原爆死没者遺骨探しの名簿
7月1日広島市は、毎年のように「原爆供養塔納骨名簿」が全国に発送しました。
一昨日の「加藤友三郎没後100年シンポジウム」の企画発表記者会見のため、広島市役所を訪れたとき、1階市民ロビーに掲示された新しい「原爆供養塔納骨名簿」を見ました。いつも見る同じ風景ですが、今年は、ちょっと違う様子に出会いました。といっても、これまで私が気づかなかっただけかも知れませんが。
2枚のパネルの左面には、広島市の「原爆供養塔納骨名簿」が掲示されています。いつもと違う、と思ったのは右側のパネルです。
広島市の名簿と比べるとずいぶんと小さいのですが、「長崎原爆無縁死没者遺骨名簿―ご遺族を探しています-」と書かれています。長崎の遺骨探しのポスターです。恥ずかしながら、初めて見た気がしましたので、広島市に問い合わせると「記録が残っているのは、平成15年度から貼り出しています」との回答でした。ずいぶんいい加減に見ていたなと反省しています。
今年の広島市の「原爆供養塔納骨名簿」には、813名の名前が書かれています。広島市のホームページによれば、これまでに納められた遺骨(約7万柱)のうち氏名判明遺骨は2,437柱、うち遺族へ返還又は永久安置した遺骨は1,624柱ですので、今回の名簿に書かれた遺骨は、813柱ということになるようです。ちなみにこの一年間では、1名の遺骨の身元が判明し、縁者によって引き取られています。
さて、私が今まで気にとめていなかった長崎の「原爆無縁死没者遺骨名簿」です。よく見ると、いくつかの特徴があります。
まず、記載されている人数です。広島市の815名に対し、長崎市は122名です。犠牲者全体の数(1945年末まで 広島約14万人、長崎約7万人)と比較して、広島よりずいぶん少ない人数となっています。
もう一つは、例えば「池山佐和夫(池山左知夫)」と( )付きの名前が併記されている人が、15人います。ポスターには、注意書きとして「*名簿の( )書きは、氏名が特定できない人について併記しました。」と記載されています。広島市の名簿では、このような名前はありません。逆に広島市の名簿では、わずかですが( )書きで、住所が書かれている名前がありますが、長崎市の名簿には、住所のような他の情報は全く記載されていません。
よく見ると二つの名簿には、微妙な違いがあることがわかります。
ところで、広島市の引き取り手のない遺骨は、約7万柱が平和公園の「原爆供養塔」に納骨されていますが、長崎市は「長崎市原子無縁縁死没者追悼祈念堂」に納骨されています。安置されている遺骨は、8,964柱 です(ここでも広島との人数の大きな違いがあります)。「長崎市原子無縁縁死没者追悼祈念堂」は平和公園の近くにあるようですが、まだ一度も訪れたことがありませんので、今度長崎に行ったときには、ぜひ訪ねてみたいと思います。
ただ、これを調べていた気づいたことがあります。納骨されている遺骨の人数が、広島市は約7万柱とアバウトなのに長崎市は、8,964柱とはっきりと人数が特定されていることです。
2018年8月26日のブログ「長崎の原爆犠牲者数―7万3884人: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)」でも書きましたが、長崎市では、原爆犠牲者数も7万3884人と特定されています。安置されている遺骨数も特定されていることにいささかの驚きをもっています。犠牲者数が特定されていることの疑問については、何度も長崎市に問い合わせたのですが、その根拠は明確になってはいません。ですから今回の遺骨数の数字にもちょっと疑問を感ずるのですが、これ以上追いかけても疑問は解けないと思いますので、これ以上は追求しないことにします。
いずれにしても、一人でも多くの遺骨が、身寄りの元に引き取られることをお祈りするばかりです。
いのちとうとし
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