紙屋町シャレオ古本まつり
第34回目となる「紙屋町シャレオ古本まつり」が、紙屋町シャレオ中央広場で、1月25日から今日2月2日までの会期で開催されています。
今回は岡山、山口、福岡の店舗を含め10店舗が出店しています。時々郷土史や原爆関係の珍しい本が棚に並ぶことのある岩書房の出店がないと言うことを事前に聞いて残念に思っていましたが、いつも通り初日のオープン時に行ってきました。
オープンしてすぐに訪れる人の姿が増えてきました。
いつもより多い気がします。数日後、とりまとめ役であるアカデミイ書店を訪れたとき、「古本まつり、売れゆきはどうですか」と尋ねると「来場者も多く、それなりの売り上げがあります」とのこと。どういうジャンルの本を探しているのはわかりませんが、意外と、というとちょっと変ですが、若い女性の姿が目に付きます。上の写真もよく見ると真ん中奥の方に若い女性の姿が何人か映っています。
最近自宅の本を少なくするための整理をしていますので、以前のように安いから珍しいからといって買い込むことはできません。各店の郷土史、原爆関係の本が置かれている棚だけを見て回ります。私もこれまでにかなりの本を入手していますので、「これは」という本はなかなか見つかりません。
今回は、購入本なしで帰ろうかなと思いながら、最初の頃に見た棚をもう一度見ると、ちょっと興味をそそられる本の表紙が目に入りました。
「昭和二十年十一月 終戰教育事務處理提要 第一輯 文部大臣官房文書課」
少し茶けた本で、パラフィンの袋に入っています。出展者は、アカデミイ書店です。会計のところに顔見知りの店員の姿がありましたので、お願いして袋から出してもらいました。終戦直後に発行された本で紙質はよくありませんが、保存がよかったのでしょうきれいな状態です。
表紙を開くと終戦の詔書が、旧漢字で書かれています。興味深いのは、日付が「昭和二十年八月十四日」となっていることです。
それはとりあえず置いて、次のページに「凡例」として次のように書かれています。旧漢字とカタカナで書かれているのですが、読みづらいので新漢字とひらがなで記載します。
「本輯は、昭和二十年八月十五日終戰に伴い連合国軍側より日本帝国政府に対し発せられたる教育関係の指令覚書等を収録せり。
本輯は終戰に伴い本省関係の閣議決定、次官会議決定(報告、了解事項を含む)及び諸通牒類を収録し事務担当者の便に供せんとするものなり。
本書は付録として終戰に伴い制定並びに廃止せられたる法令をも便宜収録することと競り」
これで、この本がどんな目的で発行されたのかがわかります。
「第一章「ポツダム」宣言並びに指令」の最初には、「ポツダム」共同宣言が収録され、付録として「カイロ」宣言も記載され、次に「連合国軍側よりの指令」と続きますが、もっとも古い日付は、昭20・10・11です。
第二章からは、閣議決定や次官会議決定が記載されています。興味深いのは、終戰日といわれる昭20・8・15に「聖旨奉戴方に関する件」と題した訓令が出されていることです。さらに翌日の昭20・8・16には文部次官、厚生次官のなで「動員解除に関する件」が出され、工場に出動していた学徒の動員を解除し、帰校させることが指示されています。私が、以前、呉海軍工廠に動員された島根県、鳥取県に終戦後いち早く帰郷したことをこのブログで紹介しましたが、それを書いたときは、なぜすぐに動員が解除されたかまでは調べることができませんでしたが。これで理解ができました。
さらに後ろの方の「第四章終戰に伴う諸調査」に最初に出てくるのが「原子爆弾災害調査研究に関する件」です。興味深い内容です。この日付は、昭20・9・15です。
ここまで見て、やはり購入することにしました。定価は、1500円です。
この値段が高いか安いかは、これからこの本をどう活用するかに架かっていますが、少なくとも今回を逃すと、再び目にすることはないと思われる本です。
戦後、どのように教育改革が行われたのかを知ることのできる書物の一つのように思える興味深い本であることは間違いありません。じっくりと読みたいと思っています。
こうした本との出会いがあるので、どうしても出かけてしまう「古本まつり」です。
いのちとうとし
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