福島原発視察報告その2
福島市での開会行事を終え、宿泊地の富岡町にバスで移動しました。7年前にはなかった福島市から常磐高速道をつなぐ自動車道が開通しており、途中休憩を入れて、約2時間あまりで富岡町に到着しました。
高速道路を走行中、気になった景色が二つあります。一つは、太陽光発電のパネルです。
車中からの写真なので、見にくいのですが、バックミラーの向こう側に太陽光パネルが敷き詰められています。移動中何カ所も目にしました。角田さんの話しでは、「県内各地で太陽光発電パネルが、設置されている」と言うことでしたが、まさにその通りでした。
二つは、高速道路に設置された放射能測定値を表す表示板です。
地名表示がありませんが、浪江町を通過している時だったと思います。「0.4μ㏈/h」を示していました。他の地域よりやや高かったように思います。高速道路上の「放射能数値」の表示は、各自治体に一カ所設置されている感覚で受け止めました。
1日目の宿泊は、常磐線JR富岡駅前にある富岡ホテルです。予定通り午後6時過ぎに到着し、午後6時半から近くの串揚げ居酒屋「串誠」で参加者交流会を行ないました。
確か2011年の秋にこの場所を訪れた記憶がありますが、その時の光景を思い出しました。富岡駅前は、海岸線に近かったこともあり、津波で壊滅状態になりました。
現在は、駅舎も新築され、きれいになっていますが、駅前にはわずかな建物しか建っていません。
その少ない建物で現在営業中なのが、ホテル富岡と串揚げ居酒屋「串誠」です。
左の写真の手前右側に串揚げ居酒屋「串誠」があります。「串誠」で夕食交流会が終わった後、店主の渡辺さんに少し話を聞きました。
いろいろと話を聞かせていただいた渡辺さん
「町民の手で街を再建しようと思い、このお店とホテルを一緒に建てることにしました。」ホテルのホームページには次のように書かれています。「富岡町民8 名が集まり、震災を経験した富岡町が変わっていく姿を全国の皆様に見に来ていただけるように、また町の希望を次世代につなげていけるようにという想いを込めて立ち上げた。」
町外資本が多い中で、町内資本のみで事業を興したまれなケースの一つです。
お話を聞いた渡辺さんは、震災前は富岡駅前でスーパーマーケットを営んでおられたそうです。もちろん、震災でお店は全滅です。「町には、2000人ぐらい住むようになったと思いますが、以前住んでいて帰ってきた町民は、半数の1000人ぐらいですかね。いろいろ事情があるので、町に戻ってくるのは難しい人も多いですよ。津波で亡くなった人は、24人ですけどね」
翌朝ホテルで朝食をとっていると厨房に渡辺さんの姿がありました。協力して町の希望を次世代に繋げようとする姿を見ることができました。
渡辺さんたちの町おこしは、後で紹介する3日目にお話を聞いた語り部の青木淑子さんにあいさつした時、青木さんが、「町内資本だけです」と誇らしげに話されたことが印象的でした。
渡辺さんたちの建物の他にも周辺には確かに新しい建物が建っていますが、空き地が目立つ状態で,真の復興はまだまだ先だなということを実感しました。角田さんの「復興の真の姿を見て下さい」という言葉が思い出されました。
津波で流された常磐線から海側はかなり広い土地ですが、建物を建てることは出来ないようですが、何か出来ないかと言うことで、町の許可を得て「ブドウ栽培」が始まり、来年にはワイン工場も完成するようです。
「ブドウ栽培」を進めているのは、元町長の息子さんと言うことですから、元住んでいた町民の手によって復興活動を取り組まれています。
朝食後、少し時間がありましたので、駅前の小高い丘に建つ「東日本震災慰霊碑」に行ってきました。
碑の左手奥に富岡駅舎があります。
今日のブログは、復興に向けた町民の思いを伝えました。
さていよいよ今回のメインの目的である「東京電力福島第一原発」の現地視察ですが、その様子は次回報告します。
いのちとうとし
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