被爆復興のために贈られた広大の供木の今-その2
当日約束した午前10時半に広島大学東千田キャンパスの広島大学平和センターに行くと嘉陽礼文さんが、入り口で待っておられましたので、すぐに樹木散策をはじめました。
最初に、東千田キャンパス入り口北側(広島大学平和センターの建物の西側)のソテツを見ます。
このソテツには他の樹木にあるような説明板はありませんが、嘉陽さんの説明では、「2010年頃に理学部の出口教授より『最低でも60年以上の樹齢』と診断されているので、間違いない」とのことでした。このソテツは、台湾大学から送られたものです。
この後、東千田キャンパスにある「広島大学原爆死没者追悼之碑」の周辺も散策しましたが、ここにははっきりと供木樹木と確認できるものはありませんでしたので、東千田キャンパス地域の供木樹木の紹介は終わりです。
いったん電車通りに出て、北側に移動し旧理学部一号館がある東千田公園(旧広島大学キャンパス跡)に移動しました。
最初の目に入ったのは、正門(旧広島大学の正門)の手前にすくっと立つ大きな6本のフェニックスです。
このフェニックスは、アメリカ・ウエスリアン大学から送られてものです。
よく見ると、右列奥の一番生の高い木の上部には、宿り木が生えていました。フェニックスの宿り木は珍しい気がしましたので、写真を撮りました。
この木には、説明板があります。
「寄贈 米国ウェスレイアン大学(寄付金)」と書かれていますので、このフェニックスは、苗木が贈られてきたのではなく、贈られた寄付金によって苗木が購入されたことになります。
さらに説明板には「初代森戸学長がフェニックスス(不死鳥)の意を込めて植栽(1957~1958年)し、学章のデザインとした」と刻まれていますので、当時の緑化運動の中でも重要な樹木であったことがわかります。
ちょっと横道にそれますが、正門の位置のことです。
昨日紹介した石田雅春さんの論文には、「広島大学原爆被災史『生死の火』」から引用した被爆前と1975年(昭和50年)の東千田キャンパスの地図が掲載されています。
上の図が、被爆前、下図が昭和50年当時の建物の配置図で、両方とも中央上部に黒く塗りつぶされているのが、現在も被爆建物として残っている旧理学部一号館です。
注目して欲しいのは、正門の位置です。被爆前は、旧理学部一号館の正面より向かって左側に位置していますが、昭和50年の地図では、旧理学部一号館の真正面に正門が移設されています。
石田さんは、「戦前は正面から文理科大学本館(旧理学部一号館)を直接望むことはできなかった。ところが戦後は、旧理学部一号館の真正面に正門が移設され、旧理学部一号館を大学の貌(かお)としてキャンパスの整備が進められたのであった。のちにこの正門から旧理学部一号館に至る経路は『森戸道路』と呼ばれるようになり、広島大学を象徴する景観として親しまれるようになった。」と、この論文の中で書いています。
この文章を読めば、このフェニックスが旧広島大学の象徴だったという説明文が、より理解できると思い、あえて横道にそれました。
さらに、先に石田さん経由で贈られてきた嘉陽さんの樹木リストに「植樹された森戸緑化運動樹木」とのタイトルが付けられていた意味もこれでより理解できます。
写真には写っていませんが、左右のフェニックスの真ん中をまっすぐ進んだ先に旧理学部一号館の正面玄関があります。
「被爆復興のために贈られた広大の供木の今」は、今回で終わる予定でしたが、少し長くなりましたので、つづきは明日紹介します。
いのちとうとし
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