憲法に反する教育勅語
昨日の中国新聞「平和面」では、教育勅語問題が大きく取上げられています。この問題は、12月のブログや14日の「県原水禁常任理事会報告」でも取上げてきました。また、常任理事会の議論を受けてイライザさんが、ブログ「ヒロシマの心を世界に」(ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で、13日~3日間連続で「松井市長が教育勅語を取上げることがなぜ問題なのか」をわかりやすく提起されています。
私もこの論議に参加したいと思います。
私の問題意識は、12月27日のブログ新・ヒロシマの心を世界に: 2023年12月 (cocolog-nifty.com)の後半部分で触れたとおりです。
今日の中国新聞では、その点は深く触れられていませんでしたので、重複しますが改めて「憲法からみて何が問題か」を考えてみたいと思います。
まず昭和23年(1948年)6月19日に採択された「教育勅語等排除に関する決議」の全文です。会議録からの引用です。
「民主平和國家として世界史的建設途上にあるわが國の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の革新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となつている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜りたる勅諭その他の教育に関する諸詔勅が、今日もなお國民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の措置が不十分であつたがためである。 思うに、これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八條の本旨に從い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。」
ここで注目したいのは、「基本的人権を損ない」と「よって憲法九十八条の本旨に従い」としている点です。
さらに提案者である松本淳造議員の提案理由です。全文は、国会議事録第2回国会 衆議院 本会議 第67号 昭和23年6月19日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム (ndl.go.jp)で読んでいただきたいのですが、ここでは一部を引用します。
「われわれは、その教育勅語の内容におきましては、部分的には眞理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには眞理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点をもつものであります。それが憲法第九十八條にも副わないゆえんでありまするので、この際この條規に反する点を認めまして、」
こうして「教育勅語を排除する理由」として憲法98条を示しているのです。
憲法98条は「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と定めています。つまり、教育勅語は憲法に反するものだと言うことです。もう一つ注目したいのは、この条文に続く憲法99条で「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と公務員に憲法尊重擁護の義務を負わせています。
憲法98条に照らして「条規に反する」と定められ、国会で排除の決議までされた教育勅語を、憲法尊重擁護の義務を負う公務員である広島市職員の研修に使用することは、絶対にあってはならないことだと思うのですがどうでしょうか。
いのちとうとし
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