被爆79周年原水爆禁止世界大会広島大会主催者あいさつーつづき
昨日のつづきです。
私は、6月20日に中国を訪問し、中国人民平和軍縮協会の安秘書長と会談をしました。その会談で、中国の「核兵器の先制不使用」宣言をさらに継続することを求め、合意しました。
核兵器保有国が、「核兵器禁止条約」に背を向けている今、
核攻撃をされない限り核兵器を使わないと約束する核兵器先制不使用宣言は、核兵器の使用、威嚇による脅威を低下させ、核軍縮を前進させることの出来る具体的な約束の一つです。
すべての核保有国が、核兵器の先制不使用宣言することを強く求めます。
中国代表団は、長崎大会に参加することになっていますので、長崎大会で論議を深めたいと思います。
私たちが、「核と人類は共存できない」「核絶対否定」の理念を明確にしたのは、1975年の被爆30周年原水禁世界大会です。
「核と人類は共存できない」
この言葉は、福島第一原発事故以降多くの人が口にするようになりました。
そのこと自体を否定するものではありませんが、「核と人類は共存できない」という言葉には、もっと深い意味が込められています。
先に述べた「核兵器禁止条約」の前文には、核兵器の使用によるヒバクシャと核実験被害者の苦痛に留意すると明記され、第6条、7条には、被害者の救済が盛り込まれました。
核被害者を救済する初めての国際条約です。
しかし、この条約で救済の対象とされているのは、核実験被害者に限定されています。
「核と人類は共存できない」という基本理念を提起された森滝市郎先生は、その理念を確立する最後の一押しとなったことを次のように述べておられます。
「一番忘れられないことは、オーストラリアの先住民アボリジニの娘さんの鋭い訴えであった。『ウラン鉱山は、私たちの祖先の聖地にある。その聖地がとりあげられ、私たちの同胞の無知をよいことにして、ウラン採掘の最も危険な所で低賃金で働かされているのである』」
核実験被害者が救済されるのは当然のことです。
しかし、力の象徴と言える核社会では、核実験被害者だけが核被害者ではありません。
核社会は、ウラン採掘からはじまるすべての段階で、常に弱い立場の人たちを犠牲にし、多くの核被害者を生み出しています。
「核と人類は共存できない」という理念には、すべての核被害者を救済し、再びヒバクシャを作らないという強い思いが、込められています。
私たちは、この大会にアメリカ・ニューメキシコ州の先住民ナバホの、
ウラン採掘による核被害者を招待しました。
ウラン採掘からはじまる核社会の中でヒバクシャとなった人たちの被害の実相と向き合い、「核と人類は共存できない」に込められた理念を共有して欲しいと思います。
すでに27日の福島大会で論議されていますが、最後に原発問題に触れたいと思います。
13年前の東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故は、多くの被曝者をつくり、今なお故郷に帰ることの出来ない人々を作りました。
私は、今年5月福島を訪れ、現地視察を行ないました。福島原発事故は終わっていません。
しかし、政府は、被害者を切り捨て、再び安全神話を強調し、原発に依存する社会づくりを強行しています。
原発事故被害者を救済するのは、政府と電力会社の責務です。
原発に絶対の安全はありません。
再び原発事故被害者を作らせないためは、脱原発の道しかないのです。さらなる脱原発運動の強化が求められています。
それは私たちの責務です。
大変厳しい暑さの中での広島大会となりましたが、体調に充分留意して。大会成功のため、皆さんのご協力をお願いし、主催者を代表してのあいさつと致します。
ありがとうございました。
私があいさつで触れたように、長崎大会開会総会に参加し海外代表としてあいさつした中国人民平和軍縮協会安秘書長は、中国が進める「核先制不使用」政策について、7月に行なわれたNPT再検討会議第2回準備会議で「核先制不使用」についての決議を提出したことなど詳しく紹介してくれました。あいさつは、【被爆79周年原水爆禁止世界大会・長崎大会】開会行事 (youtube.com)の23分11秒くらいから視聴することが出来ます。
いのちとうとし
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