旧広島陸軍兵器支廠フィールドワーク-その2
段原公民館での藤野次史先生の調査報告が終わり、いよいよ現地でのフィールドワークです。集合場所は、広島大学医学部正門横に建つ医学資料館前です。参加者約20人は、三々五々集合場所に移動します。私は、自転車で移動しました。
発掘された遺構ではありませんが、最初に医学資料館の外観を見学しました。この建物については、2020年11月27日に(宇品線のモニュメントを訪ねてーその2・ちょっと寄り道: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com))で紹介しましたが、今回新しいことに気づきました。
2020年11月27日のブログでは、この医学資料館は、旧広島陸軍兵器支廠の11号館の「被爆煉瓦や石材を再利用して建て替えられた」ことを紹介するとともに次のように書いています。
「正面玄関左右の窓枠の下の煉瓦は、全体と比べると黒っぽい色をしています。ここに、白い石とともに被爆当時の煉瓦が使われています。」
しかし、今回分かったことですが、被爆煉瓦が使われたのは、「窓枠下の煉瓦」だけではありませんでした。正面玄関の左右の窓二つの周りの煉瓦も11号館の被爆煉瓦が使われていることがわかりました。
写真は正面玄関右側の壁面ですが、下側の二つの窓の周囲の煉瓦とその上の窓の部分(上部が写真では切れている)の煉瓦は、明らかに違いがあります。上部の煉瓦(建物全体がそうですが)が、作られたばかりの鮮やかな色で長方形の形が全くくずれていないのに対し、下側の窓枠の周囲の煉瓦は、この写真では見えにくいのですが、近づいてよく見ると、色も不揃いでほとんどの煉瓦の角が欠けていますので、違いがはっきりと分かります。
正面玄関の左側も同じです。
いよいよ、これからが発掘調査現場のフィールドワークです。この医学資料館の北側に私たちが見学しようとしている立体駐車場があります。
全て埋められていて、何を見るのだろうと思っていました。ところが、立体駐車場の入り口に立つと、そこに看板が取り付けられているのが目に入りました。
柱の陰になっていますので、気をつけないと見逃がしそうです。看板を見逃すというより、そこに看板があることなどこれまでは全然気にもしていなかった場所ですから気づくはずがありません。今回は、発掘調査を行われた藤野先生の案内があったから辿りつけた場所です。
「こんな柱の影でなくもっとよく見えるようにつければよいのに」と言いながら看板をよく見ると一番下に「広島大学総合博物館埋蔵文化財調査部門」と書かれているのが目に入りました。余計なことを言ってしまったと思いました。この看板は、藤野先生たちの努力によって何とか掲示されたものだったのです。
柱の陰になっていましたが、何とかスマホの位置を工夫し、この看板を写真に収めることができました。
看板には、「発見された遺構移設のご案内」と書かれています。
看板には、「旧広島陸軍兵器支廠フィールドワーク-その1」で紹介した「上空からの発掘当時の写真」とともに、藤野先生からレクチャーを受けた内容が簡潔にまとめられて書かれています。
そして写真の下側に地図が書かれています。
看板の「遺構移設」ということばが気になったのですが、この地図を見て納得がいきました。すでに埋め戻されたと思っていた発掘された遺構の一部が、この駐車場の一角に移設保存されているのです。地図には、赤丸でその場所が示されています。早速その場所に移動しました。そこにはいくつかの遺構が、展示されていますが、ここまでの紹介で字数を費やしてしまいましたので、その様子は、次回紹介します。
いのちとうとし
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