「仁義切り」の代償
「仁義切り」という言葉、バクチ打ちなどの間で、独特の形で初対面のあいさつを交わすことです。歌舞伎など場で、舞台上の役者が観客にあいさつする独特の口上が由来ともされています。企業などの組織では、事前のあいさつ回りをすることや、礼をつくし相手に敬意の気持ちを表現する場合に使われています。
中国、中部、九州の各電力会社が、公正取引委員会からカルテル締結の独占禁止法違反で、排除命令と過去最高となる総額1010億円の課徴金を命じられた事件。6月7日、関電を加えた4社の株主が一斉に記者会見を行い、各電力会社に対し提訴請求書(監査役に対し、取締役の責任を訴えるように求める請求書)を送付することを発表しました。
4社の中でも中国電力に課せられた課徴金額は707億1586万円で、3社の中でずば抜けての最高額です。これに各県の自治体から指名停止を受けた損失金などを含め、総額約808億円の支払いを求めました。
この事件、何よりも許せないのは、誰が、何時、どこで、どういう方法で事件を起こしたのかという真相が、いまだに明らかにされていないことです。唯一、リアルな言葉で表現されているのが、ブログの題名にもしましたが「仁義切り」というものです。
2016年4月、電力小売りの完全自由化が始まり、電力会社管内を超えての営業活動ができるようになりました。一方で新電力会社が、電力事業に参入することが可能になりました。特に新電力の参入が大きかった関電エリアでは、熾烈な競争の中に置かれることになりました。
自由化が始まった翌2017年11月頃、関電は「仁義切り」と称して中国電力にあいさつのためにやってきました。関電は、中国電力管内でお客を獲得するための営業活動を行うことを伝えました。それがこの度の事件の発端とされています。その場で2社は、今後も役員級の者による情報交換を行っていく約束を決めたのです。
関電は、岡山や広島市に営業拠点を置いて、中国電力の大きなお客の電気を取ろうとしたのです。自由化になったのですから「取ろう」としたことは、まったく問題になることではありません。
しかし関電と中国電力は、お互いのエリアを侵食しないことや、新たに誕生した新電力会社を互いのエリアに参入させないために、販売料金の約束を行い双方の利益を守るようにしたとされています。それはカルテルとされた談合です。しかし事件の真相が明らかにされていないために、「だろう」の範囲でしか言えないのです。
提訴請求というのは、会社に置かれている監査委員に対し、事件を犯した取締役に対し責任を追及し、会社としての中国電力が被った損害金約808億円を返還する訴訟を起こしてくださいという請求のことです。
中国電力は、処分を下した公正取引委員会に対し取り消し訴訟を起こす考えとは言っていますが、まだ実際に起こしたとは報告されていません。カルテル自体を認めているのに、取り消し訴訟を起こすのも理解しかねることですが。
この度の提訴請求、60日以内に会社としての中国電力(監査役)が、課徴金などの賠償を求める訴訟を行わない場合、私たち株主が「株主代表訴訟」を起こすことになります。皆さん今後の動きを是非ともご注目ください。
木原省治
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