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« ベトナムの歴史(その30-5) ― 日本の中の枯葉剤・Ⅲ ― | トップページ | 三原地区の四月の19日行動 »

2024年4月21日 (日)

ベトナムの歴史(その30-5つづき) ― 日本の中の枯葉剤・Ⅳ ―

 繰り返される詭弁 ―直接の輸出はしていない―

楢崎議員が国会で追及する一ヶ月前、629日の南ベトナムの新聞『ティンサン』が、「枯葉剤散布地域の住民に出産異常が激増している」と連載を始めましたが、アメリカの傀儡政権であった南ベトナム(グエン・バン・チュウー)政権は即座に発禁処分にしました。枯葉剤による人的被害が報告されはじめた矢先、日本でその枯葉剤が製造されていたとの疑惑が明らかにされたのです。

 624日の『朝日新聞』は、「会社側はベトナムへの直接の輸出は絶対していない。輸出先のオーストラリアで加工されベトナムに再輸出されていることに対しては、それが事実であっても、鉄板がアメリカに輸出され戦車になり、ベトナムに出動しているのと同じで、決してベトナム向けにつくっているわけではないと言っている」と報道。翌25日の『日経新聞』は、「輸出先は英国が最も多く、次いでニュージーランド、フランス、シンガポール、オーストリア、米国の順で南ベトナムは皆無。米国にはICDという製薬原料会社一社だけで殺菌剤の原料に使っている。南ベトナム枯葉作戦に使われていることは聞いたこともない」という三井東圧化学副社長の言を掲載しています。

 どこかで聞いたフレーズです。10年前、原則禁止されていた武器輸出を原則容認に転換する「防衛装備移転三原則」が閣議決定されました。そして、ウクライナ戦争を口実に「殺傷兵器でも防衛用に使用する場合」は可能とし、さらに326日「紛争当事国を除外する」という建前のもと、イギリス・イタリアをと共同開発する次期主力戦闘機を第三国に輸できると閣議決定しました。

輸出後に紛争が起きることは十分に考えられ、また第三国から他の国に移転される可能性もあり得ます。それでも「決して、移転された国に向けてつくり、直接輸出しているわけではない」とでも言うのでしょうか。対象国が将来紛争当事国になる危険性があるだけでなく、今後さらに対象国が拡大される恐れもあり、歯止めのない武器輸出につながりかねません。

過去に目を閉ざすものは再び過ちをおかす

2022年1月22日、NHKが「誰も知らない 日本の“枯葉剤”」と題する特番を組み、「取材でアメリカ企業が枯葉剤の責任を問われた裁判の記録を入手」した際、そこに「調達先の一つとして三井物産の名が記されていた」と報じました。

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NHK「誰も知らない 日本の“枯葉剤”」2022年1月22日

楢崎弥之助議員がベトナムで使用された枯葉剤が三井化学大牟田工業所で製造されていたことを追求して53年、その疑惑が事実としてあらためて明らかにされました。しかし、同社は、「コメントできる情報を持ち合わせていない」と、いまだに認めていません。

儲けを得るためなら人の命も顧みない財界とその政府(自公政権)は過去の過ちに目を閉ざし、軍需産業の強化と対立国や交戦国の一方への武器支援や武器輸出を進めようとしています。

「過ちは繰り返しませぬ」と刻まれた原爆慰霊碑文、「過去に目を閉ざすものは、再び過ちをおかす」というヴァイツゼッカーの言葉を心に刻み、戦争につながる一切に抗わなければと思います。

次号では原爆投下と枯葉剤について触れたいと思います。

2024年4月21日(あかたつ)

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