広島県原爆被害者団体協議会の2023年度総会
広島県原爆被害者団体協議会(以下「県被団協」)の2023年度総会が、6月5日午前10時から平和ビルで開催されました。
私も広島県原水禁の代表として来賓で参加し、あいさつを行いました。
定刻に始まった総会は、前田耕一郎事務局長の司会でスタート、最初の全員で黙祷を捧げます。続いて箕牧智之理事長の開会あいさつ。
「原爆投下から78年。自分の78年間という長い人生を思い出している。被爆からの人生は、紆余曲折があった。G7、資料館の見学、目張りがされ、中で何が起きているか、知ることはできなかった。被爆者との面談も英語のできるただひとりの被爆者と会っただけ。私たちが願っていた7団体と会うことはなかった。しかし、G7だけで物事が決まるものではない。これからもあらゆる機会を捉えて核兵器のない世界を訴えていきましょう」
続いて来賓のあいさつ。ここで私たちは退席をしました。その後大竹原爆被害者友の会賀屋幸治を議長に選出し、議事に入りました。提案者は、前田事務局長で、2022年度事業報告や2023年度事業計画が提案され承認されました。
事業計画では、被爆者相談活動で5カ所以上の出張相談の実施や、県被団協慰霊式典を例年の8月6日から8月5日に変更するとともに参加者も縮小し、被爆80周年の節目の年には従来通り実施することなどが、提案されました。
事業計画や予算などが承認されたあと、下記の「G7広島サミットの開催を終えて」と題する「まとめ」が提案されました。大切な文書ですので、少し長くなりますが、ほぼ全文紹介します。
(前略)
要点は三つ。
第一は、被爆地広島での開催であることから核兵器廃絶に向けた何らかの前進を期待していたがそうはならなかったということ。
第二は、核保有国を含むG7首脳が、広島で核兵器使用がもたらす結果を見、核兵器が使われるべきではないとの認識を持つに至ったであろうこと。
第三は、核兵器のない世界を実現するため、私たちは命ある限り先頭に立ち、訴え続けねばならない、ということ。
以下に詳述する。
- 被爆地での開催ということで核兵器のない世界に向けての前進を期待していた。
- 結果について様々な評価があるが私たちとしては複雑な思いがある。
a 生きている間に核のない世界を実現させたいと願い、運動してきた。
b 今回の会議において核兵器の削減や先制不使用などについて何らかの前進を期待していた。
c しかしながら、結果は核抑止論が肯定されるなど私たちの願い、期待とはかけ離れたものとなった。
d また、ロシアと中国への非難で結束し、和平・軍縮とは逆の方向となって、より対立を深めることにさえなった。
- とはいえ、次の点でプラスに考えたい。
a 核大国を含む世界の大国の首脳が被爆者から話を聞き、また、核兵器の使用がもたらす悲惨かつ甚大な破壊を目にしたこと。
b そのことを通じて核兵器使用の結果について具体的に認識したであろうこと。
c 使われるとどのようになるかを具体的にイメージし、「使えるものではない。使わせてはならない」との認識に至ったであろうこと。このことは平和記念資料館視察後にG7各国首脳が記したメッセージからうかがうことができる。
⑤ 上記のメッセージにも関わらず、広島ビジョンに反映されなかったのはまことに残念である。今後、核保有国を含む大国の首脳がNPTに記された核軍縮に向けた誠実な交渉を行い、核のない世界へと歩み出してくれるよう願う。また、何らかの形で核兵器禁止条約に参加してほしい。
⑥ 今後とも核兵器国の首脳が広島、長崎で核兵器使用がもたらす結果に向き合い認識を深めるよう希望する。それが核兵器のない世界の実現に繋がるものと考える。
⑦ 残念ながら、私たち被爆者の命がある間に核のない世界を実現させることは非常に困難であると考えざるを得ないのかもしれず、核兵器廃絶は次の世代に託さざるを得ないのかもしれない。
被爆者がいなくなれば核兵器の怖さを身をもって知る人がいなくなり、核兵器とその使用に対する危機意識が低下するのではないかと大いに懸念する。
⑧ 最後に、今後も大国の指導者が広島・長崎を見、向き合うことを通じて、核兵器は使ってはならないものであり使えないものであることを認識して、核兵器の不使用、廃絶へと進むことを期待し、切望する。そのためにも、広島・長崎、そして市民社会の果たす役割は非常に大きい。広島・長崎そして市民社会は核兵器廃絶の声を上げ続けていかなければならない。被爆者は命ある限りその先頭に立ち続ける。
会員の出席は、年々少なくなり、しかも二世の姿が目立ち、改めて被爆78周年という年月を実感する総会でした。
いのちとうとし
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