総選挙が終わるのを待っていたような再稼働
衆議院議員選挙の投票日が終わった翌28日、中国電力は島根原発2号機の原子炉内に核燃料を入れる燃料装荷という作業を開始し、そしてその次の日に東北電力は女川原発2号機の再稼働を開始しました。
選挙の終了を待っていたようなこの二つの動きに、政府のしたたかさと電力会社の原発を動かすことへの不安な思いを感じます。
女川原発と島根原発は「兄弟原発」と呼ばれるように、とても似たところがある原発です。なんといっても福島第一原発事故を起こした、同じ形の沸騰水型(BWR)原発ですし、電気出力もほとんど同じで女川原発2号機は82.5万Kw、島根原発2号機が82万Kw、運転開始は島根が1989年2月、女川原発が1995年7月です。
なんといっても同じ形の沸騰水型というのが決定的です。9月25日のブログにも書きましたが、福島原発事故後から13年、沸騰水型原発の再稼働は行われていなかったのです。
中国電力は11月3日、原子炉内に560体の核燃料の装荷を終えたと発表しました。原子炉内では燃料装荷をしても、燃料と燃料のすき間の部分に制御棒というブレーキのような物を入れて、核分裂が起こらないようにしています。しかし地震や津波のような事態が起これば核分裂を起こし、臨界事故に波及する恐れがありえます。
一方の東北電力女川原発2号機、10月29日再稼働のボタンが押されましたが、6日後の11月3日、機器のトラブルが発生し原子炉を停止させるという事態となりました。
トラブルが発生で運転停止した女川原発
なんども再稼働の予定を延期し、「問題なし」と地元では県民への全戸チラシを配ったそうですが、完全に信頼は失われました。
この事態を、中国電力も深刻に受け止めるべきです。繰り返しになりますが、島根原発と女川原発は兄弟なのです。なにはともあれ、島根原発の再稼働に向けての手続きを中断して、女川のトラブルの原因が究明され、島根では同様の事態は起きないのかを調べることです。
中国電力の態度を見ていると、深刻さを感じることができません。せめて何らかの見解を発表することです。マスコミも兄弟だということを知らないような態度は許せないことだと思います。
12月5日、丸山達也島根県知事は原子力規制委員会を訪ね、女川事故に関連した安全対策の強化を要望していますが、対応した原子力規制庁の片山啓長官は「久しぶりの再稼働であり、中国電力の取り組みはしっかりと監視する」と応じたとのことです。その様子は映像で見ましたが、まるで他人事という感じを否めませんでした。
中国電力には女川の事態を深刻に受け止め、まずは再稼働に向けての手続きを中断して住民への説明をきちんと行うように求めましたが、「今はなにも考えていない」との答えでした。
みんな黙っていたら何もしない会社です。約46年間この会社を視てきましたが、少しも変わらない体質を持っていると思います。
木原省治
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