広島被爆二世裁判の控訴審始まる
2月の地裁判決を不服として控訴していた広島の被爆二世裁判の控訴審が、一昨日24日に広島高裁で始まりました。
第1回目の口頭弁論となることから原告団は、横断幕を掲げての入廷を行いました。
広島高裁では、一番大きな法廷の一つ302号法廷で、小池明善裁判長のもと、午後2時に審理が開始されました。
最初に、控訴人(被爆二世原告団)、被控訴人(国)のそれぞれの代理人弁護団から提出された書証が確認された後、原告2人の意見陳述が行われました。
一人は、全国被爆二世団体連絡協議会の副会長の寺中正樹さん。寺中さんは次のように訴えました。意見陳述書の一部を引用します。
「私の妹雪子は生まれて1日しか生きることができませんでした。
私は生まれてすぐ引きつけを起こし、両親が原爆のせいではないかと心配しました。5歳の頃、遊んでいたら足の骨にひびが入ったり、小学生の時には棚田を飛び降りたりしただけで、よく捻挫をして母に猫車で病院に連れて行ってもらいました。
10歳の時、突然おしっこが真っ赤になって、1時間おきに血尿が出て痛くて夜も眠れず死ぬのではないかと思いました。心配した父が徳山中央病院に連れていってくれました。3ヶ月入院し何とか命が助かりました。
20代半ばには十二指腸潰瘍になり、下血がひどく意識が遠のき救急車で病院に運ばれました。輸血をせざるを得ず国立病院で2週間入院しました。その翌年から、微熱が続きました。被爆二世健診で非A非B型肝炎(現在のC型肝炎)がわかりました。
その後、週1回の強力ミノファーゲンCの静脈注射をずっと続けました。
また、30代の後半には、脳梗塞になりました。今も、心筋の炎症反応があり、継続的に通院治療しています。C型肝炎については、50代後半にウイルスを除去する薬に出会い、現在はウイルスがいません。しかしウイルスは無くなっても、非常に疲れやすく、少し無理をすると肝臓の数値が上がります。
61歳まで生きてきて、ずっと病院にかかり続け、医療費の負担は大きいです。とてもつらいです。」
寺中さんは、さらに「私は、山口で被爆二世の会の代表をしていることもあり、被爆二世の友人がたくさんいます。」とし、3人の被爆二世の友人をうしなったことを紹介し、最後に「私たち被爆二世の切なる思いをくんでいただき、被爆二世に寄り添った判決を出していただけるものと信じております。」と訴えました。
続いて証言台に立った広島原告団団長の平野克博さんは、次のように訴えました。
「私は姉と2人兄弟です。小さい頃から母から『あなたたちには,もう一人一番上のお兄さんがいたんよ。』と聞かされていました。長男は死産でした。そしてなぜか,母は亡くなる直前に『実は一番下に,もう一人弟がいたんよ。』と話し亡くなりました。『どうして亡くなる直前まで弟の話をしなかったのか。放射線の影響で何があったのか』といろいろと考えてしまいます。多くの被爆者の子どもが命を授かったにもかかわらず,生きたまま産まれてくることができなかったと聞いています。しかも,私の兄弟では4人のうち二人もです。
私たち被爆二世は,自分や身のまわりで起こる様々なことを親の受けた放射線の影響ではないのかと思って生きています。」
と自らの生き様を訴え、最後に「私たち被爆二世のおかれている状況や苦しみ、そして痛みを理解していただき,『疑わしきは救済』という血の通った判決を出していただきますよう,心より願うばかりです。」と陳述しました。
これで第1回の口頭弁論は終了し、その後弁護団と裁判所による進行協議が行われました。
その内容について、在間弁護士から報告集会で次のように紹介されました。
「裁判所は、この裁判を重要事件という認識を持っているようだ。聞く耳を持っていると感じた」とし、さらに「今日の意見陳述が少し響いて裁判官が受け止めればと思っている。」
長崎における控訴審は、2回開廷しただけで結審となり、来年2月29日に判決が出るいことになっていますが、広島での審理は、もう少し深まるようです。
報告集会では、その後、医学的立場から裁判を支援する振津かつみさんから放射能による遺伝的影響についての話があり、終了しました。
第2回公判は、3月8日に行われます。
いのちとうとし
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