「世界情勢の変化」で何故「憲法尊重擁護義務」?―その3
もう一つの疑問は、「やはり」と言うことです。
私は、2021年11月29日のブログ(広島市「職員の服務に関する宣誓書」-その3: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)と12月3日のブログ(広島市「職員の服務に関する宣誓書」-その4: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com))で、「職員の服務の宣誓に関する条例」の問題を取上げ、最後に次のように指摘しました。
「昭和54年(1979年)の条例改正で、『職員の服務の宣誓に関する条例』で『別記様式による』として定められていた宣誓書が、『任命権者が定める様式の』と改正され、『宣誓書』を条例の別記として明示することが廃止されたのです。
この条例改正があったため、昭和58年(1983年)の宣誓書の改正では、議会の議決など公的な手続きは行わずに、宣誓書から『憲法尊重擁護義務』の宣誓部分を削除されたことがはっきりしました。
つまり私が、指摘した『市長の裁量によって自由に宣誓書の内容を変えることができることになる』という危惧が、実際に実行されていたのです。
条令の条文からいえば、『市長の裁量のみによって宣誓書をあらためた』ことは、条例違反はしていないといえますが、問題は繰り返すようですが『市長の裁量のみ』で自由に改正できる条例で良いのかということです。」
今回の修正で、はからずもこの指摘が現実のものとなりました。
人事課との話し合いで次の点を質しました。「今回の修正内容は、市役所内のどのような会議で協議され、決定されたのですか」。答えはびっくりです。「内部での協議です」「情報公開請求をすれば、その資料を出してもらえますか」「情報公開請求されても、特別に会議録をつくっていませんので、出せる資料はないのですが」
広島市ホームページより
ちょっとびっくりする回答です。今回も昭和58年(1983年)の宣誓書の改正と同じように議会の手続きなどは行なわずに、宣誓書が改正されたのです。指摘したとおり「市長の裁量のみ」で、協議内容も明らかにできない状況で修正されたことになります。
しかし、だったとしても,先にも指摘しましたが、現在の「「職員の服務の宣誓に関する条例」では、このような改正の手続きは、条例違反と言うことにはなりません。
しかし、経過も明示できないような協議によって、重要な「職員の服務宣誓書」の改正が行なわれていいはずがありません。
今回の「服務宣誓書」の改正の要因は、広島市が説明する「世界情勢の変化」が主要ではなく、松井市長による「新入職員研修での憲法違反の『教育勅語』引用」問題が契機となったことは、この間の経緯を見れば明らかです。
今回は、良い方向での修正といえますが、今後「市長の裁量のみ」を認める現在の条例では、市長の考え方によって改悪されることも,可能だと言うことを重ねて指摘したいと思います。
どのような理由で「昭和54年(1979年)の条例改正」が行なわれたのは、関係する資料が存在しませんので不明ですが、人事課に対し、「この際、この条例の問題点を見直し、他自治体と同じように条例の中に『宣誓書』が明示される条例に改正する必要があるのではないか。是非検討して欲しい」と要望して、話し合いを終わりました。
これを契機に、ぜひ検討を深めて欲しいと思います。
いのちとうとし
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