なぜ被爆シダレヤナギは伐採されたのか?
今月の19日から20日にかけ、マスコミが一斉に「広島県が3月に東区牛田本町の京橋川左岸にあった被爆樹木シダレヤナギを『被爆樹木過って伐採』(4月20日中国新聞33面見だし)した」ことを報じました。
このニュースに接したとき、すぐに「あっ、あのシダレヤナギが切られたのだ」と気づきました。
この被爆シダレヤナギについては、このブログで、2019年5月8日被爆シダレヤナギは、どっちかな?: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)、2019年5月17日被爆シダレヤナギはどっち?―ようやく確認できました: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)に2回にわたって取り上げていたからです。
新聞報道の翌日、現地に行ってきました。
伐採後の被爆シダレヤナギ 伐採以前の被爆シダレヤナギ
ぽっかりと空洞の開いた大きな切り株が残っています。新聞に掲載された写真では切り株のみでしたが、私が訪れたときには、残った幹の部分に黒い寒冷紗がかけられていました。
ヤナギは強い木ですので、何とか残った切り株から新しい芽が出ればと思います。
被爆樹木が伐採された原因について、報道では「工事の発注者である県西部建設事務所は、被爆樹木とは知らずに伐採した」とし、さらに「広島市も被爆樹木を示すプレートをつけていなかった」としています。
帰宅後、県に電話を入れ「被爆樹木だと言うことは、広島市からどのような方法で連絡があったのでしょうか,どこに連絡があったのでしょうか」と尋ねたのですが、「現在調べていますので、すぐにはお答えできないのです」という回答でしたので、それ以上の原因を究明することはできませんでした。
実はこれに似た事例が、昨年起こっています。2022年7月12日枯れ死した被爆樹木ムクノキの伐採: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で紹介した、被爆樹木ムクノキの伐採です。そこには書いていませんが、この時問題になったのは、「この木が、市の史跡内に在る樹木なので、市の文化財担当課に事前に連絡すべきであったのも関わらず,連絡をしないまま伐採をしてしまった」ことでした。
決して被爆樹木を伐採した県を擁護するわけではありませんが、市役所内ですら起こったことですから、役所を超える場合にはなおさらという感を持ちます。
さらも「広島市が、被爆樹木を示すプレートをつけていなかった」ことも、今回誤って伐採されてしまった原因の一つです。私は、このプレートの件について、先に紹介した2019年7月17日のブログで次のように書いています。
「広島市の被爆リストに掲載されたこの写真と私が映したシダレヤナギは、あまりに違いすぎます。このシダレヤナギは、被爆樹木として2017年8月4日に登録されていますので、その後、何が原因かは不明ですが、地表から4~5メートルぐらいを残し、上部が無くなってしまったようです。ようですというのも、広島市の担当者もこのこと(何時からこうなったのかなど)を承知していなかったからです。一応私がスマホで映していた写真を見てもらい、そのことが確認できました。写真でもわかるとおり折れたと思われる部分からは、新しい枝が伸びており、葉も付けていました。疑問に思っていたことが解明でき、ちょっと一安心です。
ところで、私が間違えてしまった樹木も随分と立派になっていますので、この被爆樹木との見分けがつかないのも、仕方ないかもしれません。ですので、他の被爆樹木のように札を付けて、明示することが急がれます。」
もしこの時、広島市にもう少し強くプレートのことを言っておれば、今回の件は防げたのではないかと悔やまれます。
この件を受け、広島市は、「市内に160本ある被爆樹木の所有者に保存や管理を求める文書を出す」としているようですが、広島市も「被爆樹木を示すプレートの点検」をすべきだと思います。
ところで、私が気になったのは、中国新聞の記事の最初に「工事は、G7サミットの関連予算ですすめた」と書かれていたことです。
この点についても、県に尋ねたのですが、その様子は次回(28日)に紹介します。
いのちとうとし
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G7関連予算で、被爆樹木が伐採されたとのこと。ここにG7広島サミットがどういう性格を持っているか現れていると思います。「平和のためのサミット」ではないということがはっきりしたと思います。最近ではイギリスが劣化ウラン弾を送るとか、日本も「殺傷能力のある武器」を送るとか、ウクライナの人々が本当に喜ぶでしょうか。軍事産業が儲けるだけですね。即時停戦こそ本当のヒロシマの声だと思います。軍事同盟を確認するような広島サミットには反対です。
投稿: ブロッホ | 2023年4月26日 (水) 05時44分
ブロッホさん
コメントありがとうございます。
全く同感です。
広島の地を、軍事同盟強化の場にさせてはなりません。
何よりも、即時停戦のために何ができるのか、何をすべきかがを、日本が、岸田首相が提言し、宣言の中に盛り込ませるべきです。
広島市民の思いを、声に出して、訴え続けましょう。
投稿: いのちとうとし | 2023年4月26日 (水) 06時25分
即時停戦ですか。10年前の国、領土に、戻せるのですか。加害国の言い分には、納得していませんが。双方が納得できる妙案が、ありますか。どちらにも、花を持たせる解決策が、ありますか。キューバ危機。裏面も、出ていますが。話し合いでは、ありませんでした。花はトルコのミサイル撤去でした。早晩、旧式のミサイルは、撤去予定でした。B52数十が,滞空で、攻撃態勢でした。とどのつまりは、ロバート司法長官が、ソ連大使と、会っています。情報戦でした。やれるものなら、いつでも、どうぞ。正面攻撃でも、ソ連に勝ち目は、ありません。聞きかじりです。梶原一騎さんが、言っていました。力なき正義は無能なり、と。ケネディ大統領は、軍備でも、情報戦でも、圧倒的に、勝っていました。でも、退路を塞ぐことは、しません。逃げ道を、つくっていました。それが、トルコでのミサイル撤去です。花を持たすことを、しています。今は、無理でしょう。役者が、違いすぎます。オバマ大統領は、ノーベル平和賞授賞。核の削減提唱でした。在任中に、減りましたか。????ケネディ大統領は民主党ですが、自分は共和党大統領を、望んでいます。
投稿: 匿名希望します | 2023年4月26日 (水) 13時12分
匿名希望さん
コメント読ませていただきました。
私が停戦を求めるのは、戦闘行動によって傷つきいの父を奪われる市民、破壊される住宅、このことを考えるからです。そして、国を追われた多くの難民。
これを解決するのが、今一番問われていることだと思っています。いま
キューバ危機、様々な見方があります。ただ、危機の根本には、核兵器の存在が在ったことをも逃すことはできません。
私が強調したいことは、そのことです。人類の滅亡につながりかねない核兵器,核兵器なき世界をどう作るのかを世界に指導者には真剣に考えて欲しいと思います。
匿名希望さんとは、大分意見が違うようですが,核兵器の廃絶が必要だということでは一致できませんか。
そんな思いを持ちます。
投稿: いのちとうとし | 2023年4月26日 (水) 16時04分