「国際平和文化都市の基(はじまり)」展
基町のユニテで、明田フォトプロジェクトが主催する「国際平和文化都市の基(はじまり)」展が、4月21日から5月21日(木・金・土・日の12時~17時)までの会期で開催されています。
私は、11日の午後に行ってきました。
展示されている写真は全て、写真工房を構え、仕事の傍ら60年以上にわたって復興した町や人びとの暮らしをとり続けた明田弘司さんが撮影されたものです。
会場は、明田さんの写真を中心に3つのタイトルで編成されています。
第1のタイトルは「児童文学館」・「焦土広島の児童たちのために」で、戦後の広島で最初の文化施設児童館が、「終戦の翌年の苦しい時代に小学校教師60人が結成した『広島児童文化振興会』が企画した『児童文化センター』構想の中心施設として建設された」と記されています。下の写真では、第1のタイトルが切れてしましましたが。
この構想の中で、児童文学館は、教師が中心とした民間人の活動によって建設され、昭和23年(1948年)5月3日という早い時期に開館式が行われてということに注目したいと思います。
ここで、「なぜ子どもの日の5月5日ではないのか?」と疑問を持たれる人もあるかもしれませんが、5月3日のブログ(76歳となった日本国憲法: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com))に書いたように、「国民の祝日」が公布されたのは、1948年7月20日からですので、まだこの時には、「こどもの日」は定められていませんでした。
第2は「児童図書館」・「広島の子どもたちが夢と希望をもつように、子ども図書館を立てて欲しい」で,この建物は、戦前に移民した人たちによる募金で建設されたことが次のように書かれています。
「戦前から移民を多数送出した広島県。ふるさとの惨状を伝え聞いた在外広島県人たちは、大戦中は『敵国人』の扱いを受け、戦後は生活の立て直しに精一杯でありながらも募金活動に励み、被爆後の広島をいち早く支援した。」
児童図書館も市民といっても在外の市民ということになりますが、そうした人たちの援助によって、昭和27年(1952年)12月4日に児童文化会館の近く基町に開館しています。
第3部は「文化のまちへ」・「未来につなぐ、国際平和文化都市ひろしまです。ここで初めて1949年8月6日の平和記念都市建設法公布・施行を機に、文化施設の整備が進んだことが展示されています。
会場の置かれたパンフレットの最後に「未来を担う子どもたちのために」とのタイトルで、次のように記されています。
「被爆後、著しい人口減少や経済的打撃で市は深刻な財政難に陥り、教育など社会の仕組みも一変。戦後の混乱に翻弄され、ものの不足する苦しい暮らしを強いられながらも、児童文化の復興に尽力する市民の行動が、ここ基町で早くも始まっていました。
当時の様子を写真で振り返り、『国際平和文化都市ひろしま』の礎を築いた市民の心意気を,現在そして未来へとつづく<文化のまち>の礎(はじまり)の姿を,今まさに変わりゆくまちの『これから』を、感じていただけると幸いです。」
柔らかな文章で書かれていますが、広島市中央図書館、児童図書館の移転問題での広島市の対応を、過去の歴史の中から厳しく批判している展示会だと思うのは、私だけでしょうか。
著作権の問題があり、明田さんの写真を掲載することが出来ませんが、子どもたちの表情豊かな写真が何枚もあります。またその他にも豊富な資料が用意されており、基町が、戦後の広島文化の基(はじまり)だったことが理解できます。
また会場には、主催者である明田フォトプロジェクトの梅森美帆さんや明田さんの次女などが常駐されていますので、説明を聞いたり意見を交換することが出来ます。
ぜひ会場に足を運んでいただき見て欲しい展覧会です。
いのちとうとし
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