「屍の街」の章題―つづき
図書館に行き、事情を説明すると、司書や学芸員のみなさんが、蔵書を検索し関連する資料を準備していただきました。
最初に調べたのは、「章題」に関する研究書はないのかです。まず調べたのは、原爆の問題を「文学」、あるいは「文学的」な問題として研究している人たちの発表の場となっている「原爆文学研究」です。大田洋子に関しての記述がある巻(現在まで23号まで発行されている)を3冊ほど出していただいたのですが、その中に「章題」に関する研究報告はありません。図書館員の方が、その他にも、研究書のなかで検索でききたものはありませんでした。
さらに、題が「屍の街」なっている本、「屍の街」が収録されている本を調べます。
参考になったのは、「大田洋子全集第一巻」(以下「全集第一巻」)です。
ここに収録された「屍の街」には、「章題」がついていますが、巻末に佐多稲子ヘの聞き取りが「解説」として掲載されています。しかし、その中に「章題」に関する発言はありません。
「解説」の後に浦西和彦さんによる「解題」があります。その中心は、文章をどう直したのかなどの「校訂」について詳しく記述されていますが、しかし「章題」の変更については書かれていません。「章題」に関する記述は、「収録」の中に出てきます。「収録」は「屍の街」がどの本に掲載されているのかを記述しています。そこに記述されていることを全文引用します。
「屍の街」(昭和25年5月30日・冬芽書房)一七-二一八頁、このとき中央公論社版削除部分「無欲顔貌」の章を増補、字句大幅に修正、章題「酷薄な雨と風」を「風と雨」に変更。市民文庫「屍の街」(昭和26年8月15日・河出書房)二〇-一七九頁、このとき章題を削除。小田切秀雄編「原子力と文学」(昭和30年8月5日・大日本雄弁会講談社)三一-六三頁、「運命の街・広島」章(本巻39から63頁)部分の抄録。河出文庫「屍の街」(昭和30年9月19日・河出書房)二〇-一七九頁。「日本現代文学全集106<現代名作選(二)」(昭和44年6月19日・講談社)三〇-四一頁、「運命の街・広島」章(本巻39~63頁)部分の抄録。潮文庫「屍の街」(昭和47年7月20日・潮出版)五-一五八頁。
「収録」によれば、「屍の街」が、全文収録され発行されたのは、冬芽書房版と、市民文庫版、河出文庫版、潮文庫版の4回と云うことになります。ただ、河出文庫版は、河出書房が市民文庫版の名前を変えて出版したものですので、実際には3種類といってよいと思われます。
この「収録」で、「章題」についての記述は、冬芽書房では、「削除部分『無欲顔貌』の章を増補し、章題『酷薄な雨と風』を『風と雨』に変更したことが書かれています。
冬芽書房版の本もありますので、確認しました。
当たり前のことですが、「章題」はついています。
次は、市民文庫版での確認ですが、その結果は簡単に書き切れませんので、今日はここで終了し、つづきは次回(28日)に報告します。
(敬称略)
いのちとうとし
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