「空白の天気図―気象台員たちのヒロシマ-」
平和公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館企画展「空白の天気図―気象台員たちのヒロシマ-」が、3月15日から来年2月29日までの期間で開催されています。
「空白の天気図」といえば、最初の思い浮かぶのは柳田邦男さんの名前です。今回の企画展も同書とともに気象台員の体験記を基に,これまでの企画と同じように30分の映像構成となっています。
同展を紹介するチラシには次のように書かれています。
「1945年8月6日、原爆は広島市に甚大な被害をもたらしました。爆心地の南方約3.7kmに位置する広島地方気象台でも、爆心に面した窓ガラスは割れ、職員の中には重傷を負うものが少なくありませんでした。
その状況下でも、『気象観測を担う者は、現象についての時間的な変化を絶えず記録しなければならない』と、最新の気象データを中央気象台へ電報で伝えるため、3名の若手台員が市の中心部へ向かいました。しかし、そこで彼らが目にしたのは、まさに地獄絵図と呼べるものでした。
さらに、被爆後わずか1か月後に広島を襲った枕崎台風は原爆被害を一層深刻なものにしました。気象台員たちはこの二重災害の被害を後世に教訓として伝えようと、現地へ出向いて一人ひとり詳細な聞き取り調査を行い、貴重な調査報告書にまとめました。
今回の企画展では、観測者の視点から記録された被爆体験記をもとに被爆の実相を明らかにします。」
壊滅的な被害を受けた広島で気象観測を続けた気象台員たちの様子を知ることが出来る映像となっています。
被爆当時は、天気予報は禁止されており、解禁になったのは8月22日になってからだったことや気象台員が百数十件の体験談を基に、500部印刷紙発行する予定だったものが、GHQの指示で発行できなかっただけでなく、回収されることになってようですが、100部だけ隠しておいたため残すことが出来、1953年にようやくそれを世に出すことが出来たことなどが、映像を見ていて印象に残っていることです。
会場には、その年の9月に広島を襲った枕崎台風の雨量計の記録紙など貴重な資料も展示されていますが、撮影禁止ですのでここでは紹介することが出来ません。
会場の地下1階の「情報展示コーナー」は、今年初めから始まった改修工事終了後初めての企画展です。
最も大きな改修は、スクリーンの大きさと位置です。従来さん分割されていたスクリーンが、縦2.4メートル横4.2メートルの大型スクリーンに変えられ、設置位置が会場入り口から見て向かって左側にあったものが、右奥に設置されています。これによって、後から来た人が入りやすくなったように思います。観覧者のために設置された座席が、固定ベンチだったものから移動式椅子に変えられ、20人分ほどが用意されています。
私が見に行ったときは、ほぼ満席の状態でしたが、そのうち4分の3は、外国からの訪問者だったことが印象的でした。
この企画展開催を記念して『空白の天気図』の著者で、企画展の監修を行われた柳田邦男さんの講演会が、開催日前日の3月14日に開催されました。当初、会場は追悼平和祈念館の研修室で、定員100名で企画されましたが、参加希望が多く、急遽原爆資料館地下大ホールに変更となりました。私も参加申し込みを行ったのですが、その日にコロナに感染していることが判明し、断念せざるを得ませんでした。
柳田さんの講演を聴くことは出来ませんでしたが、これを機会に『空白の天気図』を読み直したいと思っています。
いのちとうとし
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