海

2024年5月   海上自衛隊、オーストラリア海軍による「日豪共同訓練(トライデント24-1)、東シナ海

2024年6月   海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米共同訓練(ノーブル・レイヴン24-2)、グアム北方

2024年6月   海上自衛隊、フィリピン海軍、アメリカ海軍、カナダ海軍による「共同訓練」

2024年6月   海上自衛隊、スリランカ海軍による「親善訓練」、インド洋

2024年6月   海上自衛隊、インド海軍による「日印共同訓練(JIMEX2024)、インド洋

2024年6月   海上自衛隊、トルコ海軍による「日土共同訓練」、関東南方海域

2024年6月   海上自衛隊、アメリカ海軍、カナダ海軍、フィリピン海軍による「日米加比共同訓練」、南シナ海

2024年6月   海上自衛隊、フランス海軍による「日仏共同訓練」、タヒチ周辺海域

2024年6月   海上自衛隊、オランダ開軍による「日蘭共同訓練」、東シナ海

2024年6月   海上自衛隊、フランス海軍主催による「人道支援・災害救援に関する多国間共同訓練」  

2024年6月   海上自衛隊、パキスタン海軍による「日パキスタン親善訓練」、アデン湾東方海域

2024年7月   海上自衛隊、カナダ海軍による「日加共同訓練」、東シナ海

2024年7月   海上自衛隊、アメリカ海軍による日米共同訓練(ILEX24-4)、九州西方海域

2024年7月   海上自衛隊、イギリス海軍、オーストラリア海軍による「日英豪共同訓練、フィジー沖など

2024年7月   海上自衛隊、バーレーン王国海軍哨戒艇による「日バーレーン親善訓練」、インド洋

2024年7月   海上自衛隊、フランス海軍による「日仏共同訓練」、太平洋

2024年7月30~31日 海上自衛隊、ブルネイ ダルサラーム国海軍による「親善訓練」、南シナ海

2024年8月   海上自衛隊、シンガポール海軍による「日星親善訓練」、関東南方海域

2024年8月   海上自衛隊、アメリカ海軍による「日米共同訓練」、南太平洋

2024年8月   海上自衛隊、アメリカ海軍主催による「多国間ミサイル警戒演習」、ハワイ周辺海域

2024年8月   海上自衛隊、フランス海軍による「日仏共同訓練」、関東南方海域

2024年8月   海上自衛隊、パキスタン海軍による「日パキスタン親善訓練」、オマーン湾東方海域

2024年8月   海上自衛隊、フィリピン海軍による「海上協同活動」、南シナ海

2024年8月23~9月2日  海上自衛隊、アメリカ海軍、韓国海軍による「多国間共同訓練」、グアム

2024年9月   海上自衛隊、オーストラリア海軍、イタリア海軍、ドイツ海軍、フランス海軍による「共同訓練」

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(8月23日~9月2日まで実施された米国主催多国間共同訓練の模様  出典:海上自衛隊ホームページ)

自衛隊が公表している訓練だけで42回です。見落としや公表されていないものを含めるとさらに多いと思います。南シナ海や東シナ海が多いですが、沖縄周辺、グアムなど南太平洋、中国とせめぎ合っているフィジーやソロモンなどの南太平洋、インド洋からオマーンなど中東まで、ほぼ全域に及んでいます。さらにイギリスやフランス、イタリアやカナダなどNATO諸国との軍事演習も目立ってきているように思います。

(2024年9月5日、あかたつ)

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2024年9月 2日 (月)

久しぶりの参加です。「VIGIL FOR GAZA(ビジルフォーガザ)」

昨年10月7日から始まったイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの軍事侵攻から、もうすぐ10ヶ月が経とうとしています。

8月31日付の中国新聞は、ガザ保健当局の発表として、イスラエルによる戦闘開始以降のガザ側の死者は、4万602人だと報じています。また同じ紙面で、9月1日から3日間、ガザで確認されたポリオ(小児まひ)の感染拡大防止のための予防接種を実施するため、感染症対策を目的とした戦闘休止に合意したと言われます。これを機に、停戦実現に向けた話し合いが、進むことを願わずにはいられません。

原爆ドーム前では、「広島パレスチナともしび連帯共同体」の呼びかけで、軍事侵攻開始直後の10月13日から連日スタンディングによる「VIGIL FOR GAZA(ビジルフォーガザ)」の行動が続いています。ビジルとは通夜、追悼を意味する言葉です。

私もこれまでに何度か参加してきましたが、8月は一度も参加できていません。9月に入った昨日、本当に久しぶりに原爆ドーム前に足を運びました。

私が、今回参加するきっかけとなったのは、先月30日に行なった「大邱の『いのち、平和機構団』の平和ツアー」との交流です。

この平和ツアーのメンバーは、大邱でも最近「パレスチナ平和のための大邱慶北緊急行動」が発足し、現在27団体が所属し、断続的な集会や毎日1人デモを行っているということで、

私との交流の場にも、全員が「EXISTENCE IS RESISTANCE」(存在・生存は抵抗である)の文字とパレスチナの地図が描かれたTシャツで着て参加し、夕方には原爆ドーム前の市民の行動に参加するとのことでした。

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私の話が終わった後、メンバーから赤いTシャツ一枚がプレゼントされましたので、そのTシャツを着て参加しなければと思い、月初めの昨日参加しました。

午後6時に原爆ドーム前に行くと、すでに8人が集まり、スタンディングの行動が始まっていました。

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最終的には、昨日の参加者は、11人でした。私も50分ほどその中に加わりました。

私が、なぜこのTシャツを着ているのかを説明すると、参加者の一人が「30日に大邱の皆さんが一緒に参加し、準備してきた声明文を読み上げ、連帯の行動を行なってくれた」と話してくれました。

いまガザで起こっていることは、まさにイスラエルによる民族撲滅をねらうジェノサイトと言える行為であり、絶対に許されるものではありません。

思えば、101年前の9月1日には、関東大震災によって朝鮮人・中国人の虐殺事件が起こりました。忘れてはならない歴史です。

私たちが、あやまちを繰り返さないためには、負の歴史とも言えるこうした事実にしっかりと向き合うことだということを感じたスタンディングでした。

いのちとうとし

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2024年8月25日 (日)

「第7次エネルギー基本計画」の議論、その後

7月25日のブログで、「第7次エネルギー基本計画」のことを書きましたが、「その後」についても書かせていただきます。

一般の新聞紙では多く報道されていませんが、エネルギー基本計画の議論が行われている経済産業省の総合資源エネルギー調査基本政策分科会(以下、「基本政策分科会」とします)の審議会は、月2回のペースで会合が開かれています。

改めて私たちがこれから行えるエネルギー基本計画への、意見の反映方法や、この度のエネルギー基本計画の問題点、争点についてお知らせしたいと思います。

経済産業省には、エネルギー政策に関する「意見箱」というのがあります。7月23日で意見箱に寄せられている意見の数は、累計80件程度とされています。

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これからの第7次エネルギー基本計画が決められるプロセスは、今年末までに有識者による作業を終え、その後パブリックコメント(パブコメ・公けから意見を求めること)の手続きを経て、今年度末の来年3月までに決定されることになっています。

経済産業省が仕切っている第7次エネルギー基本計画と、環境省が仕切る地球温暖化対策計画の審議は、内閣府の「GX実行会議」に統合されることになっています。最終的には「GX2040ビジョン」となる予定です。

今後、経産省と環境省のせめぎ合いとなりそうですが、経産省が強い影響力を持っていた岸田政権が退陣することになり、今後の政権の動きが気になるところです。もちろん立憲民主の党首選挙と野党共闘の在り方もです。

昨年12月にアラブ首長国連邦のドバイで開催された、COP28(温暖化防止条約締約国会議)の決定文書では、2030年に再エネ3倍、省エネ2倍を定めました。今年、イタリア南部で開催されたG7サミットの首脳宣言でも、2035年までにNDC(国別目標、2025年1月頃提出)においてG7の多くが「電源の再エネ100%」に近づくとしたのです。

世界の電源の再エネ率は既に30%で、2030年に3倍なら90%、2035年には100%達成されるとされています。日本は遅れているとは言われますが、環境エネルギー政策研究所の最新情報によれば、2023年度の再エネ比率は25.7%とされています。その内訳は、水力7.5%、太陽光11.2、風力1.0%、地熱0.3%、バイオマス5.7%です。

この度のエネルギー基本計画の議論では、原発がダメな理由をしっかりと指摘することが重要だと思います。パブコメの開始を待つのではなく、すぐに意見を寄せることが重要です。

 ・世界で最も地震が多く、火山の多い日本には原発は危険すぎ

 ・もし、戦争となれば、一番にミサイルの標的になる

 ・被ばく労働者をたくさん作る

 ・原発は何万年以上、強い放射線を出し続ける廃棄物を作る

 ・世界中どこでも廃棄物処分は出来てない。困っている。見えるところにおいて長く見張っておくしかないのが人類の現状

 ・そこまで考えると、原発の電気は非常に高い

福島原発事故の時の民主党政権下で、2012年に「革新的エネルギー・環境戦略的」とされた議論では、全国で国民・市民的熟議討論会が開催されました。広島市内でも開催されたのを覚えています。

「意見箱」「パブコメ」だけでなく、国民・市民的大討論を要求し、世界に通用するエネルギー基本計画、ビジョンを求めていかないと、ますます立ち遅れる状況になってしまいます。

大阪の市民団体「地球救出アクション97」が、「再エネ最優先の政策をつくれ! 脱原発・脱石炭火力で再エネ100を」という1部200円のパンフレットを作成されましたので、お勧めします。

申し込みは、090-7090-1857 稲岡美奈子さんへ

木原省治

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