アメリカ・臨界前核実験抗議の座り込み
アメリカが2月に行った「臨界前核実験」に抗議する座り込みが、核兵器廃絶広島平和連絡会議(連合広島、広島県原水禁など12団体で構成)の呼びかけで被爆者や被爆二世などを含む市民、労働者約80人が参加し、平和公園・慰霊碑前で27日の午後0時15分から実施されました。
私が、このアメリカの臨界前核実験実施のニュースを耳にしたのは、ちょうどトランプ大統領が大統領専用機に乗って日本に向かって飛行中の時間でした。唖然とする思いとともに強い憤りを覚えました。あまりにも挑戦的と思えてならないからです。しかも、実験が行われたという2月13日は、米朝首脳会談がベトナムで開催される直前です。北朝鮮に非核化を迫りながら、自らは例え爆発を伴わないとはいえ核実験を行っていたのですから、何おかいわんやです。
アメリカはトランプ政権になって以降、「核兵器禁止条約」に賛成しないばかりか、INF(中距離核戦力)全廃条約からの離脱、核兵器役割を拡大をめざす「核態勢の見直し」を発表しより使いやすい小型核兵器開発、水上艦や潜水艦から発射する巡行ミサイル開発への言及など、広島の願いである「核兵器廃絶」と逆行する動きを強めています。今回の「臨界前核実験」実施も、そうした流れの一環と考えなければなりません。そして何よりも強調したいことは、「核実験」は常に使用が前提とされていることです。核兵器の使用が危惧される事態をアメリカ自身が招来しているとも言えます。
抗議の座り込みは、最後に広島県被団協の箕牧理事長代行が、「前回の核実験は、ICAMへのノーベル平和賞が授与されている時、そして今回は、米朝首脳会談の直前。核廃絶を願う私たちへの挑戦そのもの。アメリカのこの行動は絶対に許せない。ちょうどいま米日首脳会談が行われているのだから、安倍首相は、きちんと抗議すべきだ」とあいさつ、そして下記の抗議文をトランプ大統領に送付することを確認し、終了しました。
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臨界前核実験に対する抗議の申し入れ
貴国のローレンス・リバモア国立研究所は、2019年2月に、貴国がネバダ州の核施設で臨界前核実験を実施したことを明らかにしました。
今回の臨界前核実験は通算29回目にあたり、被爆地ヒロシマの「核兵器廃絶と世界の恒久平和」への思いを踏みにじる到底許せない行動であり強く抗議します。
貴国はこの実験について、貯蔵した核弾頭の安全性を向上させるため、プルトニウムのデータ取得を目的とした、包括的核実験禁止条約(CTBT)の対象外の実験と主張しています。また、エネルギー省の傘下にある国家核安全保障局(NNSA)は、今年2月、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に搭載する低出力核弾頭の製造を開始したことを明らかにしており、いかなる理由があろうとも核兵器の実験、ましてや核兵器使用は絶対にあってはなりません。
くわえて、今回の実験は今年2月の2回目の米朝首脳会談の直前に行われており、トランプ政権として、北朝鮮に非核化を迫る一方、みずからは臨界前核実験を通じて核兵器の性能向上を進めていました。
これは、国際社会において許されざる行動であり、今回の貴国の行動は、「核兵器の廃絶と世界の恒久平和」実現を求める被爆地ヒロシマの声や国際世論に対する重大な挑戦であるといわざるを得ません。
私たちは「核兵器廃絶と世界の恒久平和」実現の願いを込めて、米国がCTBTや核兵器禁止条約を早期に批准し、臨界前核実験をはじめすべての核実験の中止や、核兵器のない世界の早期実現に向けた積極的な行動を求めます。
以 上
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核実験が行われるたびに抗議の意思を表す座り込みを続けてきました。私はいつも、原爆慰霊碑前で座り込むことは、いま自らが声をあげることのできない原爆犠牲者の思いをともにする行動だと考えています。今日もまた、そのことを感じながらの行動でした。
いのちとうとし
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