被爆二世裁判―控訴審に向けた決起集会
広島の被爆二世裁判原告団が、広島地裁判決を不服として高等裁判所に控訴している裁判の、第1回公判が今月24日に開かれます。
この控訴審開始を前に、控訴団(控訴しましたので、控訴審では、原告団から控訴団と呼ばれることになる)による決起集会が、今月9日の午後2時から広島弁護士会館で開催されました。
今回の決起集会は、5月15日に提出した「控訴理由書」について改めて学習し、高裁での審理に向けて意思統一を図るというものでした。
集会は、平野克博広島控訴団団長の司会で始まり、最初にオンラインで崎山昇全国被爆二世団体連絡協議会会長が、あいさつ。
続いて、大阪から参加された弁護団団長の在間秀和弁護士が、「控訴理由書」をもとに、「広島地裁判決の問題点がどこにあるのか」を解説が行われました。
真ん中が、在間秀和弁護団長
「控訴理由書」は丁寧に問題点を指摘しているため長文ですので、「控訴理由書」の「結論」部分だけ引用します。
「原判決について、大きく2点について指摘してきた。1点は、被爆者援護法における『被爆者』の趣旨についてであり、あと1点は、原爆放射線の遺伝的影響(継世代)影響である。
以上の結論は極めて簡明である。
第1に、被爆者援護法の趣旨は、原爆放射線による健康被害を受けている可能性のある人たちを対象にしている。そして、第2に、原爆放射線による健康被害の遺伝的(継世代)影響は否定できない。
以上が本件において明らかにされた事実である。原判決は、第1の点は、同様の結論を肯定した、と理解できる。しかし、第2の点については、要は『放射線の遺伝的影響による健康被害の発生が科学的に承認も否定もされていないという意味での可能性』という趣旨不明の文章表現によって『判断回避』を糊塗し、『立法裁量』との結論を示している。
原判決を総じて見れば、原判決は、控訴人らの主張立証を正面から受け止めそれに応えるという姿勢を示さず、アプリオリに設定した『立法裁量』という結論と符合するように組み立てたといわざるを得ない。(以下略)」
在間弁護士は、「今後の審理では、第2の『原爆放射線による健康被害の遺伝的(次四代)影響は否定できない。』の点を中心に、証拠書類などの提出を進めていく」と解説されました。
その後、参加者からの意見表明を受け、今後の日程を確認し決起集会は終了しました。
24日に開かれる控訴審第1回公判では、2人の控訴人が、意見陳述をすることになっています。弁護団の報告によれば、1回の審理で結審する(審理終了)ことも危惧されたのですが、第1回公判終了後、裁判所と双方の弁護団による「進行協議」が行われることになりましたので、2回目以降も引き続き、審理が行われることになるようです。
長崎の被爆二世裁判は、すでに6月29日に福岡高裁で第1回控訴審が行われ、国側は「双方の主張・立証は尽くされた」として結審するよう主張しましたが、審理が継続され、今月17日に第2回公判が行われ、控訴人団長の崎山昇さんによる意見陳述が行われることになっています。
いのちとうとし
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