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2024年5月12日 (日)

水俣病問題と私

5月1日に行なわれた水俣病被害者団体と伊藤信太郎環境大臣との懇談会で、水俣病被害者の発言中に環境省職員が、マイクの電源を切ったことで、大臣が謝罪に追い込まれたことの報道が続いています。

被害者の発言を遮断するなど言語道断のことで有り、絶対に許されるものではありません。

何故こんな事態が起こったのか?いくつかの原因があると思いますが、私がこのニュースに接したとき、一番に感じたのは「環境省職員に『水俣病問題では国も加害者の一人だ』という認識が欠けている」と言うことです。

そう指摘するのは、私もわずかですが水俣問題に関わってきたからです。

1995年の政治決着によって多くの水俣病裁判の原告が提訴を取り下げる中で、唯一この『政治決着』を認めず、訴訟を継続したのが水俣病関西訴訟団(団長川上敏行)でした。

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最高裁判決後の川上団長・私も向かってすぐ左側にいました。

2001年大阪高裁が、「国や県の責任を認める」判決を出し、最高裁の上告されたいた時期、当時衆議院議員を務めていた私の部屋に水俣病関西訴訟団の支援者が訪れ、裁判への支援とともに「水俣病に認定基準である77年判断基準について、国会で取上げて欲しい」と資料を持って要請されたことがあります。後で分かったことですが、当時私が、在外被爆者問題に関わっていることを知り、この議員ならひょっとすると協力してくれるのではないかと、要請に来られたようです。

充分に水俣病問題を理解していたわけではありませんが、私の政策秘書の「ぜひやってみようではありませんか」との声もあり、所属する環境委員会で質問することにしました。1995年の政治決着以来、国会の場で水俣病問題が取上げられることはありませんでしたので、政治決着後初めて国会で水俣病問題を取上げた議員になりました。

この委員会での質問は、ずいぶんがんばりましたので、その時の委員会質疑のDVDが、支援者の間で視聴されたと聞いています。

そうした経過があったので、水俣関西訴訟の最高裁判決が出された2004年10月15日には、支援者の理解を得て、法廷内(少人数しか入れない)で勝訴判決を聞くことが出来ました。

私の関わりはさておいて、重要なことは、この最高裁判決は、大阪高裁の判決を認め「国が水俣病による健康被害の拡大防止のためにいわゆる水質二法に基づく規制権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法となる」としたことです。水俣病の一番の加害責任は、水銀を垂れ流したチッ素にあることは当然ですが、「健康被害の拡大を防止しなかった」国の加害責任も認めたと言うことが重要です。

ですから、この最高裁判決が出されたその日の夕方、原告団と環境省の面談の場(最高裁の隣にあった社会文化会館)に小池百合子環境大臣が出席し、原告に対し謝罪したのです。小池大臣はすぐに退席しましたが、その後原告団から国に対して「問題の早期解決を図るよう」要望が1時間以上にわたって行なわれました。

私もこの場で原告団と一緒に席に着き、国に対し「加害者の国が中心になって決めた77年判断基準は、新たに検討会を設置し見直しをすべきだ」と繰り返し指摘しました。その後、数回の原告団と環境省の話し合いの場に参加し、「国の加害責任の明確」を追求しました。

最近の報道では、「水俣病問題は、環境省が生まれた原点だ」ということは強調しますが、国も加害者だと言うことが、あまり報道されません。

もし環境省の職員がこれらの歴史をきちんと認識し、「国が加害者」だという自覚がもっと強く持っておれば、今回のような対応はなかったはずだと私は思っています。

そしてもう一つ指摘しておきたいことは、水俣病関西訴訟団(団長川上敏行)が、政治決着を認めず「被害を拡大させ、患者を切り捨てる行政への憤り」を根底にした裁判の継続がなければ、その後の水俣病問題の進展はなかったと言うことです。

いのちとうとし

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コメント

3分間でカットで大ニュースになって良かったと考えます こういう事をやっているんだと

篠井さん

コメントありがとうございます。
ご指摘の通りです。官僚の無慈悲なやり口、そして水俣病問題が、未だ多くの問題を抱えていることを知らせることが出来たと思います。
ぜひ、これを機会に多くの人が関心を持っていただき、少しでも被害者のための製作が進むことを願わずには居られません。

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