原爆死没者名簿への被爆留学生の登載
昨日の中国新聞を見て、びっくりしました。
昨日、このブログでちょっとだけ紹介した「広島文理科大学、広島高等師範学校に在学していて被爆した東南アジア出身の『南方特別留学生』」のことが記事になっていたからです。
記事は、「被爆留学生を搭載へ 原爆死没者名簿に初申請 広島大学」の見出しで、現広島大学に留学中に被爆して亡くなった人たちの名前が、原爆死没者名簿に登載されることになったことを紹介しています。
今回登載されるのは、「南方特別留学生」8人とともに「広島大学創立70周年記念写真集」では触れられていなかった中国からの留学生9人も含まれているようです。全ての留学生が登載されることになり良かったと思います。
新聞記事には、南方留学生のこととともに中国人留学生について「中国大陸出身者の12人が在籍中に被爆。うち張秀英さんたち男女6人が爆心地そばの宿舎や,中区千田町にあった校舎などで原爆死した。広島大学はこの6人に加え、すでに亡くなったと確認した3人の登載を求めている。」と書いています。
この記事を読みながら、思い出すことがあります。
それは、被爆40周年の1985年に中国を訪問された森滝市郎先生が,「帰国後どうしているだろう.ぜひ会いたい」と思っておられた被爆した中国人留学生4人(董永増さん、由明哲さん、王大文さん、初慶芝さん)との再会を果たされたことです。帰国した4人の留学生のうち、帰国後一度も広島に来られたことのなかった山東工業大助教授薫永増さんと元吉林大学日本研究所員初慶芝さんをその年の秋、日本に招待したのですが、薫永増さんは、その年の10月に急逝され、残念ながら訪問が実現せず、翌年6月に初慶芝さんのみが、来広し、治療と被爆者健康手帳の申請を行いました。
当時は、日本に来なければ手帳の申請ができない時代でしたので、被爆者健康手帳を取得できたのは薫永増さんを除く3人だけでした。
写真の右が王大文さん、左が初慶芝さん
ところで、昨日の中国新聞の記事を読みながら、気になったことがあります。
原爆死没者名簿への登載方法です。広島市に電話で尋ねました。
被爆者健康手帳所持者が亡くなられて場合は、死亡手続きともいえる手帳に基づいて「葬祭給付金請求の申請」が行われますので、その手続きが行われたことによって、原爆死没者名簿への登載が行われるようです。
それでは、被爆者健康手帳をもたない被爆者で原爆死没者名簿に登載を希望される場合はどうなるかです。このケースの対応については「広島市原爆死没者名簿登載および照会対応要領」が定まられており、それに基づいて対応することになるようです.この要領に基づいて、「広島市原爆死没者名簿登載確認票」を提出することになります。この確認票の申請者の項には、氏名・住所などの他「死没者との続柄」を記載する欄がありますので、原則的には親族しか申請できないと思われます。
そうすると、今回の外国人被爆者のように親族がいない場合はどうなるのかです。広島市に尋ねたところ、「親族からの申請の他に、広島市の調査によって判明した場合も登載できることになっています。今回の場合は、このケースで対応しています」との回答でした。
新聞記事では、「広島大学が申請した」となっていますが、今回のケースは、正確には、「広島市の調査によって判明した」という手続きを経て登載することになったとなるようです。
もちろん、広島大学が「留学生被爆者の名前を登載しよう」と思い申請されなければ、広島市が独自に調査することはなく、死没者名簿への登載は実現しなかったことですので、やや遅きに失したとはいえ、広島大学の英断に敬意を表したいと思います。
まだ国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に遺影が登録されているかどうか調べていませんが、未登録であれば遺影の登録も行われればと思います。
いのちとうとし
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6月29日のテレビを、見ました。元市長さんが、反対だと。平和公園とパールハーバー・・・の姉妹協定です。2者を同列に見ることが出来ない私が、おかしいのでしょうか。図書館のエールエール館移転もおかしいです。図書館の環境を、考えないのでしょうか。他に理由があるのでしょうか。元市長さんとは、スタンスが異なる私です。でも、反対ということでは同じです。平和公園とは、パールハーバー国立記念とは・・・・・。、それぞれの設立の事由が重なることがないと、考えています。市政と市民感情は違っていますと、言いたいです。姉妹協定がいいことを、もたらしますか。
投稿: ph | 2023年6月30日 (金) 00時31分
phさん
コメントありがとうございます。
ご指摘、同感です。
この二つの公園の姉妹提携、全くおかしいですよ。
1日のブログにこの問題を掲載していますので、読んでください。
最近の松井市政は、何でもかんでも独断で決めておられるような気がします。この点も指摘しておきたいと思います。
投稿: いのちとうとし | 2023年7月 1日 (土) 21時44分