第60回護憲大会シンポジウム報告
前回に続き、護憲大会のメイン企画として行われたシンポジウムを報告します。
シンポジウムのテーマは、「憲法審査会の現実と今後の私たちのとりくみ」。名古屋学院大学教授の飯島滋明さんがコーディネーターとなり、新垣邦男さん(衆議院憲法審査会委員)、打越さく良さん(参議院憲法審査会委員)、杉尾秀哉さん(前・参議院憲法審査会幹事)、吉田晴美さん(衆議院憲法審査会委員)の衆参4人の国会議員をパネリストとして行われました。
この中で問題点として指摘された一つは、憲法審査会の開催自体が目的化しているということでした。杉尾さんは「議論の中身は深まらない。自説をたんたんと説くばかり。実績を作って草案を作りたいだけ」「憲法審査会には、他の委員会のように法案があるわけではない。どういうテーマで何を話すかは与党と野党第1党との話し合いによって決まる」とした上で、「本当に改正するとすれば、今の憲法ではどうして対応できないのか、立法事実があるのか、歴史的な制定の経緯、様々な学説も踏まえ緻密に議論しないといけない。真正面から議論していくことが必要」と訴えました。
「日米地位協定を先に変えてほしい」と訴えたのは沖縄県選出の新垣さん。対中国や北朝鮮を念頭に自衛隊の基地が次々と南西諸島に配備されていることを紹介し、「受け入れる側も当初は急患を運んでもらえるし災害になったら助けてもらえる、と期待していたが、弾薬庫が作られミサイル部隊が来てどんどん大規模になっていく中で、『話が違う』となってきている」。また、「米軍は嘉手納基地に戦闘機を常駐しなくなる。攻撃された場合に備えてグアムに移転する」と、沖縄が現実的に軍事的な標的になってきていることを指摘し、「沖縄は憲法の上に地位協定がある」と冒頭の日米地位協定への発言となりました。
打越さんが指摘したのは「(憲法こそ)命と暮らしを支えてくれるもの」ということでした。打越さんはこれまで弁護士として、夫婦別姓訴訟を提起し最高裁まで闘ってきました。夫婦別姓訴訟では敗れたものの、旧優生保護法の下で不妊手術を受けさせられた問題や生活保護バッシングの問題など、「生存権の保障が脅かされている。人権が侵害されたり差別されたり、法律がおかしい時に憲法がある」として、「護憲=古臭い、守旧派というレッテルが貼られているがそうではない」と話されました。
憲法審査会の論点として具体的に話された一つは、国民投票の際のデマ対策やCM規制問題でした。メディア出身の杉尾さんは具体的な事例として、災害などで自衛隊が人命救助する映像が繰り返し流され「自衛隊さんありがとう、とイメージCMが繰り返し流されるとどうなるか」「CM枠は広告代理店が全て押さえている。さあ国民投票となった時、どうなるか」などと提起。また、自身がデマ投稿をされ、その投稿の削除に3年もの歳月を要したことを紹介し、「どうやってデマや意図的な操作を規制できるか、何らかの歯止めが必要。ここを放置したままでは禍根を残す」と何らかの規制の必要性に言及しました。
二つめは、議員任期の延長についてです。この点について打越さんは「国民の選挙権を奪う、ないがしろにするもの。関心を持ってほしい」として、1941年に一度だけ衆議院が任期延長をした際の理由が次のように述べられました。「衆議院の任期延長が一度だけある。その時の理由は『国政について不必要にとかく議論を誘発し…挙国一致体制の整備を邁進しようとする決意に疑いを起こさせないとも限らない』というものだった。選挙をすると政府の政策が良くないとか、議論が噴出するから。戦争遂行のためだった」と、平和と民主主義の危機に直結する問題であることが指摘されました。
今後に向けた課題について吉田さんは、2年前の総選挙で自身が当選した際、前回選挙に比較し5%投票率が上がっていたこと、同様に、昨年の杉並区長選挙で推薦する女性候補が当選したのも前回比5%投票率があがっていたこと。そして今年の統一自治体選挙で杉並区の議員の半数が女性になったが、ここでも5%の投票率アップがあったことを紹介し、「5%上げると政治の風景が変わる。もっと平和の声が集まっていくと感じている」と話されました。
シンポジウムの最後にコーディネーターの飯島さんから「もし、次の選挙で維新が野党第1党になれば、憲法審査会の議題は与党と維新で決まっていくことになる」と指摘し、次回選挙での立憲野党・護憲勢力の前進が不可欠であることが強調されました。
大瀬敬昭
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