原水爆禁止世界大会の名称は、なぜ「被爆○○周年」か
原水禁国民会議が開催する夏の原水爆禁止世界大会の名称には、「被爆○○周年」がついています。この大会名称になぜ「被爆○○周年」とついているのか考えてみたいと思います。
そのことを考えるきっかけになったのは、昨年2021年に開催された「被爆76周年原水爆禁止世界大会」の大会配布資料の背表紙には「2021年『被爆76周年原水爆禁止世界大会』」と頭に「2021年」と付けられていたからです。
大会名称は「被爆○○周年」から始まることは当然のこととだと思ってきました。私がこれまで何度か引用した過去の原水爆禁止世界大会報告集は、もちろん「被爆○○周年」しか付けられていません。
「なぜわざわざ頭に『2021年』と付けたのか」を疑問に感じ、当時の事務局長とこの表現について話し合ったことがあります。誤解があると困りますので付け加えますが、この年の大会の名称はもちろん「被爆76周年原水爆禁止世界大会」となっています。
当時の事務局長は「特別に意味があったわけではありません。この方がわかりやすいかなと思っただけです」との答えでした。それに対し私の意見は「大会名称に被爆○○周年と付けているのは、原水禁国民会議が『原水禁運動の原点は、広島、長崎の被爆の実相だ』と考え、そのことを忘れないためだと思う。」と伝え、二人の話は終わりました。
そうは言いつつも、「被爆○○周年」は付くのは当たり前のことと思い続けてきましが、本当に私の考えでよいのだろうかと不安な気持ちもありました。
最近、ようやくこの不安に答えてくれる資料に出会うことができました。その資料は「被爆20周年原水爆禁止世界大会報告決定集」です。広島県原水禁にも私の所有する資料にもこの資料はありませんので、初めて目にする資料です。広島県原水禁に外部からのある問い合わせがあり、それにこたえるため原水禁本部から送ってもらったようです。明日のも返送しようと思っていた時期だったようですので、本当に偶然のタイミングでした。
言うまでもないことですが、被爆20周年は、1965年です。
1963年に開催された第9回原水禁世界大会で事実上原水禁運動が分裂し、翌年の被災三県連(広島、長崎、静岡)主催の原水禁広島大会を経て、原水爆禁止日本国民会議が結成されたのが、1965年2月1日です。
ですから、「被爆20周年原水爆禁止世界大会」は、原水禁国民会議が開いた初めての原水禁世界大会ということになります。
その意味で「被爆20周年原水爆禁止世界大会報告決定集」は、重要な資料の一つです。
その報告決定集の冒頭に「大会基調」が収録されていますが、その基調の「一、まえがき」は「大会名称を被爆20周年」としたことの意味から始まっています。分裂以前の原水禁大会の名称は、「第○回」となっていました。
少し長いのですが、該当する部分を引用します。
「広島、長崎にアメリカの原子爆弾が投下され一瞬にして数十万の人命が奪われてから、ことしはちょうど20周年にあたります。この意義ある日を記念して、私たちは『被爆20周年原水爆禁止世界大会』を開催いたすことにしました。私たちは、大会の名称を、あえて『被爆20周年』と銘うちましたが、この言葉には、言い尽くせない深い意義が含まれております。
被爆20周年というとき、それはたんに暦の上に刻まれた時の経過を意味するだけではありません。少なくとも、この20年の間に、いくどか核戦争の危機があったにもかかわらず全世界の平和の力は、この地球上の核兵器の使用を許すことなく、生存を続けてきたという歴史の重みを表現しているのです。」
この部分だけでも十分ですが、さらにつづけて「被爆20周年」が持つ意味が、書かれています。ぜひ知ってお欲しいと内容ですが、ここまでで長くなってしまいましたので、今日はここで終わりにし、つづきは14日以降に紹介したいと思います。
いのちとうとし
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