広島県被団協が「教育勅語」問題で広島市長に抗議
このブログでも2度にわたって広島市長が、広島市職員研修において「教育勅語」を引用した問題にいてついて取上げてきました。この問題については、様々な団体が広島市に申し入れを行っていますが、広島県原爆被害者団体協議会も一昨日、箕牧智之理事長と前田耕一郎事務局長、熊田哲治事務局次長の三人が市役所を訪れ、広島市長に対し「抗議文」を提出し、引用を取りやめるよう求めました。これに対し、対応した鍋沢研修所長は、「市長にしっかり伝えます」と回答しました。
以下にその全文を掲載します。
広島県原爆被害者団体協議会理事長
箕牧智之
「教育勅語」の一部を研修資料に使用していることについて(抗議とお願い)
市長におかれましては市民のために日夜尽力されていることに敬意を表します。
市長が広島市職員研修の資料において、「教育勅語」の一部を引用していることが報道されました。市長は教育勅語について「使い方を誤ったが、中身の部分については評価できる。」として来年度以降も使用を続けるとの考えを示されたとのことです。
私たちは、核兵器はいけない、核兵器は戦争の中で使われたものであるから戦争もいけないと考えています。これは戦争、原爆を経験した者として骨身にしみた思いです。市長も広島の市長としてそのことは十分にお分かりと思います。
市長はなぜことさらに戦前の教育勅語を持ち出されるのですか。市長が一部であれ、戦前の教育理念の根本であった教育勅語を持ち出されることは、市長が戦争へと進んだあの時代の教育を評価しておられるものと感じ、恐れを抱きます。市長もご存じのことと思いますが教育勅語については日本国憲法の精神と相容れないものとして衆議院、参議院それぞれにおいて排除あるいは失効の決議がなされています 。
核兵器に反対し平和を愛する広島市の市長としては戦争へと突き進んだあの時代の教育理念を評価することなどあってはなりません。市長のお考えが教育勅語のある部分と通じるものがあろうと教育勅語を持ち出して紹介することはお止めいただきたいと思います。
私たちは戦争、原爆を招来したあの時代の教育理念が持ち出され、評価されることに反対し抗議します。どうか、平和都市広島の市長として研修資料への教育勅語の引用をお止めください。私たちは市長と共に核兵器のない平和な世界への道を築き歩んでいきたいと思っています。どうかよろしくお願い申し上げます。
以上が広島県被団協の抗議文の全文ですが、ここで付言しておきたいとことがあります。
1948年(昭和23年)6月19日の衆議院本会議において、各派共同提案である「教育勅語等排除に関する決議案」を提案した松本淳造議員は、その提案理由の中で次のように述べています。
「部分的には眞理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには眞理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点をもつものであります。それが憲法第九十八條にも副わないゆえんでありまするので、この際この條規に反する点を認めまして、われわれはこの教育勅語を廃止する必要があると考えざるを得ないわけであります。」
この趣旨弁明を受けた上で、衆議院が全会一致で「教育勅語等排除に関する決議案」が採択したことを改めて強調しておきたいと思います。
余談ですが、松本淳造議員は、1946年4月の衆議院議員選挙で、島根県選挙区に社会党公認で立候補し当選しています。島根の出身者とは意外でした。
いのちとうとし
[お願い]
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