「世界情勢の変化」で何故「憲法尊重擁護義務」?―その4
このシリーズの最後です。広島市とのやりとりの正確を記すため、「『世界情勢の変化』で何故『憲法尊重擁護義務』?―その2」で書いた疑問(14日にメールで送信)に対し、17日に届いた広島市からの回答の全文を紹介します。
「4月14日付けメールにてお問合せの内容につきまして、次のとおり回答いたします。
4月13日付けの中国新聞の記事にはありませんでしたが、4月12日の市長記者会見の場において、他社の記者から「今年度の職員の服務の宣誓に、憲法尊重擁護義務が新しく追加されたと思うんですれけど、追加の意図っていうのを教えてください。」という質問があり、以下のとおり市長が発言しています。
(市長)
実は、今回の修正っていうのは、議会でのやりとりがありまして、そこで答弁したということもありましたので、この機会にということで、やるということに。そういうのはある意味で直接的なきっかけではあるんですけれども、よくよく考えてみれば、先ほど申し上げているように、現下の極めて緊迫した世界情勢の中で、核兵器使用のリスクが懸念されている。そして、我々、公務員というもの、今まで「国際平和文化都市」を目指す、この国際平和文化というのを、先ほどの条文、資料を見ていただくと分かると思うんですけれども、国際平和という言葉は9条。「日本国民は、国際平和を誠実に希求し」とあります。こういった国際平和という言葉を9条でも使っているから、昭和45年に広島の都市づくりとして、「国際平和文化都市」を目指すということをこの市は決意しているんですね。ですから、そういった意味で、憲法をしっかりと受け止めた宣誓だというんですけれども、直接的に、ここでいう99条の「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」といっているんだから、それをここで確認すればいいじゃないかというようなことを言われたので、今までもずっと職員、それでやってきたんですから、いいとは思うんですけれども、改めてこういったことで、ここを引用するというか、そういった文章を作ることで、このような状況の中で、新しい職員に自覚をしてもらえるかなというふうなことも考え、このタイミングで憲法の尊重擁護という言葉を入れておくのは効果的かなと、有意義なことかなと思って入れるようにしています。(以上)
12日にも当職から本市の考えについて説明いたしましたことに加えて、上記の12日の市長の発言からも分かるように、教育勅語の引用によって憲法を守っていないのではという市民の意見が寄せられたことは、宣誓書修正のきっかけや理由ではありません。」
確かに市長は記者会見で,職員の服務宣誓書の「憲法の尊重擁護」を入れたのは、「国際情勢の変化だ」と説明していますが、同じ時期の同じ新入職員が行なう「服務宣誓書」とその職員に対する「研修資料」の修正理由が違うと言うことには、矛盾があります。
憲法が公務員に「憲法の尊重擁護」を求めるのは、平和主義は勿論ですが、国民主権とりわけ「基本的人権の尊重」だと思っていますので、この市長の発言では、さらに市長の憲法観の希薄さを感じてしまいます。しかし、これ以上広島市に質しても、同じ回答の繰り返しになってしまうと思われますので、一応の区切りにしたいと思います。
ただ、今後の松井市政のありようについては、きちんとチェックし、向き合う必要があると思っています。
いのちとうとし
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