何故、戦争をしたい国になろうとするのか
2月28日、来年度予算案が衆議院で可決され、参議院での可決を得なくても年度内の成立が決まりました。「大きな混乱も無く」というどころか、「なんの波風もなく」という感じで、やるせなさだけが残っています。
岸田内閣によって安保3文書が、昨年12月16日に閣議決定されました。この安保3文書による政策を、お金で形にした予算です。安保3文書とは①国家安全保障戦略②国家防衛戦略③防衛力整備計画といわれるもので具体的には、
・トマホーク中距離ミサイル500発購入
・攻撃型無人機・高速滑空弾開発
・43兆円防衛費・GDP2%
・敵基地攻撃能力
などです。
その基礎は昨年5月23日の「岸田・バイデン共同声明」にあります。この声明では、「岸田総理は日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費を相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領は、これを強く支持した」というのにあります。この声明をきっかけに、まさに堰を切ったように具体的な兵器導入プランが動きだしました。
この内容は1960年の「改定安保批准国会」以降、かってなかった事態といえると思うのです。自衛隊のスタンスを「専守防衛」から「敵基地攻撃」へ転換させ、「臨戦態勢化した日米安保」といえる状態にさせてしまいました。
大人でも子どもでも、いざこざや喧嘩をした時、まずは話し合いで解決させようとするのが、懸命なやり方でしょう。まずは顔と顔を合わせて話しをし、どうしたら暴力・殺人という戦争にならないかを考え、努力することが常識だと考えるのです。しかしその努力が、政治家の姿に見いだせないのです。
インドでG20の外相会議が開かれていましたが、同じ会場にいてその気になれば顔を合わせての話しは可能なのに、それをしない、そうするように促す人もいない、まさに「根性無し」です。戦争をすれば何万、何百万もの市民が死んでしまう事態になるということよりも、個人としてのメンツと政治的な立場を長続きさせることしか考えないのでしょうか。
クラウゼビッツという軍事学者が「戦争論」という古典の中で「戦争とは、他の手段をもってする政治の継続である」という有名な言葉がありますが、今の政治家の姿を的確に示しているものだと思います。
もっともらしく「抑止力」という言葉が使われますが、「やってくればやり返すぞ」という単純な「懲罰的抑止」というものと、国際世論を味方に引き入れて国際的な力を含めてあくまでも抵抗し拒否する考えの「拒否的抑止」という考え、今のウクライナの姿に似ているようにも思えますが、僕にはよく分かりません。
もう一つは「これをしなければ、こんないいことがあるぞ」というご褒美による抑止という「報償的抑止」という考えです。北朝鮮の軍事的な脅威が強まった時、食糧支援や燃料提供を条件にしたことが、その例です。
バイデン大統領にも岸田首相にも、「報償的抑止」という考えはないようですね。なにも考えようとしない思考停止、ノーアイディアだと思います。
日本が専守防衛という立場に立つのなら、この報償的抑止を考えるべきです。今の状態を喜んでいるのは、日米の軍産複合体と軍事産業だけだと考えるのですが。
3月8日、上京して国会議員への要請活動を行いました。自民党も含めて議員会館内の40人ぐらいの議員事務所を回りました。国会開会中ということで、議員本人との面談は少なかったのですが、とても有意義な活動でした。議員会館外の歩道では、この問題での市民団体による集会も行われていました。
木原省治
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