「旧呉海軍工廠砲熕部火工場機械室」見学
先月末、高校の同窓生の車に同乗させてもらい呉に行ってきました。目的は、呉市若葉町にある海上保安大学校の敷地内に残る旧呉海軍工廠の建物を見学するためです。
同窓生は、私が2021年2月ころにこのブログに連載した「学徒動員と原爆被爆」を読んでくれていて、私が関心を持っているだろうと誘ってくれたのです。
当日朝、広島市内で待ち合わせをし、車で呉市若葉町にある海上保安大学校に行きました。あらかじめ予約していましたので、事務所を訪れ最初に敷地内にある海上保安資料館を見学しました。
その後、主目的である敷地内の少し奥にある「旧呉海軍工廠砲熕部火工場機械室」のレンガ造りの建物を訪れました。ちなみに「砲熕」とは大砲のことです。この建物は、現在は、海上保安大学校煉瓦ホールとして使用されています。
「旧呉海軍工廠砲熕部火工場機械室」は、1914年(大正3年)に建造されたレンガの建物で、「海軍第一の製造所」と言われた呉海軍工廠の建物の主要構造部, 外観部分など建設当時の意匠をよく残しており、呉市の有形文化財に指定されています。
中に入ると当時の様子がしのばれます。がっちりした天井の骨組み。
よく見ると、碍子も沢山残っており、当時機械室だったという面影を感じます。
おしゃれな出入り口。
建物の裏側です。
気になったのは、レンガの積み方です。
一段おきに大きさのちがうレンガが、積まれています。これまで訪れたレンガ造りの建物では,こうした積み方は見たことがない気がします。
珍しい積み方だなと思いましたので帰宅後調べると、このように「一列目は小口だけ、二列目は長手だけというふうに一列ごとにレンガの向きを変える積み方」は、イギリス積みというようです。明治に入ってレンガ造りの建物が建ちはじめた最初のころは、同じ列で長手と小口を交互に積むフランス方式だったようです。しかし、その後イギリス積みはフランス積みと比較すると強度が高く、使うレンガが少なくて済むので経済的とも言われ、イギリス積みが取り入れられるようになりました。
レンガの積み方はこれぐらいしに、肝心なことは、ここに学徒動員された生徒たちが、どんな作業をしていたかです。
1935年(昭和10年)に「呉海軍工廠火工部」として「砲熕部(ほうこうぶ)」から独立したこの工場では、主に火薬や砲弾の製造をする工廠となりました。
ですから動員された学徒は、火薬や砲弾をつくる作業に従事させられていたと思われます。呉市が2006年(平成18年)に発行した「呉市の歩みⅡ」に、その作業の様子を映した写真があります。
キャプションには、「防空壕内で砲弾部品の製造にはげむ女子動員学徒(呉工廠火工部)」と書かれています。「防空壕内」と書かれていますので、レンガ造りの建物内での作業ではありませんが、「呉海軍工廠火工部」での女子動員学徒の作業の様子の一部に間違いありません。周囲には防空壕跡がある(私は、帰宅後調べて知ったので、当日は見ていない)ようですから、建物以外でも作業が行われていたものと思われます。
もう少し紹介したいことがありますが、今日はここまでにし、つづきは明日にします。
いのちとうとし
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非公開希望します 火薬製造は現在どこかの企業に継承されていますか 昔の建物は見た目がイイです 今と違ってのっぺらぼうではないです
投稿: | 2025年3月16日 (日) 00時25分
コメントありがとうございます。
後継企業がどこかは、残念ながら承知していません。
投稿: いのちとうとし | 2025年3月17日 (月) 16時38分
流れをくむ会社を想像します でも言えません
投稿: | 2025年3月18日 (火) 01時07分