東区の被爆樹木めぐりーつづき
東区の被爆樹木めぐりのつづきです。
次に訪れたのは、鶴羽根神社の西隣にある明星院です。ここには、イチョウ、ソテツ、クロマツの3本の被爆樹木があります。
被爆樹木を探そうと山門をくぐり境内に入って何の気なしに右側を見ると不思議な石板が目に入りました。
よく見ると、広島電鉄から被爆した路面電車の敷石千枚の寄贈を受けたことが記載されています。
千枚とは大量の被爆敷石です。引き返して改めて山門から境内を見ると、通路に被爆石が敷き詰められています。
かつて、ドイツのポツダムにある「ヒロシマ、ナガサキ広場記念碑」をつくるとき、私も広島電鉄から寄贈を受けるため、被爆敷石が保管されている荒手車庫に行き、積み上げられているのを見たことがありますので、間違いなく被爆石だということわかります。
少し色が変わっています。
境内に入り足下を見ると、通路に被爆敷石が敷き詰められています。
肝心の被爆樹木です。これが被爆クロマツだなと思える木が見えますが、境内の西側にある二葉保育園の園庭の中で、境内との間にフェンスがありますので、近づけません。困ったなと思っていると、たまたま住職の姿が見えましたので、断りをいって園庭に入らさせていただきました。
外からは、クロマツしか見えなかったのですが、中に入るとクロマツと、ソテツが並んでいるのが目に入ります。
ここは爆心地からの距離は、1,780mです。手前のクロマツは、「慈光之松」と呼ばれ樹齢約500年です。広島市のホームページでは、「爆風の影響か、幹が傾いている」と書かれています。左斜め手前が、爆心地の方向ですから、そう言われてよく見ると確かに幹が右(爆心地の反対方向)に傾いています。
クロマツの奥に「大悲之蘇鉄」と名付けあれた蘇鉄が見えます。
葉がきれいに剪定され少なくなっていますが、左右に広がった幹からは、大きな木だということがわかります。樹齢は、約300年です。
次は、イチョウの木です。
その木は、クロマツなどとは反対側の境内の右側に立っていました。
近づいてみると、この木の幹には奇妙な造形?が施されています。
そばに立てられた石版には、次のように書かれています。
「樹齢百五十年と推定されるこのイチョウは、昭和二十年八月六日に被爆しましたが、奇跡的に樹勢を復活させて毎年秋には黄葉の絨毯と、たわわに実る銀杏は風物詩でした。昭和六十二年六月に落雷の直撃を受けて樹冠が裂け、更に平成十六年九月七日の台風十八号、十月二十日の二十二号の暴風により、倒木は子安観音の光背をねじ曲げ左手を寸断しました。
そして、令和三年八月九日台風九号の暴風雨により全ての枝が折れてしまいました。調査の結果、樹木の中心より雨水が浸透し根元近くまで腐食が進んでいました。それでも懸命に生き続けようと新芽を出す姿に感銘を覚えました。このたび防腐措置を施し、内部に観音菩薩仏頭を安置し、霊木として生命の尊厳を讃えることにしました。 山主敬白」(原文のママ)
日付が入っていませんので、何時つくられた石版か不明ですが、刻まれた来歴の最後の日付が令和三年八月九日となっていますので、ここ一、二年のうちに建てられたもののようです。この石板を読んだ後でよく見ると観音菩薩仏頭の下には、幹にしめ縄が付けられ、新しく伸びた枝には折り鶴などが、かけられています。他の被爆樹木ではあまり見られない光景です。
これで、明星院の被爆樹木めぐりは終わり、安楽寺に向かいました。
安楽寺に行く途中、G7サミットの前に切られてしまった被爆ヤナギのその後が気になりましたので、土手から下を覗いて見ました。
切り口は乾燥した状態になっており、ヒコバエの姿を見ることはできません。残念ながらこのまま朽ち果てるしかないように見えますが、来春に奇跡的に新しい芽が出ることを期待し、この場を後にしました。
最後の安楽寺のイチョウの木です。
ここは何度も訪れていますので、少し色づきはじめた様子を写真に収めて、被爆樹木めぐりを終えました。
いのちとうとし
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