広島平和記念資料館令和5年度第1回企画展「新着資料展」―その2
「戦前の広島」の次は、「戦時生活から原爆投下へ」のコーナーです。
当然のことかも知れませんが、このコーナーに最も多くの資料が展示されています。
「戦闘機献納のための募金活動で集まった資金と広島実践高等女学校の生徒たち」や「広島招魂社前で撮影された陸軍部隊の集合写真」などの写真は、戦時体制に懸命に協力する国民の姿を見ることができます。
会場入り口の大きな看板(昨日の1枚目の写真)の裏側に、広島市立中学校2年生の檜垣浩さん(当時15歳)が、爆心地から900メートルの小網町の建物疎開作業現場で被爆したときに身につけていたズボン(左側ケース)と父の職場まで歩いてたどり着いたとき父親の兵市さんが着せたワイシャツ(右側ケース)が、展示されています。
こんなにズタズタに損傷したズボンが、78年間も大切に保管されていたことに、家族の強い思いを感じます。
右側ケースには、檜垣浩さんの写真が付けられています。
何歳の時撮った写真かは書かれていませんが、この写真があることでどういう子どもが着ていたのかがわかりますので、より実感を持ってみることができます。この写真はもう少し大きめでもよいような気がします。
他にもランドセルやガラス破片が残る桐タンス、焼けたくぎ、変形したガラス瓶など遺品や被爆物が多く展示されています。その中の一つに「竹製の物差し」があります。
寄贈者の名前が「森川高明」と書かれていますので、びっくりしました。物差しは、母親のアキコさんが持っていたもののようですが、寄贈者の森川高明さんは、平和公園の遺構保存を一緒に取り組んだ被爆者だからです。現在は体調が思わしくなく、なかなかお会いすることができないのですが、意外な出会いとなりました。
「戦時生活から原爆投下へ」コーナーで特に印象的だったのは、手紙類の多さです。その中でも、目を引きつけられたのは福間喬介さんが寄贈された「疎開先から届いて父母からの手紙」とタイトルの付いた手紙類です。
少し黄色がかっている手紙はお母さんから、お父さんからの手紙は毛筆で書かれています。キャプションには「光道学校5年生だった福間喬介(当時10歳)は、1945年(昭和20年)4月12日から9月12日まで、山県郡都谷村の仙徳寺に学童疎開していました。疎開期間中、父の一郎さんと母の久子さんは喬介さんに宛て手紙や小包を送りました。父母や兄弟は全員無事で、喬介さんは9月に家族と再会しました。」
展示された多くの手紙類の中で、特に目を引きつけられたというか気になったのは、「光道学校」の文字です。ずいぶん前にこのブログで、「光道学校」のことを取上げたのですが、こんな形で学校名を見たのは初めてだったからです。疎開先の「山県郡都谷村」は、現在の山県郡北広島町豊平と思われます。
もう一つは、この手紙類は、すべて学童疎開先に送られたものだということです。当時子どもたちからの返信はできなかったのでしょうか。それはよくわからないのですが、もし返信できたとしても、届けられた先は、市内だったはず(「父母や兄弟は全員無事」という表現から想像すると)ですから、当然焼失してしまったと想像できます。こんなことを思いながら、二つの展示ケースを見ていました。
これらの品々が、ほんとうに大切に保存されていたのだなとの思いながら歩を進めました。
後は、「戦後資料」と「原爆の絵」のコーナーですが、明日紹介することにします。
いのちとうとし
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