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2024年4月 5日 (金)

ヒロシマとベトナム(その57) ~南シナ海をめぐる動向-1~

 フィリピンとベトナム、激化する中国との「衝突」

3月5日の夕方、NHKが「南シナ海のセカンド・トーマス礁にある軍の拠点に交代の兵員と補給物資を運んでいたフィリピン沿岸警備隊の巡視船と運搬船が中国海警局などの船に囲まれ妨害を受けた。このうち一隻の運搬船が中国海警局の船に衝突されたあと放水銃を発射され、乗組員4名が軽い怪我をした。」と報道しました。そして、フィリピン政府の「中国側の違法な操船が人命を危険にさらし、実際にケガ人が出ている」との非難に対し、中国海警局は、「(フィリピンは)中国の仁愛礁の海域に侵入し、中国海警局の船にわざとぶつかった」と反発していると報じました。

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(いずれもNHKニュースより)

3月15日、日本語ベトナム情報サイト『VIETJO』が、「チュオンサ諸島海戦から36年、戦死者の名を冠した道路が誕生」という見出しで、クアンビン省バードン町の人民委員会が1988年3月14日に南シナ海で中国軍との海戦で戦死した烈士チャン・バン・フオさん(当時23歳)を称え、フオさんの実家からチュオンサ諸島を臨む海岸までの全長1kmを「チャンバンフオ通り」と命名し記念式典を開いたと報じました。

この海戦は当時ベトナムが統治していた南沙諸島のジョンソン南礁(ベトナム名ガクマ礁)を中国軍が攻撃し、ベトナム艦艇2隻が沈没、1隻が大破し、ベトナム兵64名が戦死した軍事衝突です。以降、中国は海面すれすれの岩礁に木造小屋を建て、赤瓜礁(チーグゥァジァオ)との中国名をもって領有権を主張。今では巨大な人工島が建設され、飛行場や港湾施設を備える軍事基地と化しているといわれている海域です。

ところで、皆さんは「“チュオンサ諸島”って南シナ海のどこ?」と思われる方も多いでしょう。英名でスプラトリー諸島、中国名で南沙諸島と呼ばれ、ベトナムではチュオンサ諸島と呼んでいます。主な島9島と15の礁のほか大小200以上の島礁からなる海域です。それぞれの呼び名からも、この海域の持つ複雑な状況が分かりますが、このシリーズを書き進めるに当たっては、私たちに耳慣れた南沙諸島とします。

6カ国が領有権を主張する世界でもホットな海域

下の地図をご覧ください。3月5日に中国海警局の艦船がフィリピン沿岸警備隊の補給船に衝突・放水した場所はAのセカンド・トーマス礁です。36年前、中国海軍がベトナム軍を攻撃したのが、セカンド・トーマス礁の西170km余りにあるB地点・ジョンソン南礁(ベトナム名:ガクマ環礁)です。

2つの報道は直近に起きたフィリピンと中国「衝突」と36年前に起きたベトナムと中国の「衝突」に関するものですが、いずれも南シナ海で現在繰り広げられている中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6カ国による領有権争いの象徴的な「衝突」です。それぞれの主張する領有権を地図上に示しました。

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(資料をもとに筆者作成)

このように南シナ海の領有権をめぐってエスカレートする対立・衝突の歴史的背景はどこにあるのか。何の権益をめぐって争われているのか。また私たち日本はどう関わっているのかなど、次回から順次見てゆきたいと思いますが、簡単に記しておきます。

第一に、この海域がインド洋と太平洋をつなぐ世界でも主要な海上交通路の一つであること。第二に、豊かな漁場であり、大量の石油・天然ガスなどの埋蔵が推測されていること。したがって、第三に周辺国にとって国益と安全保障上の重要海域であること、第四に、ウクライナ戦争や中台問題、中国の海洋進出などを背景に南シナ海が米欧日vs中露朝という構図のホットな海域になりつつあることです。

次号では南シナ海におけるベトナムと中国の関係を見ることにします。

(2024年4月5日、あかたつ)

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コメント

ベトナム語でのチュオンサ諸島 と呼んで欲しいです     ベトナム領であるならば

コメント、ありがとうございます。
ベトナムが統治するチュオンサ諸島が武力攻撃で中国に占拠されたのですから、ベトナムがこの海域の領有権を主張し、チュオンサ諸島と呼称するのは当然なことと思います。
今後は、この海域のより正確な理解のために「チュオンサ諸島」(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)と書き進めたいと思います。
引き続き、よろしくお願いします。

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