ICAN新事務局長メリッサ・パークさん来広記念講演会
昨年9月にICANの新事務局長に就任したメリッサ・パークさんの広島訪問を記念した講演会が、20日午前10時から平和記念資料館地下メモリアルホールで開催されました。
就任当初から「被爆地広島・長崎を訪問したい」を望んでいたと言われるメリッサ・パークさんですが、昨年11月27日から12月1日にかけて開催された「核兵器禁止条約第2回締約国会議」への準備、参加のため、核兵器禁止条約発効3周年目を迎えるこの時期ようやく実現しました。
被爆地訪問を強く望んでいたことは、基調講演が約1時間20分(通訳を含めてですが)に及んだことからも推察されます。
その基調講演の中から私なりに印象に残ったことをここでは紹介したいと思います。
資料館を見学して、「キノコ雲の下でいのちを失った25万人の人には、それぞれ一人ひとりに名前があった。そこには家族がいた。親しい人々がいたことを忘れてはならない」というサーロー節子さんの言葉を思い出した。「資料館は、全ての人間に対して戦争の惨禍を思い出させる場所。また人間が同じ人間にこんな行為ができることを示している。」同時に「核のない世界が可能であることも示している。心を開き、目を開けば可能である。」
さらに、被爆者の話を聞いて「若い人たちが、被爆者の体験を継承することが、過去の過ちを繰り返さないことになる」
強調されたのは、被爆の実相が原点だと言うことです。
次にICANが、核兵器禁止条約にかかわるきっかけとなったのが、2006年に秋葉市長が「私たちは連帯すべきだ」と言われたこと、そして「2007年のウィーンの会議でも秋葉さんの話を聞いたこと」だったと秋葉さんとの出会いが強調して紹介されました。
さらに、2002年ガザでのイベントで「広島、長崎の犠牲者に対して、ガザの子どもがたちが、紙で作った船にキャンドルを灯して流した」ことを紹介しながら「世界ではほとんど核兵器の教育がされていない.核兵器に関する教育が必要だ」と強調しました。
ガザへのイスラエルの軍事侵攻が続き子どもたちのいのちが無残にも奪われている今、ガザの子どもたちの平和への思いを強調されたことが強く印象に残ります。
話しはいよいよ本題に入ります。「核兵器禁止条約は、世界に変化を起こすきっかけを作った。人道、環境に対する意識を持ち出した」とし、「核による抑止という虚構を捨てなければならない。核抑止の考え方は、核軍縮、核廃絶を阻害するものだ」としました。
そしてG7サミットについて「核のリスクを理解せず、期待を裏切るもの。被爆者の願い、若い人々の言葉を無視してしまった」と厳しく批判しました。
次は日本政府への期待・要望です。「日本は、核兵器禁止条約に署名する最初の国であったほしいと願っていた。しかし・・・・。今からでも遅くない」と、日本政府への署名・批准を求めました。さらに「岸田さんは、条約は出口だと言うが、私は入り口だと思っている」と話すと共に「日本政府が署名・批准していなくても条約の第6条の専門家会議に参加したり、信託基金に協力することを願っている」ことを強調しました。
この点については、私も同感です。
最後に日本政府に対して「日本がリーダーシップをとるためには、核の傘の考えを捨てるべきだ。自国のことのみならず、道義的な立場に立って働くべきだ」とし、「核兵器の非人道性を訴えることが重要だ」と強調しました。
核被害の実相に原点をおき、核抑止論を厳しく批判する姿勢を感ずることができた基調講演だったと思います。
この後、被爆者や高校生などとのパネルディスカッションがありましたが、時間の都合で私は会場を後にしました。
最後にどうしても触れておきたいことがあります。
ステージ上には、上の写真のように「核兵器禁止条約に参加を」と書かれた横断幕がありました。メリッサ・パークさんの来訪を機に、「日本政府に核兵器禁止条約に参加させる」という強い思いが込められています。しかし、開会あいさつを行った松井一實広島市長のあいさつの中には「核兵器禁止条約」という言葉が全く出てきませんでした。「なぜ!」と強い違和感を持ったのは、私だけでしょうか。あいさつが終わると会場を後にした松井市長こそ、メリッサ・パークさんの話を聞く必要があったと思います。
いのちとうとし
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