福島原発視察報告その3
二日目は、原発事故を起こした東京電力福島第一原発の現地視察です。
ここで、町の位置関係を確認するため、地元の新聞「福島民報」が作成した汚染区域の現状を召す地図を付けます。
ホテル富岡やこれから向かう東京電力廃炉資料館は、富岡町にあります。富岡町と楢葉町との町境を挟んで東京電力福島第二原発が立地しています。JR富岡駅前付近からも南側に見えるということでしたが、残念ながら現地では目視することが出来ませんでした。
ホテルを午前8時40分に出発し、向かったのは東京電力廃炉資料館です。
ホテルからバスで数分の近くですので、すぐにつきましたので、開館時間の午前9時までバスで待機です。
間もなく東京電力の案内の社員の姿が見え、館内に案内されました。案内された会議室で、東京電力福島第一原発の現地立ち入りのための身分証明書の確認や廃炉作業状況の説明、現地立ち入りに当たっての注意事項などのレクチャーがありました。
1~4号機の現状と共に、汚染水対策は、特に詳しく説明がありました。
現地立ち入りに当たっての注意事項で強調されたのは、持ち込み物の件です。事前の登録したICレコーダー、筆記具と小さなメモ帳以外は、持ち込みが出来ないとのことで、当然、カメラ、スマホは持参できません。
10時になり、東京電力が用意したバスに乗車して東京電力福島第一原子力発電所の事故現場に向かいます。
そんなに遠い距離ではありませんので、15分ほどで入り口に到着します。ここで先に提出した身分証明書と確認され、さらに金属探知機による持ち物検査が行なわれ、そして各自に線量計が手渡され再びバスに乗り、実際の見学がはじまります。ちなみに視察を終えた後の私の線量計は、γ線量0.02グレイ(Gy)を示していました。案内者は、盛んに「この線量は歯医者で受けるレントゲン検査の量と同じです」と言っていたことが印象的でした。
当日の視察のルートです。
小さくて見え難いと思われますが、地図の真ん中海寄りの事故起こした1号機の西側に設置されたデッキ①と左側の6号機7号機近くのデッキ⑥が降車できた場所で、後は全て車中からの説明です。スマホがありませんので、写真を写すことが出来ず、メモもほとんどとれませんでしたので、残念ながら詳細を報告することが出来ません。
最初の降車した1号機横のデッキでは、20.5μ㏜/hを表示していました。現在1号機2号機では、使用済み核燃料の取り出しのための作業が進んでいました。
2号機に取り付けられる使用済み核燃料取り出しのための建屋
1号機、2号機とも耐震性があると東京電力は説明しますが、放射能の線量が高く、なかなか近づけなかったため、事故後13年にしてなお、危険な使用済み核燃料が取り出せていません。飛散防止が必要なほど1号機の壊れた建屋上部にたまった汚染物の線量が高いため飛散防止が行なわれたりしましたので、取り出し作業が遅れる要因になっています。事故を起こした原発の廃炉作業がいかに大変なのかを示しているといえます。
移動中に目に入るのは、原発事故で発生した汚染物が様々な場所に置かれている風景です。汚染水の貯蔵タンクだけではありません。高線量放射性汚泥(スリラー)を納めた高性能容器(HIC)もバスが通るすぐそばに野積みされたままです。その他、大量の汚染物質をどこにどう、どれだけの期間保管しなければならないのか、これから解決しなければならない課題です。
2番目に降車した場所では、「汚染水をどれだけ薄めて海洋放出しているか」の説明に終始しました。ここでも「安全」を強調する東京電力の姿がありました。
ところで、毎日この現場で働いている作業員は、4500名前後だそうですが、視察中にも色の違うヘルメットをかぶり作業をしている姿が目に付きました。1号機2号機周辺で作業する人たちは、防護服を着けていますが、他の場所では除染が進んだというのでしょう、防護服なしの労働者の姿も多く目にしました。全ての作業が安全に進んでいるかの説明でしたが、初日の福島平和フォーラムの角田さんの話しでは、「10人を超える労働者が労災に認定されている」と言うことですから、労災認定されなくても多くの労働者が被曝していると思わなければなりません。
約1時間半あまりで予定のコースを一周し、被曝線量を測ったのち、再び移動バスに乗り、東京電力廃炉資料館に帰ってきました。ちょど12時でしたので、作業員が休憩室に移動する時間と重なりました。
つづきは明日報告します。
いのちとうとし
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