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2024年1月20日 (土)

ベトナムの歴史(その30-2) ―ベトナム戦争と枯葉剤被害Ⅱ―

枯葉剤被害者に謝罪も補償もしないアメリカ政府

よく、「アメリカは枯葉剤被害者に対する補償をしているの」と聞かれます。結論から言って、アメリカ政府は枯葉剤被害者に対する謝罪も補償もしていません。しかし、非戦闘員であるベトナムの人々の頭上と命をつなぐ大地や河川・湖沼に猛毒ダイオキシンを10数年にわたって反復的に散布した行為は、無差別大量の破壊的効果を意図した戦争犯罪です。

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枯葉剤使用20年後に生まれたベトちゃんとドクちゃん

しかもその人体的影響と被害は、その瞬間とその後の一定期間に止まることなく、幾世代にわたって被害を持続させることから核兵器と同様、非人道的大量殺戮兵器を使用したという責任は免れません。

1960年8月10日に“ベトちゃん・ドクちゃん”の生誕地、コントウム省で、最初の枯葉剤(エージェントオレンジ)がまかれる3年も前から、製造に携わっていた労働者に塩素ざ瘡などのダイオキシン中毒症状が発生していました。そうした被害をもたらすことを知り尽くした上で、1961年11月30日に兵器としての使用をケネディ大統領が承認したのです。

枯葉剤による被害を知り尽くした上での使用

このホワイトハウスの決定過程で、「ジャングルの中のホーチミン・ルートやベトコンの隠れ家を破壊するためには枯葉剤の使用が最善の方法だ」と主張するマクナマラ国防長官と、「それはアメリカとベトナムの友好関係を損ない、ベトナムの農民たちはアメリカを『野蛮な帝国主義者ども』といって嫌うことになるだろう。そして、それ以上に『合衆国は化学戦をやったといって非難されることになろう』」と反対するロジャー・ヒルズマン情報調査局長やアヴレル・ハリマン極東担当国務次官補らとの間で激しい議論があったことから見ても、アメリカ政府は、枯葉剤(エージェントオレンジ)がもたらす被害について十二分に知り尽くした上での、ケネディ大統領による「ランチハンド作戦」承認であったことは疑いないことです。

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ランチハンド作戦に使われた米軍C113輸送機(1945年9月2日ハノイ)

ベトナムの枯葉剤被害者による訴訟はことごとく棄却・敗訴

これまで幾度もベトナム国内や在外のベトナム人枯葉剤被害が、枯れ葉剤を製造したモンサント社などを相手に訴訟が起こしました。

モンサント社などは「企業はアメリカ政府の注文に応じただけ」、「当時、枯葉剤の使用は国際法で禁止されていたのか」、「枯葉剤と原告の被害との因果関係は完全に立証されていない」などと主張し、アメリカ司法省も「元の対戦国による訴訟を受け付けることは、大統領の戦争遂行権限に大きな脅威となる」とのコメントを出すなど、審理すら行われず棄却されたものを含め、いずれも棄却・敗訴になっています。

 2021年5月11日、フランスの刑事法院(裁判所)は、在住ベトナム人のチャン・ティ・トー・ガーさん(81歳)の枯葉剤を製造販売したアメリカの化学企業14社に対する訴訟を却下しました。「米国政府の戦時中の行動に関わる訴訟を裁く権限を持たない」との理由でした。

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チャン・ティ・トー・ガー(出典:VietnamPlus紙(2015年04月16日付))

ガーさんは控訴して現在も闘いを進めています。皆様、関心を寄せていただきご支援をお願いします。

アメリカ参戦兵士と家族には補償

一方、ベトナム戦争兵士は帰国後、流産や奇形出産が多発したことから、「ベトナム帰還兵オレンジ剤被害者の会」を設立。ベトナムの枯れ葉剤被害者同様、枯葉剤(エージェントオレンジ)を製造したモンサント社などを相手に訴訟を起こしました。これに対してはアメリカの裁判所は補償を命じています。さらにモンサント社の除草剤による被害を受けたアメリカ国民の訴訟に対し、枯葉剤と同じ成分の除草剤ががん発症の原因として被害者への補償金の支払い命令を出しています。

 こうしたアメリカ政府の姿勢は、過去の戦争に対するものではありません。ウクライナ戦争を一時も早く停戦・終戦に向けた責任を果たさず、国際法が禁ずるクラスター爆弾や劣化ウラン弾を供与し、継戦によるアメリカ国益のみを追求する姿勢そのものです。イスラエルによるガザにおけるパレスチナ壊滅(ホロコースト)を容認するばかりか、武器供与を続ける姿勢にも表れています。

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2001年1月米軍の大量劣化ウラン弾で破壊された旧ユーゴスラヴィアの戦車で遊ぶ子どもた(出典:朝日デジタル2023年3月5日)

そのアメリカにどこまでも追随する日本政府の責任は、アメリカの後方支援基地、襲撃基地としてベトナム戦争に加担した過去の責任にとどまらず、現在の罪でもあります。

 枯葉剤作戦による被害者への謝罪と補償を求めるガーさんたちの闘いは、ウクライナとパレスチナに平和を取り戻し、非人道的殺戮兵器の製造・保管・使用、また供与や譲渡を禁じるための歩みでもあります。

日本の過去・現在を問い続け、未来を切り開くための課題でもあると思います。

 「被爆80周年」を来年に控える今年の夏、86日の「原爆の日」に続く810日の「エージェントオレンジDay」(枯葉剤64周年)を通して、皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。

次号では「日本の中の枯葉剤」を取り上げてみたいと思います。

2024年1月20日(あかたつ)

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