被爆二世裁判 広島地裁不当判決
2017年2月17日に提訴して以来、約6年にわたって審理が続いた被爆二世裁判で、昨日広島地裁は、原告らの訴えをすべて棄却する不当の判決を示しました。
その判決理由は、昨年12月12日に示された長崎地裁の不当判決の内容をさらに後退させるものとなっており、到底納得できるものではありません。
判決後の原告、支援者などの集会で、直ちに控訴することが確認されました。
広島での裁判では、「黒い雨訴訟」で画期的な判決が出されただけに、そこで示された被害者を救済する判断を十分にくみ取って広島地裁らしい判決が期待されたのですが、その期待を全く裏切る判決内容だといわざるを得ません。
原告団、弁護団は直ちに抗議の声明を発表しましたので、その全文を掲載します。
2017年2月に提訴以来、約6年の審理を経て、本日広島地裁は、原告らの請求を棄却するとの判決を示した。昨年(2022年)12月12日の長崎地裁の判決に続いて、結論において、私たちの求めた被爆二世に対する賠償を否定したことは、到底納得し得るものではなく、強く抗議する。
原爆による放射線の被害は、1945年8月に広島・長崎の人たちが人類史上初めて経験したものであり、極めて多数の人たちが、瞬時に、そして耐えがたい苦痛の末に命を失い、また被爆による深刻な健康被害に苛まれてきた。日本政府は、被爆者の切実な訴えを受けて、ようやく1957年に原爆医療法を制定し、以降現在の被爆者援護法によって被爆者援護の政策を続けてきた。
原爆放射線が人間に遺伝的影響を与えるかについては、すでに1950年代から指摘されてきたことであり、現在に至るまで、多くの研究者がその影響を否定できないことを動物実験等科学的根拠をもって明らかにしてきた。現実に多くの被爆二世が、何らかの形で原爆放射線の影響を受けていることは否定できず、多くの二世が様々なガン等の疾病に苦しみ、またほとんどの被爆二世が健康に不安を覚える日々を過ごしてきた。本件裁判においても、原告の人たちはその現実を裁判所に切々と訴えた。
これに対する国の対応は、「放射線被害があるという科学的根拠は示されていない」という主張を一貫して続け、原告らの訴えに全く耳を貸そうともしない不当極まりないものであった。
この度広島地裁は、放射線被害の遺伝的影響の可能性を認め、被爆二世である原告らの主張の正当性を認める判断を示した、と理解することができる。この点における裁判所の判断は、当然のことといえるものの、それ以上に政府・厚労省の基本的対応の問題に言及していないことは決定的に不十分と言わねばならない。
被爆者援護法1条3号は、「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」を被爆者として援護の対象とし、昨年の長崎地裁の判決においても、そして今回の判決においても、原爆放射線により健康被害が生ずる可能性がある事情の下に置かれていた者をいうと解されるとしている。そうであるならば、当然被爆二世に対しても同様に被爆者援護法による援護がなされるべきである。そして、そのための立法措置を怠ってきた国の責任は明らかである。にもかかわらず、今回の判決は極めて不十分と言わざるを得ない。この点においては、長崎地裁判決と同様であるが、今回の広島地裁判決における理由中の判断内容は、長崎地裁判決を一層後退させるものであり、強く抗議する。ことに、2021年7月14日に広島高裁が黒い雨訴訟判決において示した援護法1条3号の被爆者についての解釈の重要な趣旨を否定している点、さらに遺伝学や動物実験の意義を理解していない点については、看過し得ないと言わざるを得ない。
しかし判決は、「放射線被害の遺伝的影響」についてはその可能性を認めたと理解できる。国はこれまで一貫して「遺伝的影響の科学的根拠はない」と主張し、被爆二世に対する援護法上の措置を拒否してきたが、この対応が基本的に誤りであることが判決において指摘されたと受け止めるべきである。そして、国は、被爆二世に対する援護についてこれまでの態度を根本的に改めるべきである。私たちは国に対し、改めて、速やかに被爆二世、そして被爆三世等に対し、被爆者援護法上の援護の措置を執ることを求める。
この声明で明らかなように、広島地裁の判決は、いたずらに国側の主張のみを受け入れたものであり、原告被爆二世の被爆者である親を含めた自らの体験に基づく訴えを全く無視したものです。
この判決を覆すための高裁の闘いに向けて、一層の支援の強化が求められます。
いのちとうとし
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