広島弁護士会主催「敵基地攻撃能力と憲法9条」講演会
9月2日午後2時から広島弁護士会館3階大ホールで、広島弁護士会主催の講演会「敵基地攻撃能力と憲法9条」が開催されました。
広島弁護士会は、講演会参加をこう呼びかけています。
「2022年12月に、安保三文書が改定され、反撃能力の保有が明記された上、防衛費は今後5年間で約2倍の43兆円とする内容が閣議決定されました。従来、政府は憲法9条に基づく専守防衛を掲げてきましたが、この度の安保三文書は、その防衛政策の大転換となるものです。このような中、市民の方々に安保三文書の内容や、日本の現状を知っていただき、今後の日本と世界の平和のために、日本の進むべき先を市民の皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。」
ゲスト講師は、東京新聞記者の望月衣塑子さんです。望月さんの話は、数年前の講演会で、熱弁と鋭い指摘に感心したことがありましたので、もう一度聞いてみたいとの思いで参加しました。
案内チラシでは、講演会は、3時間が予定されていましたので、望月さんの話はそんなに長いのかと思いながらの参加でした。
しかし、講演会には前段がありました。主催者のあいさつの後、「岩国米軍基地・呉自衛隊基地の現地報告」が、組み込まれていました。持ち時間一人10分足らずの報告でしたが、岩国の田村順玄さん、呉の森芳郎さんは、二人とも現地で反基地闘争を取り組んでおられるだけに最近の両基地の増強ぶりがわかりやすく報告されました。岩国基地問題は、それなりにマスコミ報道もありますが、呉基地問題は、ほとんどマスコミに報道されることはありませんので、新鮮な気持ちで聞くことができました。
いよいよメインの望月衣塑子さんの講演です。講演のタイトルは「敵基地攻撃能力と憲法9条~どうなる?軍拡と財政問題~」です。
配布されたパワーポイントの資料は、この種講演会では初めて手にする132ページという膨大なものでした。
「岸田首相の支持率の現状」から話はスタートし、日米参加国の首脳会談、麻生副総理の「他高く覚悟」発言、処理水海洋放出問題、防衛財源確保法の成立、G7広島サミット・・・、次々と興味あるテーマが続きます。それぞれ取材で得た情報を元に、解説が進みます。
以前と同じ、滑舌のきいた話しぶりには、感心します。
特に、「憲法9条、専守防衛の概念を無視した政策区作りへのマスコミトップらの加担」については、自らがマスコミに身を置く立場だけに、厳しい指摘となりました。
あまりの量に、ここではこれ以上紹介することは無理ですので、終わり部分の話をパワーポイントの資料を使って紹介します。
「記者として私のテーマ 戦争したい人たちに戦争をさせないこと!」
「そもそもメディアの役割とは、権力の監視、チェック」そうだそうだと相づちを打ちながら聞きました。
「何が必要か 多様な声を社会や政治に 連帯し声を上げよう!」自らの体験を交えての提起でした。
「市民の声を官邸や記者たちへ」
「憲法とは何か 憲法とは支配者の暴走を防ぐもの」
ここで幣原喜重郎の次の言葉が紹介されました。「正気の沙汰とは何か。武装宣言が正気のさたか。それこそ狂気の沙汰だという結論は考え抜いた結果出している。世界はいま一人の狂人を必要としている。自ら買って出て狂人とならない限り世界は軍拡競争の地獄から抜け出すことはできまい。これは素晴らしい狂人である。世界の扉を開く狂人である。その歴史的使命を日本が果たすのだ。」(日本国憲法~9条に込められた魂~)
締めくくりは、ガンジーの言葉でした。
「あなたのすることの殆どは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分自身が変えられないようにするためである」
1時間20分の予定だった講演は、1時間50分の長い講演となりましたが、何度も共感を覚える内容でしたので、充実した時間でした。そしていくつも問題意識を共有できる講演を聞くことができました。
いのちとうとし
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