ビキニ・デー
今日3月1日は、71年前南太平洋でマグロ操業中だった第五福竜丸をはじめ多くのマグロ漁船が、アメリカが実施たブラボー水爆実験により放出された大量の放射能によって被曝した日です。
第五福竜丸の被曝、そして汚染マグロに対する不安が全国的に広がる中で、今日に繋がる原水禁運動のスタートとなる署名運動が始まりました。
原水禁国民会議は今年も、昨日今日の二日間、静岡でビキニ・デーの取り組みを行っています。昨日午後6時から静岡で開催された「被災71周年3.1ビキニ・デー全国集会」で私が「被爆80周年 核兵器廃絶のためにー原水禁運動の歴史に学ぶー」のタイトルで講演を行いました。
今日は、午後1時半から、被曝後亡くなった第五福竜丸の乗組員久保山愛吉さんのお墓がある焼津市・弘徳院で碑前祭が行われます。昨年は、私も参加したのですが、今年は広島での予定があり、参加しません。
アメリカによるビキニ水爆実験による被曝は、日本のマグロ漁船だけではありませんでした。約240km離れたマーシャル諸島ミクロネシアのロンゲラップ環礁の島民64人も被曝していました。
1954年に始まった前項の署名運動、そして広島で1955年8月6日から始まった第1回原水爆禁止世界大会の開催ヘと日本国内の反核運動は広がったのですが、私たちが、マーシャルをはじめ、南太平洋の島々に住む人々の被曝の実相と向き合うようになったのは、ずっと後のことです。
「原水禁運動は、ビキニの水爆実験から始まった」といいながら、第1回原水禁世界大会から16年目となる被爆26周年(1971年)原水禁大会にミクロネシア代表団の参加したことから、ようやく日本人以外の被曝の問題に向きあうことになったのです。
被爆26周年原水禁世界大会で訴えるミクロネシア代表モーゼス・ウルドゥング
この大会に参加したミクロネシア代表団からの要請を受け、原水禁として、この年の12月に日本で初の「ミクロネシア被曝調査団」を派遣しました。その後毎年の大会にビキニ水爆実験被災地からの代表が原水禁大会に参加します。1975年の3.1ビキニデーには、マーシャル諸島ロンゲラップ村長が来日しました。
そうした交流の深まりによって、1975年4月にフィジーで開催された「非核太平洋会議」に原水禁から森滝市郎先生が参加されます。その会議の中で、オーストラリアから参加したアボリジニの女性の発言「ウラン鉱山は、私たちの祖先の聖地にある。その聖地がとりあげられ、私たちの同胞の無知をよいことにして、ウラン採掘の最も危険な所で低賃金で働かされているのである」が強い後押しとなって、その年8月に開催された被爆30周年(1975年)原水禁世界大会で、「核と人類は共存できない」「核絶対否定」の原水禁の理念の提起に繋がりました。
ビキニ・デーの今日、ぜひそんな歴史を思い起こして欲しいと思います。
ここで少し追加しなければならないことがあります。日本被団協のノーベル平和賞受賞は、初期原水禁運動の歴史を学ぶ機会にもなりました。日本被団協、広島県被団協の初代事務局長藤居平一さんの資料を見る機会がありました。
その資料の中の一枚に「今後の救援運動の問題点」という資料があり、そこには「原水爆被害者は、広島、長崎、原爆によるものの外、各地で行われる水爆実験によって各所に散在していると考えられる。その著しい例としては、ビキニ水爆実験によるマーシャル諸島の住民等があげられる。」と書かれています。こうした問題意識があったにもかかわらず、なぜかその後原水禁運動の中でマーシャル諸島の住民の問題が取上げられることはなかったのです。
いのちとうとし
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