朝鮮人強制労働犠牲者追悼法要
今月3日から本願寺広島別院で始まった「北海道・笹の墓標展示館全国巡回展in広島」の最終日となった10日、本願寺広島別院本堂で「朝鮮人強制労働犠牲者追悼法要」が行われました。別院の本堂で「朝鮮人強制労働犠牲者追悼法要」が行われてのは初めてのことです。
法要が始まる午後1時前に会場に着くと、受付横には灯ろうが用意されており、一人一人がその思いを書き、本堂祭壇前に並べるように準備されていました。
午後1時、亀井顕雄実行委員長による「過去の歴史の真実に向き合うことが大切。犠牲者の痛みを心にして、和解の尊さを考えたい。この場所、本願寺別院は日露戦争の時第2陸軍病院が有、ここで亡くなった引き取り手のない遺骨を表忠塔に納めている。」と本願寺別院の戦争に関わる歴史を紹介する主催者あいさつ後、榮俊英輪番(広島別院の最高責任者)など4名の僧侶による「阿弥陀経」が読経されるなか、参加者は焼香を行いました。
焼香しているのは、進徳高校の生徒です。この追悼法要に先生と高校生平和ゼミナールの生徒二人が参加していました。高校生平和ゼミナールの生徒は、毎年庄原市の高暮ダムでの追悼式に参加しています。
他宗教の人も参列されていますので、それぞれの立場で追悼の意を表します。
全員の焼香が終わると、会場を整理して広島朝鮮学園生徒などによる「チェサ」が行われました。
「チェサ」は、朝鮮民族に伝わる法事などで「先祖への感謝の気持ちを表し、親族の結束を強めていく」思いを込めて行われる行事です。たくさんのお供え(食物)を作り、お酒、ご飯、お茶の順で同じ動作が繰り返され、普通は、1時間ぐらいかけて行われる行事のようです。
「チェサ」が終わると、広島朝鮮歌舞団の黄玲実(ファン・ヨンシル)さんの追悼の踊り、
朝鮮学園高級部の生徒30人によるアピールと合唱(「故郷の空」「イムジン河」)とアピールです。
高校生たちは、午前の3時間の授業を受けて参加しています。
これで追悼の行事は終わり、次は記念講演です。
記念講演の講師は、金英鉉(キム・ヨンヒョン 38歳)さん。金さんは、笹の墓標展示館再生・和解と平和の森を作る実行委員会で活動を続けています。
金さんは、京都生まれの在日3世で朝鮮学園の中高学校を卒業、朝鮮大学校卒業後、朝鮮青年同盟の活動家として活動を続けながら「何をもって自分を朝鮮人であると形容できるのか」を問い続けているとき、2013年に初めて「遺骨発掘事業」に参加し、「笹の墓標」展示館と出会い、この場所を守ろうと京都から北海道に移住し、現在に至っています。
講演のタイトルは「東アジアの未来と希望の種を」で、二つのテーマ「朱鞠内での強制連行・強制労働」「私が朱鞠内を語る理由―植民地主義の克服のために-」での話でした。
今なお続く朝鮮人差別の中で、私たちは何を考え、何をすべきなのかを突きつける厳しい内容の話でした。その内容を今文字としてあらわすことができないのが残念ですが、印象に残ったのは「死者と向き合うことで、忘れられようとする歴史を学んで欲しい」ということでした。
約3時間あまりの「朝鮮人強制労働犠牲者追悼法要」は無事終了し、それとともに「北海道・笹の墓標展示館全国巡回展in広島」の行事も成功裏にすべて終了しました。
「笹の墓標展示館」は、2020年豪雪の重みで倒壊し、その再建のための募金活動が行われ、その一環として全国巡回展が開催されています。現在も募金活動が続いているようですので、ぜひご協力をお願いします。
いのちとうとし
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