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2023年9月18日 (月)

広島平和記念資料館令和5年度第1回企画展「新着資料展」―その3

あと二つのコーナーが残っています。

「戦後資料」で、最初に目を引いたのは「被爆死した油谷重工業株式会社関係者に関する各種資料」です。

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左隅には、「過去帳」と書かれた大きな木箱書があります。油谷重工業株式会社は、現在はコベルコ建機株式会社と社名が変わり、安佐南区沼田町大字伴に移転していますが、被爆時は安佐郡祇園町にありました。私が選挙に立候補していたときには、組合に応援をしていただいていましたので、何度も訪れていましたが、油谷重工は、爆心地から5キロ以上も離れていましたので、当時は原爆被害のことなど全く頭に浮かびませんでした。

「その油谷重工がなぜ?」という思いで展示ケースを見たのですが、キャプションを読んで納得です。「職域義勇隊として広島市内天神町の建物疎開作業のため人員を送っていました。同隊には20戸の建物の取り壊しが割り当てられており、1945年(昭和20年)8月5日までに19戸の作業が完了し、8月6日は最後の1戸の解体のため161人が出動していましたが、被爆により全員が亡くなりました。これらは、亡くなった職員と動員された生徒たちの過去帳や履歴書、名簿などです。」

広島市原爆戦災史によれば、油谷重工は、軍需品を生産していたようですが、そんな会社にも職域動員があったことに驚かされます。天神町は、現在の平和公園付近ですので、同戦災史には、出動者161人中、即死は128人、行方不明33人と記録されています。もし8月5日までに、全戸20戸の解体が終わっておればと思わずにはいられません。

企画展の展示品に戻ります。このコーナー「戦後資料」の展示の多くは被爆後に撮られた写真です。気になった写真が2枚あります。

1枚は「大手町国民学校の焼け跡から北北西を見る」とタイトルが付いています。

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大手町国民学校の焼け跡には、現在はドコモのビルが建っています。そこから北北西を見て最も近い位置が、わが家が住みマンションということになります。

大手町国民学校のこともこのブログに書いたことがありますが、その時には、写真を探すのに苦労をしました。この写真から学校の面影を見つけることは難しいのですが、気になる一枚です。撮影時期は、1946年頃となっています。

2枚目は、前にも同じような写真を見たことがある「国泰寺の大クスノキ」の写真です。

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この写真も1946年頃の撮られたものですが、右奥に現存する被爆建物日銀広島支店がはっきりと写っています。

最後が「原爆の絵」のコーナーです。沢山の興味深い絵が展示されていましたが、その最後で意外な絵を見ることになりました。

原水禁がいつもお世話になっている切明千枝子さんが、91歳の時に描かれた絵で、「8月6日の夜空。空が二つに分かれていた。」のタイトルが付けられています。

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「広島市立長束中学校校長角雄二寄贈」となっていますので、切明さんが、近所の長束中学校で被爆証言をされたときに学校に寄贈されたものと思われます。

「作者の言葉から」として次の文章が書かれています。

「被爆して家が崩れてしまい、外で寝た時の空の思い出です。広島の空が、くっきりと二つに分かれていて、北西の方は血の色のように真っ赤に、空が焼けていました。

南東の方は、一面の星空で、数限りない流れ星が流れていました。

流れ星は、死んでいった人たちの魂がもしかしたら天に昇っているのではないかと思い、涙を流しながら眺めた記憶があります。」

広島平和記念資料館令和5年度第1回企画展「新着資料展」の私の紹介は終わりですが、この企画展は、来年の2月27日まで開催されます。

それぞれにまた新しい発見があるかも知れません。一度足を運んでみてはどうでしょうか。

いのちとうとし

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