急ぐ必要のない憲法改正―国民の声は!
今日の憲法記念日に合せて、マスコミ各社は、例年のように憲法に関する世論調査の結果を発表すると思われます。
昨日の中国新聞の一面には、共同通信が行なった世論調査結果が紹介されていました。
それによると憲法改正の国会議論に関し「急ぐ必要がある」と答えた人が33%にとどまり、「急ぐ必要がない」と答えた人が65%と大きく差が開いたと報じました。
さらに「改憲の進め方」は、「慎重な政党を含めた幅広い合意形成を優先すべきだ」と答えた人が、72%に達したことも報じています。
この数字を見て、私が感じたことは、国会における、というより衆議院におけるといった方が良いと思いますが、「改憲ありき」の論議が強調される動きが、いかに国民の意思と乖離しているかを表しているということです。
約2年10ヶ月、憲法審査会の前身である憲法調査会に委員として籍を置き、オブザーバー幹事として憲法調査会の運営に関わってきた経験を持つものとして、現在の憲法審査会の運営のありように強い疑問を感じていましたので、余計に国民と国会議員の乖離の実態に,やはりそうなのだと感じます。
2000年1月に初めて衆参両院に憲法調査会が発足して以来、すでに23年以上の時間が経過していますが、何故に改憲への道が遠いのかを「憲法改正」を声高に唱える人は、考えてみる必要があると思います。
衆議院憲法審査会のホームページには「憲法審査会とは」として「憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する機関です。」と書かれています。
憲法審査会は、ただ「憲法改正」だけを目的としているわけではありません。「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い」と、「広範かつ総合的な調査を行なうこと」も求めていますが、現在の憲法審査会が果たしてこの役割を充分に果たしていると言えるのでしょうか。
答えは「NO」です。
集団的自衛権を求めた「安保法制」、そして岸田首相が進める日米軍事同盟の強化、武器輸出の緩和などなど、日本国憲法を全く無視した政策が大手を振って進められ,憲法と乖離してしまった政治の実態とその原因をこそ、広範かつ総合的に調査するのが、憲法審査会の役割のはずです。
このような憲法を軽んじ無視する人々によって、憲法が変えられるとすれば、「改憲」された憲法も遵守されるという保証はありません。
私が体験した憲法調査会では、改憲を求める人たちも,できるだけ幅広い賛同を得るために、小さな政党の意見もくみ上げて運営するという努力がされました。果たして今はどうでしょうか?
当時の憲法調査会を振り返ってみますと、「憲法と現実が乖離しているので、憲法改正が必要だ」と言うことが強調されていました。これに対し、私は「憲法と現実が乖離しているとするならば、何故そのような乖離を起きたのかをきちんと調査することこそこの調査会がやるべき役割だ」と繰り返し主張してきました。この私の意見が採り上げられることは残念ながらありませんでしたが、私は今でもその主張は間違っていなかったと思っています。そして強調したいのは、当時一番小さかった党の私でも、そうした意見が自由に表明できた事実です。
今、憲法審査会にはそんな空気があるのでしょうか。
憲法改正を主張する人たちには、先の紹介した世論調査の結果を素直に受け止め、国の基本法である憲法を変えること責任の重さを自覚して欲しいと思う憲法記念日です。
いのちとうとし
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