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2024年12月13日 (金)

日本政府は今こそ被爆者の願いに応えよ

昨日の続きです。

日本被団協の田中煕巳代表委員は、ノーベル平和賞受賞演説の中で日本政府に対し、「戦争被害者である原爆犠牲者に対し、国家補償による償い」を強く求めるとともに、その後の記者会見では「日本政府が核兵器禁止条約を署名批准し、核兵器廃絶の先頭に立つ」ことを求めました。

こうした被爆者の思いに対し、石破首相は、衆議院予算委員会で「来年で被爆80周年になる。風化することは絶対にあってはならない」とし、「証言をずっと続け、核兵器に悲惨さを世界に広め、平和への思いを伝えていただいた。政府として感謝以外の何物でもない」と語ったとマスコミは報道しています。

しかし、その発言の中には、被爆者が求める「核兵器廃絶」や「原爆犠牲者への償い」への道筋を示すものは何もありません。被爆者が日本政府に求めるのは、自分たちの活動への感謝ではないはずです。核兵器の存在を前提とする「核抑止」の政策を転換し、「核なき社会」の実現に日本政府が先頭に立って全力を挙げることです。

その第一歩が、日本政府による核兵器禁止条約の署名、批准です。そしてそれは、私たちの決意でもなければなりません。

それを実現させる運動へのひとつの示唆を与えるのが、原爆ドームの世界遺産登録に向けた市民の運動です。

連合広島や広島県原水禁、広島県被団協など12団体で構成する核兵器廃絶広島平和連絡会議は、ノルウェーのオスロで開催されたノーベル平和賞受賞式の前日9日の午後6時から原爆ドーム前で「原爆ドーム世界遺産登録記念集会」を開催しました。 

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その集会アピールの中で,原爆ドーム世界遺産登録の経緯を次のように紹介しています。

「1996年12月7日、『原爆ドーム』のユネスコ世界遺産登録が実現した。当時、多くの市民、県民が一体となって,4年間にわたる署名活動などの取り組みを実施した。思いが詰まった164万筆を超える請願署名は政府を動かし、世界遺産登録委員会の決定を手繰り寄せることができた。」

署名が始まる前には「政府を動かすのはなかなか難しい」と思っていたのですが、まさに市民・県民一体となった署名が、もちろん市民の署名だけでなく、県内自治体の意見書採択なども大きな力となって政治を動かし、「文化財指定基準」の改正を実現させ、原爆ドームの世界遺産登録実現への道を切り拓いたのです。

当時広島県被団協理事長だった伊藤サカエさんは,世界遺産登録の意義を次のように述べています。

「1996年12月に世界遺産に登録された原爆ドームはあまりにも酷い姿をさらけ出しています。でも、原爆ドームは生きています。世界の未来に向けて絶叫しています。原爆ドームこそは、世界の共有財産として警告を発しなくてはなりません。・・・核兵器が存在する限り、抑止力に頼る冷戦は終わりません。人間の世界で、イデオロギー、宗教差別、人種の違い、貧富の格差等によっての戦いはやめて下さい。核兵器は、人類や地球上の生き物凡ての生命を奪います。被爆の生き証人の私たちの命も後少しとなりました。原爆ドームは人間の世界が有る限り、平和と核廃絶を世界の人々に求め、訴え続けてくれるでしょう。」

世界遺産登録された原爆ドームは、被爆者の証言とともに、平和公園を訪れる人々に無言の証言者として、核兵器の恐ろしさを訴えています。

1956年3月の被爆者による最初の国会請願に参加し、被団協結成にも参画した伊藤サカエさんは、1994年12月に被爆者援護法が成立して時「国は原爆で死んで人に線香の一本でもよいから供え、悪かったと言ってほしい」と国家補償の理念を欠いた被爆者援護法を厳しく批判しました。そうした先人の思いが、田中煕巳代表委員の演説に繋がっているのです。

被団協のノーベル平和賞受賞は、改めて被爆者運動の歴史をふりかえる機会になり、そして運動の原点に立つことの大切さを私たちに教えてくれました。

民衆の力こそが、政治を変える力だということです。

いのちとうとし

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