上関をめぐる今年の動きを予想する
私が担当した1月25日のブログで「島根原発をめぐる今年の動きを予想する」と題して書かせていただきました。正月気分はとっくに無くなっていますが、今号では「上関をめぐる今年の動きを予想する」と題して書くことにしました。
以前なら「上関原発をめぐる…」と書くのでしょうが、現在、上関町では上関原発の動きというより、使用済み核燃料の中間貯蔵施設をめぐる動きの方が前面に出ています。「方が」というよりも、中間貯蔵施設だけになったように思えます。
1月14日、新年のあいさつで上関町を訪問した、中川賢(けん)剛(ごう)中国電力社長は、西 哲夫上関町長と面談しました。新聞記事を見る限り、中間貯蔵施設のことばかりとなっています。
上関町に原発建設の動きがあるのを、忘れてしまいそうな感じです。昨年12月10日、久しぶりに上関町議会の本会議を傍聴しました。新装された役場内の議場、原発に反対する議員も質問しましたが、原発をめぐる質問は全く有りませんでした。
上関原発の建設計画が公けになって、今年は43年目です。こんなに長期間に亘り、地元の人を含めて苦しませているのは大犯罪です。人としても組織としても許されないことだと思います。中電で働いている人からも、同じ考えの人は多いと聞きます。
中間貯蔵施設建設について、共同事業だとして前向きだった?関西電力も、ここにきてそのスタンスは後退しているように思えます。福井県の原発内に置かれている使用済み核燃料について、「どうしても県外に出すこと」を再稼働の条件にしていた福井県当局のスタンスが、後退したことが大きな理由だと思っています。
読売新聞より
今年、上関原発計画が完全に撤回されることは無いでしょうが、次の2点をめぐる動きに注目しています。
その一つは、今年度中に閣議決定される予定の第7次エネルギー基本計画です。原発の新設問題について、これまでは既存原発の敷地内に建設するとしていた考えを、別の原発敷地での新設を容認する「敷地外」での建て替えにも道を付けました。中電の場合、島根以外で別のところに原発は在りませんから、上関も新設にはなりません。
エネルギー基本計画の素案が示された日に、経済産業省資源エネルギー庁の担当者は、建て替え先に「上関は該当しない」と言い切ったと、12月18日の新聞は報じています。
二つ目は、中電が「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に起こしている、原発建設予定地内での海上ボーリング調査を止めないように求めている訴訟です。山口地方裁判所岩国支部で行われている裁判ですが、まさに反対運動への恫喝(どうかつ)訴訟といえます。
その一で書いたことにも関連しますが、上関原発の原子炉設置許可申請は2009年12月18日、中国電力から経済産業省原子力安全・保安院に提出されました。
提出した日の中電の記者会見用資料を見ますと、この申請は初めに原子力安全・保安院による第一次審査を受けることになっています。皆さんご存知のことだと思いますが、3・11福島原発事故後、原子力安全・保安院は廃止されました。上から読んでも下から読んでも「ホアンインアホ」で、笑いの話題なった保安院でした。
保安院が無くなり、「独立性が高い」とされた原子力規制委員会が発足しましたが、原子力規制委員会からは新設原発の審査の基準も出されていません。当然ですが、審査をする予定もありません。
海を埋め立てると元に戻すことは不可能です。上関原発は建設できないとした第7次エネルギー基本計画、それでも海を埋め立てようとする中電の恫喝訴訟、この訴訟の動きが上関原発計画を撤回させる、まさにトドメになると思います。
次回公判は4月10日、次々回は5月29日のいずれも木曜日と決まっています。
取り返しが出来ない海の埋立て、そのためのボーリング調査、理屈がつかない中電の主張、裁判ですから勝っても負けても控訴・上告という手続きとなるでしょうが、中電が負ける可能性を予測しています。
山口地裁岩国での判決は今年中に出されるでしょう。大きな節目となるのは間違いないと思っています。
追記ですが、2月2日に上関の隣り町、田布施町で町会議員選挙が行われ、「原発いらん!山口ネットワーク」の小中進代表が3位で当選されました。中間貯蔵施設反対の議員が4名から6名になり、推・反同数となりました。
木原省治
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