「放射能とともに歩む」-平和記念資料館ボランティアスタッフ研修会
原爆資料館が主催する「広島平和記念資料館ボランティアスタッフ研修会」が、7日の午後1時45分から原爆資料館地下ホールで開催されました。
講師は、明星大学教授の竹峰誠一郎さんです。竹峰さんの話しは、何度か聞いたことがありますが、タイトルの「放射能とともに歩む マーシャル諸島 折り重なる気候危機」に惹かれて、私も参加しました。
竹峰さんは、マーシャル諸島の被爆問題に関しては第一人者といってもよい人で、今回の講演もいろいろと学ぶことのできる内容でした。
竹峰さんは、初めにで、次の四つの問題提起をされました。
・2025年とは?被爆80年であるが、それだけの視点で良いのか。 ・広島・長崎の原爆を語るとき「人類初」「最後」「唯一」←それでいいのか ・核兵器は「安全保障」、外交問題だけ・・・?あるいは「歴史」の問題だけ? 現代そして未来の問題、地球環境問題とどう繋がっているのか? ・広島から発する、核兵器問題とは? 原爆投下とともに、核の危機として、戦争で核兵器が使われること、その可能性が高まっていることへの警鐘だけでいいのか? →マーシャル諸島をはじめ世界各地の核被害者に想像力の射程を広げて展開していきます。 |
この4つの問題提起を見れば、竹峰さんの今の広島の反核運動をどう見ているのかが見えてくる講演だったことが分かると思います。
そのさわりを紹介します。
「最初の犠牲者だというのは誤りだ」―広島、長崎の原爆投下前
・先住民の土地を収奪して建設された米ニューメキシコ州ロスアラモス研究所
・広島原爆の原料 ウランはどこからやってきた?
・長崎原爆の原料 プルトニウムはどこからやってきたのか?
・1945年7月16日 核爆発実験 トリニティー
→ニューメキシコ州 先住民族 環境正義を求める活動。終わりのない除染作業
「長崎を最後の被爆地に」というが?
1946年7月マーシャル諸島での核爆発実験開始 今も続く核汚染
気づかれたかと思いますが、竹峰さんは、「核実験」を「核爆発実験」と表現することで、核被害が続いていることを認識しなければならないことを教えていることです。今回の講座は、主に碑めぐりなどを行っているボランティアスタッフが対象となっていますが、この竹峰さんの「ブローバルヒバクシャ」「人類みなヒバクシャ」という提起をどう受け止めたか、興味あります。
講演の中で私がもっとも興味深く聞いたのは「1975年フィジーで開催された非核太平洋会議」の話です。森滝市郎先生は、この「非核太平洋会議」に参加され、オーストラリアの先住民アボリジニーの女性との出会いが、その発言を聞いて「核と人類は共存できない」の理念を決定づけ、その年の被爆30周年原水禁大会で打ち出されたのです。
竹峰さんは、この「非核太平洋会議」が「非核独立太平洋運動」へと発展したことを指摘されました。私も「核問題」の講演では、必ずといってよいほど、この1975年の「非核太平洋会議」について触れてきましたが、もう少し「非核独立」という視点に広げなければということを教えられました。
「被爆80年」と簡単に使っていますが、広島、長崎の原爆投下は「点」であるととらえるのではなく、その後の核拡散=核兵器拡散が、核被害の拡散でもあったという問題に意識的に向き合うことが大切だと強く感じました。
核問題、とりわけ核被害の問題にどう向き合わなければならないのかを学ぶことの大切さを教えられた竹峰さんの講演でした。
いのちとうとし
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