もうひとつの「8.6」を知っていますか
「もうひとつの『8.6』を知っていますか」は、「ひと・まちプラザ」1階ロビー展示コーナーで14日から始まり、23日まで開催されている写真展のタイトルです。
チラシの「8.6」の文字を見た時、最初は「沖縄の被爆者の問題かな」と思ったのですが、「沖縄伊江島 米軍輸送船爆発事件」のタイトルが大きく書かれていますので、広島の原爆投下とは全く関係ないことに気づきました。
事件は、沖縄の伊江島で1948年8月6日の17時28分に起こった米軍弾薬輸送船LCT積載の爆弾125トンが爆発した事故のことです。死者107名、重軽症者70名を出した戦後最大の米軍事故です。LCTとは、戦車揚陸艦(Landing Craft Tamk)で、戦闘時の上陸用舟艇で複数の戦車輸送に用いられた軍用艇の一種ですが、歩兵団、弾薬輸送などの輸送にも多く使われています。
この事件は、米軍が、沖縄戦時の不発弾や未使用爆弾を船に積み込み、島外に運び出す作業をしていた際に、荷崩れを起こし弾薬が爆発したという事故ですが、夕方5時過ぎに起きたため、ちょうどその時間帯に地元の連絡船が入港して波止場が出迎えなど多くの人でごった返していたこともあり、死者107人のうち伊江村民63人、沖縄本島島民31人、米軍関係者13人と、多数の民間人が巻き込まれ犠牲になりました。
チラシによれば、大事故であったにもかかわらず、報道はたった7行で済まされ、関係資料は60年後に初めて公開されたそうです。
写真展は、1948年8月6日に起こった最大の爆発事件の詳細を広島に伝えるため当時の様子を伝える約40枚の写真などが掲示されています。
この写真展の主催者、「広島と沖縄をむすぶドゥシグヮー」ですが、「伊江島米軍LCT爆発事件8.6の会」(以下「8.6の会」)の共催によって実現したものです。共催団体の「伊8.6の会」は、「なぜ彼らは甚大な被害を受けなければならなかったのかを時を超えて問い続け、この悲惨な事故を記録に残し、未来永劫に語り継がれるよう」にと2016年に結成された組織です。その後体験者などからの聞き取り調査を行い、2021年には、記録誌「伊江島の記憶と記録 時を超えて伝えよう 伊江島米軍爆弾輸送船LCT爆発事件」を発刊しています。
写真展2日目の昨日(15日)午後1時から5時までの日程で「あの日の記憶をもとに:8月6日を語る」と題したお話とシンポジウムが開催されました。
このシンポジウムには、伊江島から「8.6の会」の会員が来広されていましたので、ぜひ参加したかったのですが、午後2時からどうしても参加しなければならない別の行事があったため、残念ながら参加できませんでした。「8.6の会」事務局長の長嶺福信さんは、写真展会期中、会場で解説をされるそうですので、きちんと時間をとって話を聞きたいと思っています。
伊江島と聞けば、沖縄戦での激しい戦闘、そして住民の集団自決の歴史を思い起こすのですが、戦後にこんな悲惨な事件があったことを今回初めて知りました。
写真展は、午前9時30分から午後10時まで(最終日の23日は午後5時まで)開催され、長嶺福信さんの解説は、午前10時から午後5時までの時間帯です。
遅い時間まで開催されていますので、「もうひとつの『8.6』」を知るために、ぜひ行ってみてほしいと思います。ただ今日16日は、休館日ですので注意してください。
いのちとうとし
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