県被団協被爆二世三世の会,広島県に要請書提出
広島県原爆被害者団体協議会(県被団協)の二世三世の会は、昨日広島県庁内の会議室で、広島県湯崎英彦知事に対し「被爆二世・三世対策の充実を求める要請書」を提出しました。
要請は次の5項目です。
①全国の自治体における被爆二世対策を調査し、広島県として自治体独自の被爆二世対策を講ずること。
②被爆二世・三世の健康実態調査を実施するよう国に働きかけること。
③現行の検診内容を被爆者の検診項目に準じた内容にしていただきたい。
④多発性骨髄腫の検査項目以外のガン検診の実施について引き続き国への要望を強化すること。
⑤被爆二世健康診断を通年実施するとともに、被爆三世を対象に加えることを国に働きかけること。
二世三世の会共同代表の一人田口正行さんが,読み上げた関野被爆者支援課長に手渡した後、関野課長から県の回答がありました。
その回答の内容は、ほぼ同じ趣旨だったように思いますので、ここでは①に対する回答を紹介します。
「県としても課題としては認識しているが、2世対策は国が全国一律に実施すべきと認識している。みなさんの要望については、八者協(筆者注:広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会で、構成は広島県、長崎県、広島市及び長崎市の知事・市長及び議会議長)で毎年要望しています。」
私は、1990年代から何度も,被爆二世団体の対県、対市交渉に参加していますが、また同じ回答を聞くのかと、という思いで県の回答を聞きました。国に対して、八者協で要望するだけでは何の前進もないことは、これまでで明らかになっていることです。被爆県として、何かできることはないのかと検討する姿勢が全くないことにがっかりするばかりです。
もし国を動かそうというのであれば、まず県独自の被爆二世対策を実施することが絶対に必要です。私は、そういう姿勢の県には求めたいと思いますが、今回の交渉ではこの論議は深めることはできませんでした。
多くの時間は、被爆二世健診の受診者をどう拡大していくかの論議に集中しました。自治体ごとの受診者数を明らかにすること、県だけでなく各自治体の広報紙に周知のための掲載(すでにかなりの自治体で実施されているようだが)を行なうよう求めること、被爆者に送られる健診通知に二世健診のことを付け加え周知を図ることなどなどで,県も前向きに検討することを約束しました。なお、広島市を除く県内の昨年の被爆二世健診の実績は、受診者2,271人、うち254人が精密検査を受けています。この受診者数は、微減とのことでした。
約1時間あまりの意見交換の最後に、二世三世の会の共同代表の一人遊川和良さんが、「1979年から検診が始まっているが、その結果の評価がなされないままにきている。こうしたことをきちんとやってほしいが、やってもらえていない。今後どういう方針で行なおうとするのか検討してほしい。そうした中から、遺伝的影響を解明する方向に踏み出してほしい」とあいさつし、交渉は終わりました。
遊川さんが指摘するように、県として独自に何ができるのか,もっと前向きな対応をすべきだという強い思いを持った交渉への傍聴参加でした。
いのちとうとし
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