奇妙な法廷風景
5日の午後2時から広島地裁で、中国電力がカルテルを結んだため公正取引委員会から約707億円の課徴金を課せられた問題で、清水希茂前会長など当時の役員22人に対し、課徴金に相当する額の賠償金を中国電力に支払うよう求めた株主代表訴訟の第1回口頭弁論が行われました。この訴訟については、昨年10月10日のブログ10月12日に株主代表訴訟を起こします: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)にすでに記載していますので、参照して下さい。
5日の法廷では、原告団(17人)の代表であり、このブログの執筆者の一人でもある木原省治さんが,原告意見陳述を行なうということでしたので、私も傍聴に行ってきました。
木原さんの意見陳述については、10日のブログに木原さんから紹介していただくことになっていますので、今日はこの法廷で初めてとなる体験した様子を紹介します。
午後2時かっきりに裁判官3名が入廷し、裁判が始まりました。関心が高い裁判ということで、マスコミによる事前撮影が行なわれました。ここまでは、何度か体験した法廷風景です。
といいつつ、ここから奇妙な風景に出合います。
法廷は、裁判長から向かって右側(傍聴席から見て左側)が訴えた原告席,左側(傍聴席から見て右側)に、訴えられた被告席となっています。それぞれに代理人弁護団や原告などが、着席しています。
奇妙なというのは、原告側に座っている弁護士の顔ぶれです。入廷前の弁護士会館の打合せに際、原告代理人の弁護士のみなさんの顔を見ていましたので、知っている顔が並んでします。ところが,裁判長の最も近い席に初めて見る顔を弁護士が二人います。木原さんたちの弁護団長胡田さんは、3人目に座っています。奇妙な風景というのはこのことです。当然原告団弁護士は木原さんたちだけの弁護士と思っていましたので「どうして?」と小さな疑問がわきます。
マスコミの事前撮影が終わり、いよいよ審理の開始です。書記官が,この裁判の案件を読み上げます。「1142号」「1175号」
後の報告会でわかったのですが、中国電力のカルテル問題では、木原さんが昨年10月10日のブログで紹介しているように3つ裁判が行なわれています。ここでも簡単に紹介します。
一つ目が、中国電力が訴えた「公正取引委員会への課徴金と排除措置命令の取り消しを求める訴訟」で、この訴訟は、東京地裁に提訴されていますので、東京地裁で争われることになります。
二つ目は、これも中国電力が訴えていますが、公正取引委員会の調査が入るような動きをした当時の3人の取締役に「その時の弁護士費用約6000万円の損害賠償を求める訴訟」で、これが書記官の言う「1142号」です。
三つ目が、木原さんたちが起こした「株主代表訴訟」で、書記官の言う「1175号」です。
つまり、5日の広島地裁の法廷では、二つ目、三つ目の訴訟が一緒の法廷で取り扱われたのです。原告が違うけれども,内容が深く関連するからとして一緒に審理することを「併合」と言うそうです。何度も裁判傍聴をしていきましたが、「併合」という審理は、初めての体験です。
原告席に二組の弁護団が座っているのがようやく理解でしました。中国電力の代理人弁護士と中国電力の当時の役員を訴えた株主弁護団と他の裁判では争う立場にある弁護団二組が、原告席に同席するという奇妙な風景ができてしまったのです。謎は解けましたがなんとも不思議な景色です。
この公判では、もう一つびっくりする出来事がありました。審理が始まると、これまで提出された書証の確認が終了し、「今後も何か証拠書類を提出しますか」とそれぞれの弁護団に確認した後、裁判長は「次回の裁判期日は4月10日です」と告げ、「これで本日は終了します」といってしまったのです。
「エッ」という雰囲気が法廷に広がりました。私もびっくりです。「今日は木原さんの原告意見陳述があるのではなかったの?」。私のすぐそばの原告席にいた木原さんも、狐につままれたような表情をしています。
席を立とうとしていた裁判長が、気づいたのでしょう「あっスミマセン。今日は、意見陳述がありました。どうぞ」ということで、やっと木原さんの意見陳述が始まりました。
こんな裁判長の失態も初めての体験でした。
木原さんたちが起こした「株主代表訴訟」は、一つ目の中国電力が「課徴金と排除措置命令の取り消しを求める訴訟」が進展しなければ、結論を得ることは難しい裁判だなとの感想を持ち,裁判傍聴、報告会を終えました。
いのちとうとし
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