本願寺広島別院の被爆
今日は寺町の本願寺広島別院の話です。
1945年8月6日の原子爆弾投下によって、本願寺広島別院も堂宇の全てが焼失しました。現在の本堂が完成したのは、19年後の1964年10月です。現在も、広く門信徒の信仰の中心道場として、その役割を担っています。
今月3日のブログ中国配電職員弔魂塔: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で、中国配電職員忠魂棟を紹介しましたが、本願寺広島別院の境内には、その他にも原爆に関連するものがいくつかあります。
最初に広島原爆戦災誌に書かれた本願寺広島別院の被災の状況を引用します。
「爆心地から1.1キロ。8月6日は例日のとおり午前6時に勤行を行い、7時過ぎの警報解除後は輪番室において用談中、被爆した。本堂及び他の建物も全壊に近い被害であった。
原子爆弾の炸裂下、まず放射熱線により中庭の樹木が燃えはじめたので、職員が棒ぞうきんに水を浸して消火しようとしたが、ぞうきんの方が燃えだし、こちらを消せば他が燃えはじめるという状況で、ついに本堂に延焼し、次々に燃え移っていった。火の粉を避けようと、ふとんをとりに室内に入ってみると、爆風で天井は吹き飛ばされており、そこにふとんが舞い上がって、ひっかかっていた。
火勢は急激に高まり、各自無我夢中で近くの本川に逃げるのが精一杯であった。夕方になってようやく自然鎮火したが、槇籐輪番と職員1人、雇員の老爺1人及び参詣者2人計5人が即死し、10人が負傷した。」(原文のまま)
この項の最後に「なお、境内には現在、被爆しながらも奇跡的に枯れなかった蘇鉄樹が残っており、また納骨所石碑が一部かけたまま立っている。」と書かれています。この広島原爆戦災誌は、1971年に発刊されていますので、本堂の再建が終わった後の境内の様子を記述したものだということになります。
まず広島原爆戦災誌に書かれた蘇鉄樹を紹介します。
被爆ソテツは、本堂に向かって左側にある鐘撞堂の奥にあります。
このソテツは、被爆当時、1609年に建てられた本堂の前にありましたが、本堂の全焼に耐えてよく生き残ったものです。本堂再建時に現在の場所に移植されました。
次は、納骨所石碑です。現在は、本堂の東隣にありますが、被爆時どこにあったのかは、まだ調べることができていません。
中央に「還浄」と刻まれた大きな石塔があり、前の左右に「夜燈」と書かれた石塔があります。還浄とは、死んだ人が浄土にかえったという意味のようです。
大きく欠けているのが目につきます。
「夜燈」には、「昭和六年六月」と刻まれていますから、間違いなく被爆した石塔だということがわかります。
さらによく見ると、三つの石塔全てですが、欠けているだけでなく大きな亀裂が入っています。倒壊した時に、ばらばらになったと思われます。
本願寺広島別院は、爆心地から1.1キロの距離にありましたが、爆風のすさまじさを表しています。
とここまでは、広島原爆戦災誌に書かれていた「被爆の痕跡を伝えるもの」ですが、実は境内には、あまり紹介されている書き物に出会ったことがない歴史を伝えるものがあります。
17日のブログで紹介します。
いのちとうとし
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