命を描く山内若菜広島展
旧日本銀行広島支店を会場に20日から25日までの会期で「命を描く山内若菜広島展
―過去と現在、そして未来へ」が、開催されています。会期二日目の21日に、会場に行ってきました。
21日の中国新聞、テレビ各社のニュースで報道されたためでしょうか、会場には多くの人が訪れていました。
入り口すぐのフロアーには、小品も並んでいますが、目を引くのは受付窓口の奥のフロアーにならぶ、大作3点です。このフロアーの正面には、広島と長崎、福島を題材として「命」への思いを込めた三部作「牧場 放(放つ)」(福島がテーマ)、「刻(時)の川 よう(揺れる)」(広島がテーマ)「天空 昇(昇)」(長崎がテーマ)が、並んでいます。
左手には、被爆樹木をメインテーマにした「讃歌 樹木」。
この作品は広大生との共同作で、昨年のG7サミットで伐採された被爆樹木ヤナギの切り株も描かれています。たくさんの小動物が描かれていますので、それを探しながら鑑賞するのも一つの見方だと思います。
右手には,福島での牧場体験の中から生まれて「神々の草原 トリニティ」が展示されています。
福島に何度も足を運んだ思いが伝わります。
チラシには、これらの作品を描いた思いがこう綴られています。
「ここは、原爆ドームや旧日本銀行広島支店、旧広島陸軍被服支廠をはじめ,遠くは大久野島に至るまで、歴史を振り返れば加害と被害という,二重性を生きる町であります。けれども,傷つきながらも町のそこ・ここに生き続ける被爆樹木の緑は力強く、目に見えない微生物たちが命の連鎖をつづけて、きょうこの日がある。・・・絵の前で感じたこと,受け取られたこと等、感想をお聞かせください。希望の光を求めて,広島のみなさんととともに、歩みたいと思います。」
入って右側の部屋には、どうしても展示したかったという「教会 大久野島光景」が展示されています。
キャプションに次のように書かれています。
「広島県大久野島を訪れたとき、貯蔵庫跡地は光を受け、上の方にツタが絡まり、うっそうとしていました。十字架のようなものがキラキラしているようでした。ここに貯蔵されていた毒ガスは、たくさんのアジアの人を傷つけた。地図になかった場所です。このことを思いながら、たくさんの子どもの姿を思い浮かべ、今も傷つけられている子どもたちのことを思い、私は手を合わせました。
ここ、旧日銀でも,たくさんの方がなくなりました。二階の部屋でたくさんの方が亡くなりました。二階の部屋で,いまだガラスが突きささるキラキラした破片の形も十字架でした。そしてここをシンとした祈りの空間だと感じたのでした。たくさんの傷つけられた私たちでもある方々へ,祈りを捧げます。」
この一文を全部紹介したのは、この文章の中に山内さんが、ここ旧日本銀行広島支店で展覧会を開催したいという思いが、込められていると思ったからです。
何度も広島に足を運んで出合った被爆建物などを描いた小作品も多数展示されています。
会期は、今日明日の二日間ですが、ぜひ足を運んで欲しい、そして作品と向き合った欲しい個展です。私の言葉では伝わらない感動を覚えるはずです。
最終日の25日は、午後3時で終了しますが、午後2時から作品を前にしての最後のギャラリートークが行なわれますので、作者の思いを聞いて欲しいと思います。
いのちとうとし
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