広島市職員の職務宣誓書の文言を何故かえられたのか?
2日の昼過ぎ、私の携帯に次のようなショートメールが届きました。
「おはようございます。今朝の広島市辞令交付宣誓に憲法擁護を入れた記事では、市長の専権で内容を変えたと思われます。職員研修で教育勅語を引用するための免罪符とする意図があるのかとも思われます。どう思われますか?」
これに対し外出中でしたので、「この記事、まだ読んでいませんので、読んだ後連絡します。」と返信しました。
帰宅して中国新聞を開くと「新人職員誇りと気概胸に 県と広島市、辞令交付」の見出しで書かれた記事に「市は本年度の新規採用職員の宣誓書に1982年度を最後になくなった『憲法の尊重と擁護』を掲げた文言を復活させた。近年の国際情勢を踏まえ、職員の憲法順守の重要性が増すと判断したという。代表して読み上げた法務課の青山航さん(23)は『大学で学んだ法律を活かしたい』話した。」と書かれていました。
広島市職員の服務宣誓書の問題については、2021年11月19日広島市「職員の服務に関する宣誓書」-その1: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で取上げて以来、同月28日、29日、12月3日の4回、このブログでも取上げてきましたので、この新聞記事は、非常に興味深い内容です。
記事では、「憲法の尊重と擁護」の文言が復活したことは書かれていますが、正確にはどのように変更されたのかが分かりませんので、広島市人事課に問い合わせました。その結果。従来の宣誓書に、下線部分が追加されたことがわかりました。
「私は、国際平和文化都市をめざす広島市の職員として、日本国憲法を尊重し、かつ擁護するとともに、その職務が広島市民全体から信託された公務であることを深く自覚し、市民のために、市民の立場に立ってその職務に積極的に取り組み、広島市職員としての誇りを持って市民福祉の向上に全力を尽くすことを誓います。」
もちろん、この文言が入ったことに反対するものではありませんが、2021年の9月議会では、「『国際平和文化都市』まちづくりの最高目標を都市像として掲げている。そこには当然憲法の理念というものが込められている」のだから「日本国憲法の尊重かつ擁護の文言は必要ない」(詳しくは、広島市「職員の服務に関する宣誓書」-その2: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)を読んでください)と繰り返し主張していた広島市が,何故今年になってこの文言を追加したのか不思議です。
記事では、その理由を「近年の国際情勢を踏まえて」としていますが、この理由はあまりにも希薄で納得できるようなものではありません。公務員が日本国憲法を尊重擁護しなければならないのは、憲法99条に明記された「公務員の憲法の尊重擁護の義務」によるのであって、国際情勢に左右されるようなものではありません。
これでは、今年広島市職員の服務宣誓書を変更した理由を説明したことにはなりませんので、広島市人事課に電話をした後正確を期すためメールで次のような質問を送りました。
①改正後の服務宣誓書をお示し下さい。 ②今回の改正に当たって、 ア)なぜ、今年改正することになったのでしょうか。その理由を明らかにして下さい。 イ)今回の改正に当たって、いつどのような協議(会議名、参加者など)が行なわれたのでしょうか。又、最終的にいつこの変更が決定されたのでしょうか。 ウ)これまでの議会答弁との関連はどのようにお考えでしょうか。 |
とりあえず、ショートメールを送っていただいたKさんには、以上のような経過を報告しましたが、どんな回答(①は、電話で確認済)があるか楽しみです。回答が届き次第その内容を紹介したいと思います。
余談ですが、記者発表もされていないのに、今回の変更に記者のみなさんがどうして気づいたのかです。率直に言って、当日職員の一人が読み上げたのを聞いただけで「内容が変更された」ことに気づいたとは思えません。2021年の9月議会の質疑が、新聞記事になった記憶は全くないのですから,そんなに関心があったとは私には思えないからです。きっと広島市は記者発表せず、何となく情報を流していたのではないかと想像できます。もちろん議会にも諮らずにですから、姑息としかいいようがありません。
この問題は、広島市の回答を待って、もう少し深く検証していきたいと思います。
いのちとうとし
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